Looopは8月26日、独Heliatekの有機薄膜太陽電池を国内で独占販売すると発表した。日本における独占的パートナーシップを結び、Heliatek太陽電池の設置販売と普及を目指す。
「Heliasol」を手にするLooop 代表取締役社長CEOの中村創一郎氏
Heliatekは、独ドレスデンに拠点を構える有機薄膜太陽電池のリーディングカンパニー。2006年に設立し、The Green Quest 2020、OE-A Competition 2020 Best Publicly Funded Project Demonstratorなど、数々の受賞歴を持つ。
有機薄膜太陽電池「Heliasol」は、軽量で曲げられるフィルム形状の太陽電池。湾曲した屋根や壁面など、設置の自由度が高く、従来の太陽光の設置が難しいとされてきた荷重制限のある場所へも設置できることが特長だ。
「Heliasol」の特長
Looop 経営戦略本部事業支援部経営企画課主任の小野淳一氏は「自治体による太陽光設置義務化の検討など、再生可能エネルギーの導入が望まれているが、一方で、太陽光については設置する適地の減少などに伴い、認定容量は年々縮小する傾向にある。太陽光導入への押し上げ要因である屋根上については、既存のシリコンパネルでは置けない場所もあり限界があるのが現状。Heliasolは設置場所の制限が少なく、湾曲した場所や壁などにも設置可能だ」とした。
Heliasolは、軽量かつ曲げられる太陽電池として注目が集まる第3世代有機系に属する太陽電池。同様の特長を持つ太陽電池として「ペロブスカイト」も注目されているが、まだ商品化がされておらず、市場投入には時間がかかる見込みだ。
一般的な太陽電池の分類
すでに、世界で30件以上の実証プロジェクトを実施しており、壁面や湾曲面などに設置しているとのこと。「この製品しか施工できなかったケースもある」(Heliatek CEOのGuido van Tartwijk(ギド・ファン・タートヴェイク)氏)というほど、さまざまな形状、素材、壁や陸屋根などへの施工実績を持つ。
日本でも2020年10月から2022年2月にかけて、滋賀県草津市の立命館大学BKCキャンパスで、Heliatek製太陽電池を設置した実証実験を実施。ほかの太陽電池と比較しパフォーマンスを確認したところ、化合物太陽電池(CIS)と同等の発電量が得られることが確認できたという。
「Heliasolは2021年に販売を開始し、2022年に変換効率を改善し、量産ができる体制になった。環境にも優しく、1キロワットアワーあたり10g未満のカーボンフットプリントを実現しており、製造時の消費エネルギーが少ない上、廃棄時の工数も少ない」(タートヴェイク氏)と特長を話す。
カーボンフットプリントの比較
Looop 代表取締役社長CEOの中村創一郎氏は「既存の太陽電池では重量の問題があり、設置できないという課題があったが、その問題を解決するのがHeliasol。Heliatekと共に日本に有機薄膜太陽電池を広めていこうと考えている」とコメントした。
左から、Looop 代表取締役社長CEOの中村創一郎氏と Heliatek CEOのGuido van Tartwijk氏