不思議な構造をした宇宙由来のダイヤモンド「ロンズデーライト」の起源が明らかに

GIZMODO

隕石から生まれたダイヤモンドって、神秘的。

ダイヤモンドは通常、立方体の結晶が並んだ鉱物です。でも、宇宙には六角形の不思議なダイヤモンドが存在するんだとか。最新の研究では、遠い遠い惑星の核噴出で生まれたこのダイヤが、星同士の激しい衝突で生まれた隕石によって、地球に飛来したと判明しました。

オーストラリアの科学者チームによると「ロンズデーライト(六角形の結晶構造を持つダイヤモンド)」は、数十億年前に小惑星と準惑星が衝突してできた隕石に含まれていました。同研究チームは隕石中のロンズデーライトがどのように形成されたかを追求すべく、18個にのぼるユーレイライト隕石(ケイ酸塩・硫化物・金属からなる炭素含有宇宙岩石)の破片を高度電子顕微鏡で観察しました。この研究成果は、アメリカの科学雑誌「PNAS」最新号に掲載されています。

研究の共同執筆者で、RMIT大学の顕微鏡・微量分析施設でディレクターを務めるドーガル・マッカロク氏は、大学からの発表で「この研究は、ロンズデーライトが自然界に存在することを明確に証明するものです」と述べています。

Photo: Wikimedia Commons via Gizmodo US
キャニオン・ディアブロ隕石の一つ。

ロンズデーライトはこれまでにも、アリゾナ州の(かの有名な)バリンジャー・クレーターに約5万年前に落下した「キャニオン・ディアブロ隕石」といった隕石から検出されています。この鉱物は地球上ではほとんど見られません(人工物を除く)。今年初めに行わなれた別の研究では、ロンズデーライトは他のダイヤモンドよりも硬度が高いとわかっています。

今回、研究チームはロンズデーライトが「ユーレイライト隕石」の中に自然に存在することを発見。この岩石は、太陽系ができ始めたころ、小惑星と衝突した古代の準惑星のマントル内で形成されたと考えられています。つまり、六角形のロンズデーライトは、ユーレイライト岩石の中で形成されたということに。

このような極限の環境における物理学(極限物理学)では、珍しい鉱物構造が生まれる傾向に。たとえば1945年、当時の最新軍事技術だったプルトニウム爆弾の有効性をはかる「トリニティ爆弾実験」が行なわれた際、爆発の高圧高温環境下では砂漠の砂と銅配線から「トリニタイト」という珍しいガラス状準結晶が生成されることが明らかになりました。

小惑星と準惑星の衝突もまた、ダイヤモンド生成に必要な高温高圧の極限環境をもたらしました。

今回の成果は、「ロンズデーライトと通常のダイヤモンドの、新たな形成プロセスが発見されたことを示す強力なエビデンス」だとマッカロク氏は言います。研究チームの計算では、ロンズデーライトは古代の準惑星で「破滅的な衝突の直後に」形成されたそう。

もし本当にロンズデーライトの構造が通常のダイヤモンドよりも硬いのなら、材料科学の分野で応用できる可能性があります。

モナシュ大学の地質学者で、研究共著者のアンディ・トムキンス氏は以下のようにコメントしています。

自然はこのように、産業界が再現しようとするプロセスを提示してくれました。

ロンズデーライトを予め成形されたグラファイト(黒鉛)部品に置き換えるための産業プロセスを開発できれば、小型で超硬質な機械部品の製造に使えると考えられます。

確かに、こうしたダイヤモンドを研究室で作ることができるなら、また新たに小惑星衝突が起こり、その残骸が地球に飛来するのを待つより…はるかに効率的ですね。