ザ・ノース・フェイスは、なぜ「再販」事業を再開するか?

DIGIDAY

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アウトドア用品およびアパレルのブランドのザ・ノース・フェイス(The North Face)は、同社が提供するサービスのリセール商品の種類を拡大することに期待して、新しいサービスパートナーとともにリセールプログラムを再開する。

振り返ると、ザ・ノース・フェイスは2018年に、はじめててリニュード(Renewed)というリセールプログラムを開始。このプログラムでは、リコマースサプライチェーン管理企業であるリニューアル・ワークショップ(The Renewal Workshop)とのパートナーシップにより、デナリ(Denali)フリースやサミット(Summit)ダウンなど、同ブランドの人気のある中古商品の一部をオンラインで販売していた。

ザ・ノース・フェイスのシニアビジネスマネージャーを務めるニック・トーマス氏によれば、リセールビジネスは開始以来毎年売上が増加したものの、同社のリニューアル・ワークショップとの契約は満了した。

中古品ビジネスについて、特にレイ(REI)やパタゴニア(Patagonia)などの同業他社が独自の中古品プログラムに投資するなかで成長を促進するため、ザ・ノース・フェイスはソフトウェアプロバイダのアーカイブ(Archive)、ロジスティクスおよびクリーニングのプロバイダのテルサス(Tersus)と提携し、中古品の販売を拡大しようとしている。

ザ・ノース・フェイスの新しいパートナーシップは、リセール分野のB2B新興企業がベンチャー投資家から注目を強く浴びるようになったことで、競合が激しくなったことを示している。たとえばリセール新興企業のトローブ(Trove)は、8月にG2ベンチャーパートナー主導で行われたシリーズDファンディングラウンドで、7750万ドル(約101億円)を公表した。

提供できる商品は「ほぼ2倍に」

テルサスは現在、ザ・ノース・フェイスの中古品すべてについて、バックエンドのロジスティクスを扱っている。リセールに使用できるアイテムは、テルサスのチームによりクリーニング、修復、分類が行われる一方で、売り物として使えないアイテムは破棄してリサイクルされる。

テルサスのプレジデントを務めるピーター・ウィットカム氏は次のように述べている。「当社は、自分たちを布地の循環を支える存在だと考えている。ザ・ノース・フェイスはすべての作業をひとつの場所にまとめることを望んでおり、ちょうど当社では、布地の再生サービスを一手に引き受けている」。

ザ・ノース・フェイスにはこれまで、フットウェアや寝袋などのアイテムをリセールするだけの能力がなかった。テルサスのクリーニング能力により、同社が提供できる商品は「ほぼ2倍になった」と、ウィットカム氏は述べている。

トーマス氏は、ブランドの課題は中古品を「その商品が最初に作られたときと同じ性能と特性で」販売することだと語る。ザ・ノース・フェイスのチームは、リセール対象のアイテムをテクニカルパックなどの商品にさらに拡大するため、テルサスのチームと密接に協力している。

テルサスの拠点も、ザ・ノース・フェイスのエグゼクティブが同社の新しいリコマースの実践をより理解するために役立っている。テルサスとザ・ノース・フェイスはどちらもデンバーを拠点としている。「当社のマーチャンダイジングチームから材料やQA部門までの誰にでも、施設を見せて、ザ・ノース・フェイスの商品のライフサイクルを理解させられることは非常に有益だ」とトーマス氏は述べる。

高級感のあるユーザー体験

これに対してアーカイブは、ザ・ノース・フェイスのオンラインビジネスのフロントエンドを取り扱い、返却された商品を同ブランドのリセールサイトに組み入れる。従来なら、これらのブランドは各種のサイズにわたって既知の数のSKUをリストしていたが、リセールにおいては20年以上前に製造された商品の一度きりのサイズがリストに記載されることもある。アーカイブの共同創設者でCEOを務めるエミリー・ギッテンズ氏は、そのプロセスにおいて同社が支援すると語っている。

ギッテンズ氏は次のように述べている。「この操業開始において当社が行ったことのひとつは、ザ・ノース・フェイスの商品データと過去の商品カタログ、およびそれぞれの商品に関するすべての写真情報と価格を活用することだった。これにより当社は、ザ・ノース・フェイスのメインラインのサイト環境と比べて非常にブランドらしく感じられるような、高級感のあるユーザーエクスペリエンスを作り上げることができた。さらに、テスターが実際に商品を見つけ、その商品についてすべてのデータを引き出すことができるため、倉庫でのプロセスがより効率的になった」。

最初の段階では、アーカイブ、テルサス、ザ・ノース・フェイスはリコマースプロセスの中間者の役割を果たし、売り手から中古品を買い入れ、クリーニングして保管し、最終的な買い手に配送する。しかし、アーカイブは過去にダグネドーバー(Dagne Dover)などのブランドと、デポップ(Depop)やイーベイ(eBay)と同様に、ダイレクトピアツーピアコマースで協力してきた

トーマス氏は、リセールがより競合的になっていくことを確信しており、一方でアーカイブのテクノロジーによって、ダイレクトのピアツーピアリセールを、同社が5月前半にリリースしたモデルとともに今後提供していくことに期待している。

同氏は次のように述べている。「これをどのように行うべきかのプレイブックはないし、確立された基準もない。各ブランドがほんの2年前に試みていた方法は、現在試みている方法とは大きく異なる。現在は多くの競合が存在する」。

[原文:Why The North Face is relaunching its “Renewed” resale business]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:黒田千聖)
Image via The North Face

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