この世には、“よく見かける蕎麦” というものがある。あの店にあったと思ったら、今度はこっちのお店にも……と、神出鬼没的に遭遇するのだ。そんなエンカウント率の高い蕎麦のひとつに『みちのく 南部そば』がある。
もしかしたらパッケージの印象が強いだけなのかもしれないが、とにかく頻繁(ひんぱん)に目撃している印象がある。なぜだろう。営業が強いのかしら? ともあれ、製造者は当連載初の岩手県勢。みちのくの蕎麦の味とは、いかに?
ちなみに南部そばとは何ぞや? とパッケージ裏を眺めたところ、
「みちのくの味覚 『南部そば』について
戸田久は、自社開発工場で精製して製粉。自社独自の製造工程で何よりも風味を大切に、注意深くゆっくり造りあげた『南部そば』でございます。
豊かな芳香、心よい口ざわりと歯応え、しっとりとした旨味をお届け致します。」
──とのことで、結局「南部そば」が何なのかは分からないままであるが(商品名なだけ?)、とにかくいつものように茹でていくことにしよう。
デカい鍋にたっぷりのお湯を沸かし……
6分ゆでたら……
ハイ完成。
して、そのお味は──
冒頭、「よく見かける蕎麦」と書いたが、もしかしたら少し表現が違ったかもしれない。この世には、“どこかで出会ったような気がする人” がいる。それと同じく、“どこかで食べたことのある気がする蕎麦” がある。これがそれだ。
とにもかくにも、どこかで食べたことある……そんな蕎麦。「デジャブそば」とでも言おうか。なお、パッケージに書いてある通り「口ざわり」と「歯応え」は非常に小気味よく、どんな蕎麦にも合いそうだ。
「家そば」か「外そば」かで言えば、そのまま『もり』で食べるなら家。もしも海苔をかけて『ざる』にしたり、『おろし』や、『なめし(なめこおろし)』、はたまた『とろろ』なんて味のそばにしたら「外」かなと。
つまるところ、どんな相棒にも合わせられる、相棒ありきの蕎麦とみた。ピンではなくコンビでこそ能力を発揮するタイプ。どんなボケにも合わせられる、みちのくのツッコミ職人。そんな蕎麦だ。
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24