この時期、毎日のように冷奴を食べている。てきとうに冷蔵庫にある薬味をのせるか、面倒ならのせもせず、醤油をかけて。で、うまいな〜とは思いつつ、特別ありがたがるということもなく、どこか漫然と食べてしまっている。
けれども、豆腐ってよくよく味わえば情報量の多い食材だ。たとえば醤油をかけずにそのまま食べて、自分のなかからどれだけ感想が絞り出せるだろうか? そんなことが気になった。
そこで、「調味料をかけないプレーンな豆腐」を起点に、1品ずつじわじわと味覚の情報量が増えていくような構成の、6品の料理を用意した。そのグラデーションを含めてゆっくりじっくり味わうことで、なにか気づくことがあるんじゃないだろうか?
それぞれ自宅にいる酒の穴のふたりが同じものを用意し、オンラインで同時に味わいながら、感想を言い合う晩餐会を開催してみた。
プレーンチューハイで乾杯!
パリ:今回の企画、もちろんストイックに臨みたいんですが、そこは「酒の穴」なので、お酒は飲みながらやらせてもらいましょうねと。
ナオ:はい。といっても、我々が好きでよく飲んでる「プレーンチューハイ」、これがもう、かなり無味に近い液体ですもんね。
パリ:味のない甲類焼酎を味のない炭酸水で割ったものですから。お互いそれを用意しているので、じゃあま、乾杯しますか!
パリ:いっつも「味しないね〜」なんて言いながら飲んでるけど、焼酎の味、ちゃんとしますね。
ナオ:うんうん。水とはぜんぜん違う。それは当たり前か。
パリ:はは。炭酸自体水とはぜんぜん違うしね。つーか、僕はタカラが出してるプレーンチューハイ「タンチュー」を飲んでるんですけど、これってベースの焼酎が「極上<宝焼酎>」なんですよね。
ナオ:あ、私が飲んでるいちばんオーソドックスな「宝焼酎」よりひとつ上のグレードの。
パリ:極上って「樽貯蔵熟成酒3%ブレンドしたひとクラス上の宝焼酎」らしくて、今まではそんなのわかんねー! と思ってたけど、わかろうとしてなかっただけかもしれない。ほんのりと深いような、後味にかすかに、舌にまとわりつくような甘みがあるような。
ナオ:確かに前にタンチューを飲んだ時のことを思いだすと、まろやかさがあったような気がする。
パリ:うん。まろみがあるのにキレもある。
パリ:あ、ナオさん。これ、いきなり飲みこまずに少しの間口のなかにとどまらせておいて、それを舌でじっくり感じると、炭酸の刺激がすごいですよ。
ナオ:どれどれ……わはは!
パリ:べろが痛くなってくる!
ナオ:これなんなんすか。痛くなってくるの。ふだんごくごくっと飲むばかりだから気がつかなかった。
パリ:この行為、新しくないすか? 「口内炭酸浴」……ぶふっ! ちょっと、限界までやってみてくださいよ。
ナオ:はは。炭酸痛さがまん選手権。
ナオ:うわっ、もう限界でした。
パリ:ふたりともちょうど10秒くらいで限界がきましたね。
ナオ:刺激グラフがなだらかに下っていくとかじゃなく、ぐんぐん上がっていく。
パリ:チューハイにこんな顔があったとは。「今日はレモン足そうかな〜? それとも梅かな〜?」とか言ってる場合じゃなかったのかも。
ナオ:プレーンすらきちんと味わえてないんだからね。
1品目:味つけなしの「豆腐」
ナオ:それじゃあ1品目なんですけど、豆腐を味つけなしでそのまま食べてみようと。
パリ:はい。ちょっと美味しい豆腐を買ってきたりすると、最初のほうを塩で食べたりはするけど。
パリ:ほんの少〜しから始めてみます。
パリ:淡いな〜……。そもそも僕の豆腐、3パック重なって100円くらいの安い木綿豆腐で、ナオさんのの1/3くらいの値段だと思うんですよ。そこも関係してるのかもだけど、うわ! 豆の味がすごい! とかじゃなくて、ひたすら淡い。
ナオ:はいはい。では私も……
ナオ:私は豆乳が好きでよく飲んでるんですけど、当たり前だけど、豆乳の美味しさが豆腐にはある。それを今、思い出させてもらいました。
パリ:そうか、豆乳って素のまま飲みますもんね。それで味が足りないとか思うことないし。そう言われみるとこれ……あ、本当だ。豆腐って「食べる豆乳」ですね。
ナオ:はは。豆乳が本体に。いやでも、そういう意味で、ぜんぜん好きです。無味豆腐。
パリ:あと、豆乳をごくっごくっと飲んでいくような感じで、最初の淡かったひと口目よりも、2、3口と重ねるごとに味が広がっていくな。だんだん、味つけいらないかもって気がしてきた。
ナオ:しかしこの豆腐、驚くほど甘みがあるな。
パリ:こっちの豆腐も、あるはあるけど……ちょっと甘さ控えめかな。
ナオ:はは。もともと砂糖が入ってる商品でもないのに。
ナオ:でもさ、お豆腐屋さんって本当は、このまま食べてほしいんじゃないですか?
