服についた血液の汚れ・シミの落とし方。時間が経った汚れも洗濯で落ちるのか検証しました

GIZMODO

コーヒーのシミと、油のシミと、草の汁のシミの落とし方も教えてほしい。

大人になっても、うっかり切り傷を作ったり乾燥肌を掻いたりして、気がついたら服に血がついちゃった! なんてことありますよね。傷は治っても血液ジミが消えなくて、お気に入りの服が着られなくなったなんてことも…。ネット上には血液汚れを落とす方法はたくさん出ていますが、今回Wirecutterでは「本当に一番血液ジミが落ちる方法」を発掘するべく、実験しました! 以下、その内容と考察をご紹介します。


実験に使ったのは、凝固具合や赤血球の大きさなどが人間の血液に近いと言われる豚の血液です(豚さん、ごめんなさい)。これで衣類や寝具に使われる布地に実際に血液ジミをつけ、複数の方法で洗浄してみました。

まず実験を始める前に、洗濯情報が載っているサイトやクリーニング関連ブログ、Redditなどで「血液ジミをキレイにする方法」をリサーチ。その後、フロリダ大学ワクラ校で家庭・消費者科学の普及に携わるサマンサ・ケネディ氏にインタビューし、非常に効果的なクリーニング方法やアイテムについて教えていただきました。

ただし布地にはそれぞれ特徴があり、製造時に使用した化学物質によってはシミが消えないこともあります。また、女性にとってなじみ深い血液ジミといえば、生理の時の経血が思い浮かぶと思いますが、これは通常の血液とは成分が異なるため今回の実験対象からは外れています。

というわけで、ここからは「ご家庭で簡単に血液ジミを落とせる方法」を見ていきましょう! ただしご紹介する洗剤や薬品が布地を傷つける恐れもありますので、まずは目立たない場所に一滴たらしてみたり、洗濯表示やお手入れ方法を確認してからシミ取りを試してみてください。

血液ジミを落とすのに必要な道具

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Photo: Ellen Airhart

新しい血液ジミの場合:

– 冷たい水

– 3%の過酸化水素

– 洗濯用漂白洗剤(ここではTHE LAUNDRESS ステイン・ソリューションを使用)

– ゴム手袋

– スポンジ

時間がたった血液ジミの場合:

– 洗濯用漂白洗剤(ここではProClean Stain Fighterを使用)

血液ジミが消えるまでにかかる時間は?

血液ジミ消えるまでにかかる時間は「布地の素材」と「血液がついてからどれだけ時間がたったか」によって変わります。Wirecutterのテストでは最短で10分最長で数日かかりました。

安全上の注意

お気に入りの服を血液で汚してしまった場合、できるだけ早く対応するのがキレイに落とすコツです。ただ、血液が出ているということは何らかのケガを負っているということなので、まずはその手当てをしなければなりません。「ケガも気になるけど、シミも気になる!」という時は、家族や友人など近くにいる人に助けを求めましょう。逆に、他人の血液ジミを処理する場合、感染症の恐れがあるのでゴム手袋などを着用しましょう。

新しい血液ジミの落とし方

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Video: Hunter Boone

血液はタンパク質でできていますが、タンパク質は熱で構造が破壊され最終的に固まってしまう性質があります。そうなると水で洗い流すことができなくなりますので、血液ジミを洗う時にゆるま湯などはご法度。冷水を使います。

今回の実験ではお肉屋さんに協力していただき、豚の血液を0.5mlずつ4滴落とし、鼻血や切り傷でできた血液シミを再現。生地のサンプルとして使用したのは布切れや枕カバー、Tシャツ・ジーンズで、素材はコットンデニム・フランネル・スパンデックス混紡・リネン・マルベリーシルク・ウール。ちなみに、テストの数週間前にも同じ生地に同量の血液を加え、古いシミの洗浄テストも同時に行ないました。

