米国では2021年9月からサービス提供中
パナソニック ホールディングスの100%出資子会社であるYohanaは、日本において、次世代ファミリーコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」を、9月15日から、神奈川県に限定して開始すると発表した。今後、提供エリアを順次拡大する計画だ。
Yohanaメンバーシップは、忙しい家族の生活を専門チームがサポートするサービスで、2021年9月に、米シアトルでサービスを開始。これまでに1000世帯以上の家族が利用しているという。2022年6月からは、ロサンゼルスでもサービスの提供を開始。日本では、2022年4月~6月にかけて、数十人を対象にしたトライアル調査を実施しており、92%という高い満足度を得た。この成果を受け、7月には年内に日本市場に参入する意向を明らかにするとともに、ウェイトリストを公開していた。
To-doの「先回り提案」で、日常に「安心」を提供したい
Yohanaメンバーシップは、月額1万8000円で、利用者が日々やらなくてはならないことや、やりたいことを整理し、これを専門チームがサポートするサービスだ。たとえば、1週間の夕食の献立を提供したり、子供の口にあうミールキットの調査と手配をしたりといった子育て世代のサポートのほか、重要なイベントのリマインド、 夏休みの旅行の企画から手配、家族への誕生日プレゼントの選定、テーマパークを満喫するためのプラン作成、プロクリーニングや料理代行の手配などを行ってくれる。
Yohana LLC ジャパンプロダクトリードの藤田大法氏は、「季節や家族のイベントは後手後手になることが多い。年末の大掃除は時期が近づくにつれ、ほかのTo-doが立て込み、ぎりぎりの時点では、外部のプロに掃除を頼もうと思っても予約が取れなかったり、料金が高くなったりといったことが発生してしまう」と、家族のTo-do管理の難しさを語った。
例えば、出産祝いを最もいいタイミングで送りたいと思ってTo-doリストに書いていても、仕事に追われて送れなかったということもある。そうしたケースでも、Yohanaメンバーシップは、先回りをして提案してくれることから、先手先手で対応可能になるという。
また、大掃除についてもかなり早いタイミングで提案を行い「年末にこだわらなければ安い料金で利用できる、といった活用も可能になる」という。「日常、やらなくてはならないことは、Yohanaがリマインドしてくれるから安心である、という環境をつくりたい」と、サービスのビジョンを説明した。
「スペシャリスト」「リサーチャー」「ガイド」のチームが利用者をサポート
通常のアシスタントサービスや生産性向上アプリとは異なり、ワンストップで家族に寄り添い、ウェルビーイングが実現できるソリューションを提供する点が、Yohanaメンバーシップの特徴だとする。
Yohanaメンバーシップでは、要望や困りごとを深く理解し、日々のTo-doを一緒に解決して日常を支え、利用者と日々つながっている「Yohanaスペシャリスト」、To-doを解決するために、さまざまな分野の専門知識を活用して調べる「Yohanaリサーチャー」、くらしを長期的にサポートする専属パートナーである「Yohanaガイド」でチームを構成し、利用者をサポートする。
利用者は、直感的で使いやすい「Yohana App(Yohanaアプリ)」を通じて、To-doリストの作成、スペシャリストへの依頼、チャットでの相談、進行中のTo-doの進捗の確認などを行うことができる。また、リアルな課題を解決するために、各分野の信頼できるパートナーやプロフェッショナルが参加する「Yohanaネットワーク」を通じて、高品質のサービスを提供する。
また、日本独自の仕組みとして、修繕や工事などのために自宅に入ることが必要なサービスについては、トレーニングを受けたスタッフが対応する「プライムプロサービス」を提供する。プライムプロサービスの利用や、YohanaチームによるTo-do整理、企画提案、調査、手配以外の実作業が発生する場合は、別途料金が発生する。
2022年9月15日~12月12日の期間は、キャンペーン期間中として、Yohanaメンバーシップに登録した利用者は、月額8000円の特別価格で1年間利用できる。
CEOはApple、Googleの副社長の経歴もある日本人ワーキングマザー
米Yohana LLCのCEOであり、Yohanaの取締役を務めるパナソニックホールディングス 執行役員 くらしソリューション事業本部長の松岡陽子氏は、「Yohanaは、テクノロジーを生かしながら、家族全員の幸せを最優先にし、お互いに向き合う時間を大切にするためのサポートに特化する新たなウェルビーイングの企業として設立した。Yohanaメンバーシップによって、日本の家族のウェルビーイングを支えたい」と語る。
松岡氏は、1971年、東京都出身。中学卒業後に渡米し、プロテニスプレーヤーを目指したが、怪我により、その夢を断念。得意な数学や科学の道に進むことを決め、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)科学学士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)では電気工学とコンピュータサイエンスの博士号をそれぞれ取得。1998~2000年まではハーバード大学工学・応用科学部で博士研究員、2001~2006年まではカーネギー・メロン大学教授、2006~2011年まではワシントン大学教授を務め、ロボットによる人体および脳のリヒバリ機器の開発などに学術分野から携わってきた。
2009年からは、Google Xのイノベーション責任者兼共同創業者として、産業分野に転身。その後、NestのCTOや、Appleの副社長、ウェアラブルヘルステクノロジーのベンチャー企業であるQuanttus(カンタス)のCEO、Googleヘルスケア部門の副社長、米ヒューレット・パッカードの取締役などを務め、2019年10月にパナソニックにフェローとして入社した。
現在、夫と4人の子ども、犬、ペットの豚とともに、サンフランシスコのベイエリアに在住。「コロナ禍では、4人の子供を持つワーキングマザーとして、家庭、キャリア、そして個人のウェルビーイングを両立させることに苦労した。その一方で、自分と同じことに苦しんでいる人が多いことを実感し、それがこのサービスを考えるきっかけになっている」とする。
今後の取り組みについては、「お客様の声を聞きながら、暮らしに役立つサービスとして向上させていきたい。また、パナソニックとの連携によって、ハードウェアとの組み合わせを進めたり、暮らしのプラットフォームとして広げたりしたい。さまざまなバートナーとのコラボレーションによって、Yohanaメンバーシップが進化していくことになる」とした。