パリ:確かに。ものすご〜くこだわって作った豆腐をいきなり「麻婆豆腐の素」であえられたら、嫌かも。
ナオ:そうそう。うちの母親、ラーメン屋に行ったら、出てきたラーメンにいきなりお酢をかけるんです。いっつも、まずデフォルトの味を見てからじゃないの?と思うんすけど。
パリ:同じことを豆腐ではやってしまってたんだ。まぁ、豆腐屋さんっつって、ラーメン屋みたいにテーブルに豆腐が出てくる店はあんまりないから、ちょっと比べるのは難しい所ですが。
ナオ:ははは。そうか。
パリ:これ、しょうゆかけてみたいですよね?
ナオ:うん。でも、いつかけます?
今かけるともう戻れないし、次の「味なしゆで玉子」より強くなりませんかね。
パリ:そうか、じゃあいったん残しておいて、あとで試しましょう。
2品目:味つけなしの「ゆで玉子」
ナオ:豆腐のプレーンは、実は前にも食べたことがあったんです。でもゆで玉子のプレーンは完全に初めて。
パリ:確かに、もしもゆで玉子を食べようとして「塩がない!」というシチュエーションならもう、食べないですよね。
パリ:まずは白身部分のみからスタートしたいですよね。
ナオ:黄身までいかず。
パリ:じゃあいってみましょう。
パリ:うわ、香り強っ!
ナオ:強っ! なんだ、もう、温泉。温泉みたいだ。
パリ:はは! 温泉玉子だこれ!
ナオ:ゆでただけなのに。
パリ:え!
もう、舌にふれた瞬間に塩味を感じるんですけど。
ナオ:ほんとだ。いつの間に?
ナオ:今、黄身にたどり着いたんですけど、黄身にも塩味がしっかり。ただ買ってきた玉子をお湯でゆでただけのはずななのに。
パリ:ははっ、ほんとだ!
味濃いな〜。
ナオ:しかも複雑でね。
パリ:また本当に偶然なんですけど、今日のゆで玉子が、固ゆでと半熟のちょ〜ど中間くらいに仕上がって。
ナオ:本当だ。きれいですね。
パリ:パサパサすぎず、とろとろすぎずの黄身が、ぷりんとした白身と相まってたまらないんです。でも玉子って、このゆで時間を変えるだけで無限の味のグラデーションが生まれるわけでしょう。
ナオ:そうですね。私のほうはかなり固ゆでですけど、黄身の力強さとか、それこそ塩味がぎゅぎゅっと凝縮されたような。
パリ:それも好きなんですよ! もちろんとろけるような半熟も好き。しかも、ひとつの楕円形のケースのなかに、個性の違う白身と黄身がくっきり分かれて存在してる。玉子って、まじすごくないすか?
ナオ:宇宙ですね。それに、豆腐のあとに食べたからか、動物性のものっていう力強さがすごい。
パリ:前にデイリーの企画で、ふたりで高級玉子を食べてみたことあったじゃないですか。ああいうのを味なしで食べたらどうなっちゃうんだろ。
ナオ:ね。違いを確認したい。でも、こうやって食べることによって、いつもの玉子がちょっといいものにも感じますよね。
パリ:うん。ありがたみを感じます。
3品目:塩だけで味つけた「もやし炒め」
ナオ:はは。ずっと白いな、今のところ。
パリ:あ、もう香りが複雑。もやしの青っぽいような香りと……豆っぽいような香りもするかな?
ナオ:もう、料理だわこれは。
パリ:いただきます!
ナオ:うめぇ〜……。
パリ:これは……やりすぎだわ。
ナオ:味がありすぎる。
パリ:味の暴力ですよ。
ナオ:塩ってすごいっすね。
パリ:うん。けっこう薄めにしたつもりなんだけど、塩すっごい。またいろんな味と食感がしてな〜。ばっくばく白メシいけますね、これ。
ナオ:最強のごはんのおともですね!