実験の手順は以下のとおりです。

  1. 血液を布地に染み込ませる
  2. 水洗いする
  3. 汚れた布地(ウール以外)を冷水に5分間浸し、もう一度冷水ですすぐ

このシンプルな手順で、スパンデックス・ポリエステル混紡、マルベリーシルクはすぐにきれいになりました。

専門家のケネディ氏は「シルクの場合は塩水に浸すのも効果的」とアドバイスしてくれていたので、小さじ1杯の塩も用意しておいたのですが、今回は必要ありませんでした。もしシルクの血液ジミが取れにくい時は、塩水で試してみてください。

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Photo: Connie Park
血液が付着した布を浸すだけでなく、1枚ずつ水洗い。

コットンフランネル、デニム、Tシャツ、そしてリネンは水洗いして漬け置きした後も赤みが残っていたので、シミに少量の過酸化水素を垂らし、やさしく(シミがひどい場合は強めに)こすり洗いしました。過酸化水素は血液のタンパク質と反応して発泡し、血液と布の結合を弱める効果があるんだとか。その後、再び水洗いと漬け置きしたところ、ほとんどの素材がスッキリきれいに! 厚手のものだけはまだちょっと残っていたので、再度「過酸化水素水~漬け置き」までのプロセスを繰り返したところ、シミは完全に落ちました。

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Photo: Connie Park
水洗いと漬け置きでも落ちないシミは、過酸化水素水で落とします。

ウール素材に付いた血液ジミ

血液ジミが一番落ちにくかったのが、ウール素材です。「冷水に漬け置きした後でお酢を使うといい」とアドバイスされたので試してみたのですが、なかなかうまくいきませんでした。確かに血液そのものは落ちたのですが、シミ以外の箇所が薄いオレンジ色になり、逆にシミがあった場所が白浮きしてしまったのです。

悩んだ結果、THE LAUNDRESS ステイン・ソリューションが効くという記事を読んだので、試してみることに。10円玉大のTHE LAUNDRESS ステイン・ソリューションを混ぜてウールのシミに染み込ませたところ、これがうまくいきました。そもそもウールは水にぬれると変色しやすいようで(乾燥後も)、たっぷりの水に漬け置きするより最小限の水と洗剤で汚れた箇所をピンポイントに狙う方が良さそうです。ウールに血液がついてしまった場合はできるだけ早く、THE LAUNDRESS ステイン・ソリューションとできるだけ少量の水で対処することをおすすめします。

時間がたった血液ジミ

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Photo: Connie Park
数週間放置された血液汚れ(シルク100%)。

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Photo: Ellen Airhart
マルベリーシルクとポリウレタン合成素材(スパンデックス)はシミが完全に落ちました。

血液ジミをしばらく放置したり、高温にさらしてしまうと洗濯が難しくなります。実験でも冷水の漬け置き(1時間程度)とすすぎを繰り返しましたが、シミは薄くはなるものの、完全に消すことはできませんでした(シルク以外)。その後、過酸化水素水でこすり洗いもしましたが、ほとんど効果はありませんでした。

次に、オフィスにあったシミ取り洗剤“Persil ProClean Stain Fighter”に一晩浸けました。こちらはシミを分解する酵素を含んでいるとのことで、翌日洗い流してみたところ、スパンデックス混紡は完全にキレイになりました。コットン素材とリネン素材は、シミがかなり薄くなっていたものの、まだちょっと色が残ってしまいました。

血液ジミが付着したらすぐに洗うのが一番!

血液ジミを落としやすい洗剤やクリーニング方法はいろいろありますが、今回の実験を経てわかったのは、一番の近道は「血液がついたらすぐに落とす」だということです。人間、血を見るとアドレナリンが出ると言いますから、その勢いでササっと水洗いしておけば後々血液ジミで気が重くなることもなくなりそうです。ただ、くれぐれも傷の治療と安全を最優先にしてくださいね。

©2022 WIRECUTTER, INC. A NEW YORK TIMES COMPANY.

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