NVIDIA、車載SoC「DRIVE Thor」を発表–2025年の新EVに搭載へ

CNET Japan

 NVIDIAは米国時間9月20日、オンラインで開催中の人工知能(AI)関連イベント「NVIDIA GTC」で、自動運転車革命を支えることになると期待する新たなプロセッサー「DRIVE Thor」を発表した。

「ZEEKR 001」
「ZEEKR 001」
提供:Nvidia

 DRIVE Thorは、2024年に出荷され、2025年に発売される車両に搭載される予定で、その先陣を切るのは中国の自動車メーカーZEEKRの電気自動車(EV)「ZEEKR 001」になるだろうと、NVIDIAのオートモーティブ部門担当バイスプレジデントのDanny Shapiro氏は述べた。DRIVE Thorは、NVIDIAの「Hopper」アーキテクチャーを採用した新チップで構築されており、自動運転車にとって重要なAIソフトウェアの処理を向上させるという。

「DRIVE Thor」
「DRIVE Thor」
提供:Nvidia

 Shapiro氏は、「当然ながら完全な自律性に達するまで拡張する」と述べた。これは、同乗する人が一定条件下で注意を払う必要がないレベル4や、無人でも車が自律的に運転できるレベル5の自動運転機能を指す。

 NVIDIAは、2024年に「DRIVE Atlan」というチップの投入を計画していたが、これを中止してDRIVE Thorの開発を進めた。DRIVE Thorは1秒間に2000兆回の演算でAIソフトウェアを処理でき、これはDRIVE Atlanで計画していた速度の2倍、現行の「DRIVE Orin」プロセッサーの8倍に相当する。DRIVE Thorには、Hopperの主要な機能の1つで、強力なAI技術を加速する機能「Transformer Engine」が組み込まれている。NVIDIAはまた、車線維持や自動緊急ブレーキなどの比較的成熟した運転支援技術向けに、DRIVE Thorの低価格版も発売する意向だ。

 車載プロセッサー市場は大きく、しかも拡大している。自動車メーカー各社は、運転支援やインフォテインメントのほか、エンジン燃焼からGPSナビゲーションまですべてを統括する電子制御装置向けに、ますます多くのプロセッサーやその他の半導体チップを要求するようになっているからだ。例えば、PorscheのEV「Porsche Taycan」には1台あたり8000個の半導体素子が組み込まれている

 この新市場で利益を得ているのはチップ設計企業だ。NVIDIAは車載用チップの受注見込み額が110億ドル(1兆6000億円)を超えており、また同社の最大のライバルであるQualcomm Technologiesは車載関連で190億ドル(2兆7000億円)の受注を見込んでいる

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NVIDIA GTCで発表されたその他の情報

 NVIDIA GTCでは、他にも開発の成果を示す発表があった。

  • ゲーミングPCおよびワークステーション向けの新世代GPU「NVIDIA Ada Lovelace」を搭載したグラフィックスカード「GeForce RTX 4090」は10月に発売予定で、価格は899ドル~1599ドル(日本では29万8000円から)となっている。
  • ロボット向けプロセッサー「Jetson Orin」シリーズに、より小型のロボット向けモデル「Jetson Orin Nano」が追加された。消費電力は5~15Wでバッテリー持続時間が向上し、価格は199ドル(約2万9000円)からで、2023年1月に出荷開始予定だ。NVIDIAによると、キヤノン、農業機械「John Deere」で知られるDeere & Company、「Microsoft Azure」、自動試験装置のTeradyne、TK Elevatorなどが新たにJetson Orinの採用を決めたという。
  • 新技術の「NeMo LLM」サービスは、研究者が大規模言語モデル(LLM)をより有効に活用できるよう設計されている。LLMは、言語や画像といったデータの処理で急速な進歩をもたらしているAIとして話題の新領域だ。LLMの再学習は膨大なリソースを消費するが、NeMo技術を利用することで、研究者は大規模なAIをカスタマイズするAIの増分学習をはるかに高速に行えるようになる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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