パリ:あと、ここで油が登場してきたから、くちびるに油がまとわりついてくるのがわかる。
ナオ:わかるわかる。もう嫌! ってくらい。
パリ:はは。もやし炒め食って「あぶらっこい!」っていう。
ナオ:いやすごいな、もやし炒め。というか、塩と油の強さ。
パリ:もやしはまた、あらためて食感がいいですね。1本だけを口に入れてゆ〜っくり噛んでいくと、もやしの細胞壁がつぶれてなかから水分があふれだす感じがすごくわかります。
ナオ:しかも、味が変化していきますね。最初は塩と油、徐々にもやしのジューシーな果肉感が感じられてきて。
パリ:うん。だいぶジューシーですね! もやし。
ナオ:はは。もやしがジューシーってな。
パリ:砂漠で遭難したときにこれひと袋あれば、1本ずつからじわぁ〜っと水分もらいつつ、2、3日は生きのびられるんじゃないですか?
ナオ:次回エジプト行くときは、もやし必携ですね。
パリ:しかしこの、わさっと食べるより1本のほうがディティールが感じられるっていうのは、いろんな料理や食材に共通するんでしょうね。豆腐やゆで玉子を味なしで食べた時の感想とも近いというか。
ナオ:うんうん。それでいて、特にもやしなんて、ふだんはまったく大事に思わずに食べちゃってるじゃないですか。
パリ:あんまり過度な期待もせずに。
ナオ:集合体として、わしゃわしゃっと。で、それが悪いかというと、その美味しさもあるんだよな。
パリ:毎度毎度1本ずつは食ってられないしね。
ナオ:はは。だから、たまにこうしてありがたみを確認するといいのかも。
パリ:そうですね。あえてそういう機会を設けるの、大切。
4品目:再び素材をそのまま味わう「トマト」
ナオ:すでに3品、少しずつ味が濃く、満足度が高くなっていくおかげか、もうずいぶんごちそうを食べた気になってきました。
パリ:ですね! あと、もう腹六分目くらいにはなってる。
ナオ:はは。しかもそれぞれ少しずつ残してるのにね。だから、ダイエットにもいいんじゃないですかね、この食べかた。ほらよく、よく噛んでゆっくり食べると満足度が上がるって言うじゃないですか。
パリ:今、身に沁みて実感してます。
パリ:僕はもう、この状態でいきますよ。
ナオ:かぶりつくんだ! ワイルド。私はカットしました。冷やしトマトって、居酒屋で頼んでもたいてい塩がかかってるか、マヨネーズが添えてあったりしますよね。
パリ:うん。なんならたっぷりめに味の素がかかってたり。
パリ:丸のままだと、そんなに香りはしないな……。
ナオ:いや、切るとすごいですよ。よく、甘いトマトを食べて「フルーツみたい!」とか言うじゃないですか。そんな感じ。もう、フルーツのにおい。
パリ:食ってみますか。
パリ:あ〜……うまいうまいうまい。
ナオ:不思議な食べものですよね。フルーツっぽいんだけど、そこまで甘いわけでもなくて。
パリ:ね。で、やたらと旨味がぐわっとある。あ、でも、最初はまさにいつもの、青くさいようなトマトの感じなんだけど、最後のほう、なんだっけな〜この味……すもも? プラム? それと同系統のフルーツみを感じますよ。
ナオ:うんうん、あ、そうか。トマトって、中心に近い種のまわりはじゅくじゅくっとしてるじゃないですか。で、まわりの皮周辺はやっぱり硬い。その間の真ん中部分が甘くないですか?
パリ:うんうんうん!
要するに、ちょっとしゃりしゃりしてる、メインの果肉の部分というのかな。パーツに分けてそこだけを食べると、トマトじゃなくてフルーツだ!
ナオ:そこがフルーツだね。
パリ:僕らが“トマトっぽさ”と感じてる要素の大部分をになってるのって、実は種と皮だったんだ。それがトマトを、フルーツではないものにしてる。
ナオ:これ、分解して食べるとわかることがたくさんありそうですよ。ちょっと種だけで食べてみましょうか。
パリ:あ、「子供が嫌いそ〜」っていう、トマトの酸味、青み方面の特徴を煮詰めたような。
ナオ:トマトが苦手な人が苦手な部分ですね。いやでも、うまいですよ。
パリ:うまいうまい
ナオ:で、皮付近。あぁ、こっちは歯ごたえ担当だ。
パリ:歯ごたえすごいっすね。なるほど、こうなってたのか。
パリ:思ったのが、種だけ食べるの、食感にちょっと「じゅん菜」っぽさもあって、酒のつまみによくないすか? 大変だけど集めて食べる価値ある。皮は皮で、むいて1日天日干しにでもすると旨味が凝縮されて、これまたいいつまみになりそう。で、フルーツ部分をお子さんにあげる。
ナオ:はは。大人は珍味担当で。
パリ:子供のトマト嫌い克服法になりそうですよ。細かいダイス状にでもカットして出したら「この果物、おいし〜!」って。
ナオ:ぜんぜんありえます。そしてトマト好きである我々にとってはけっきょく、全体をいっしょくたに食べるのが一番美味しい。トマトー! って感じで。
パリ:そう考えると、すごく高度に完成された存在ですね。トマトって。
ナオ:ね。しかし、種うめ〜な〜……。
パリ:種うまい。この種がなかったらもう、トマトじゃないんだよな。ただのフルーツ。
5品目:シンプルな水煮の「鯖缶」
パリ:あんまり食べる機会ないなぁ、鯖の水煮缶って。
ナオ:そうですか? 私はけっこう好きで。まぁでも、缶詰自体そんなに日常的に食べるものでもないですからね。今回、お互いにスーパーなどで同じメーカーのものを探して、偶然同じものがあったのがこの、
パリ:初めて聞いたブランドだけど、かなり肉厚な感じで、これ、けっこういい鯖缶なんじゃないですか?
ナオ:ですよね。250円くらいしたから。
ナオ:どれ、いただいてみましょう。
パリ:……ふふっ……だめだよこれは。
ナオ:味が急に複雑すぎる!
パリ:あぁ〜、うまいな〜! ふわっとした身のほろほろっとほぐれる感じとか、骨のしゃりしゃりっと崩れる感じとか、食感だけでもすごいですね。
ナオ:ツナっぽいぎゅとしたところも美味しいし。しかも、食感だけでもバリエーション豊富なのに、甘み、しょっぱみ、旨味、ってどんどん味がやってくる。
パリ:これやっぱり、鯖缶のなかでも特別美味しいやつなんじゃないですかね? 嫌な缶詰っぽさみたいなのがぜんぜんなくて。
ナオ:うん。うま……うますぎるんだよな。
パリ:あ、鯖の身が、こうなってるじゃないですか?
パリ:その、僕の手でいう指側、腹身って言えばいいのか。そこだけ食べるとまた、めっちゃ脂がのってて、それがとろけてうまい!
トロですよこれ。
ナオ:本当だ! 1缶のなかにこんなにいろんな美味しさが詰まっているとは。もう、豆腐からたどり着いたからこんなにうまいのか、あいこちゃんの鯖缶が特別うまいのか、わからなくなってきた。
6品目!に行く前にちょっと戻ってみる
ナオ:パリッコさん、ここでいったん、ちょっともやしに戻ってみません?
パリ:なるほど、戻るのも試してみたい。もやし食べてみますね。
ナオ:……あ、さっきと味の感じかたが違いません?
パリ:本当だ。第一印象がぜんぜん違う。
ナオ:甘さ、もやしの甘さとかみずみずしさが前面にくる!
パリ:そうか、さっきは食塩なしの世界からここへやってきたから、塩気とか脂っ気をまず感じたけど。
ナオ:うん。塩気きっちりの鯖から戻るとね。
パリ:これもう、今日のをそのままコース料理として出せるんじゃないですか?
ナオ:というか、コース料理ってそういうことだったのかな?
パリ:はは。たまに食べて「美味しいものがどんどん出てくる〜」とか喜んでたけど、そうか。料理って、構成とか順番を組み立てることによって、いかようにも印象を変えられるし、より美味しく食べられるんだ。
ナオ:そういうことだったんですね。コース料理って。
パリ:「豆腐に醤油」っていうのもこのあたりで試してみたいんですけど。
ナオ:味なしではなく、いつもの。いいですね。うわ、パリッコさん、いったん醤油だけかいでみてくださいよ!
すごいですよ!
パリ:……ぅわあ〜! なんだこの誘惑的な香りは。魔法の液体って感じですね。
ナオ:もう、ワイン。上等なワインのようですね!
パリ:ね! それの香りあまり知らないけど。
パリ:美しいな〜。もう、名瀑のようですよ。
ナオ:はは。きれいな景色だな〜。
パリ:では食べてみますね……うん、あれ? すいません、真っ先に感じたのが、急に陳腐な感想になっちゃうんですが、豆腐に醤油って合うな〜、美味しいな〜っていう。
ナオ:ははは。いつもの。
パリ:せっかく研ぎ澄まされはじめていた感覚が、ちょっと戻ってきちゃうというか。要素を重ねるほどにいつもの自分に近づいちゃう。
ナオ:そして、醤油のパワーがすごい。もってくな〜、醤油。
6品目:ついにフィナーレ! 「カップラーメンみそ味」
パリ:最後はもう、あえていろんな味がしそうな領域のマックスまでいってみようと、カップ麺。僕は、ナオさんが好きだという「ホームラン軒 合わせ味噌ラーメン」を買ってきました。
ナオ:そうそう。大変申し訳ないというか、めちゃくちゃ悔しいんですけど、同じホームラン軒のみそ味でやってみようという話になってたんですよね。それで、私がいつもそれを買ってるスーパーにさっき行ったら、なんとこのタイミングで取り扱いをやめてしまっていて。
パリ:はは。ずっと頼りにしてたのに。
ナオ:実は今、そのことにものすごいショックを受けている状態です。しかしひとまず、「マイフレンド」というメーカーの「合わせ味噌ラーメン」を買ってきました。
ナオ:ホームラン軒はけっこうカロリーも低いでしょう?
パリ:低い。329kcalだって。
ナオ:ノンフライ麺で、量も適度だから、つるんっと食べられるんです。
パリ:いいですね。さっそく作ってみよう。
ナオ:うわ! お湯を入れた瞬間からただよいはじめる香りがすごすぎますね。うまっ。
パリ:わかる。まだ食ってなし、できてもないのに。
パリ:よし、では食べてみましょう!
ナオ:いただきます! ズズズッ
ナオ:へ〜、「サッポロ一番」にちょっと近いかな?
パリ:いや、それ普通のカップ麺好きの感想じゃないですか!
ナオ:ははは。……うん! うま〜い。
パリ:これはもう、いつもの体に戻ってるな。おれも食ってみよう。
パリ:……うん。あ、うま! 細麺ともやしが絡む感じがいいですね。
ナオ:これまた普通の感想!
パリ:わはは。だめだ、感覚が戻っちゃってる。
パリ:あの、理由が3つほど思い浮かぶんですが、まず、お湯をわかしたりなんだりで、10分くらいチューハイすすりつつのんびりしちゃったじゃないですか。かつ、さっきの鯖缶が食材本来の旨味という意味ですごすぎて。
ナオ:もはやじゅうぶん満足感を味わっちゃってるんですよね。
パリ:それに加えて、ゆっくり食べてたから、ラーメンを食べる時点でけっこうお腹いっぱいという。
ナオ:はは。わかる。よし、こうなったらもう、さっきの残りのもやしとゆで玉子、ここに入れちゃおう!
パリ:あ、もやし合いますね。うまいっ!
ナオ:いつもどおりうまいな〜!
パリ:あ〜、食った食った。
ナオ:苦しいっすね。
パリ:食べ放題が好きな人もよく、「よくばりすぎず、腹八分目で終わるのが満足するポイント」って言うじゃないですか。今まさにそんな感じ。
ナオ:ね。せっかくあんなにも輝いていたもやしやゆで玉子を、いつもの食事に引きずり下ろしてしまった気持ち。
パリ:はは。自分たちで上げといてね。でも中盤までの体験は衝撃でしたね。
ナオ:うん。やってよかったなと思うし、感動しましたよ。
パリ:いつも食べているものに味をつけないで食べてみるとか、シンプルなもやし炒めをとことんじっくり味わってみるとか。
ナオ:そしてたどり着いた鯖缶の情報量ね!
パリ:なんだか味覚が生まれ変わったような。
パリ:だから、美味しかったけど、今回の企画においてはカップ麺は不要でしたね。で、あの鯖缶の位置に持ってくる料理を、いろいろ変えてみてもいいのかも。炊きたてごはんの塩むすびとかすごそうじゃないですか?
ナオ:やばい! そこにみそ汁なんか添えちゃったり。
パリ:気絶しそう。あの位置になんでも、あまりジャンクでない、自分の好きな料理を持ってくることで、いろいろとリセットされつつ、食への感謝も湧いてきそうですね。
ナオ:半年に1回くらい、またやりましょう。