6Gの候補であるテラヘルツ帯の電波を脳の神経細胞に照射すると細胞が異常な成長を遂げたことが明らかに

GIGAZINE


周波数1テラヘルツ近くの帯域幅は、次世代通信規格「6G」に割り当てられる候補として近年有力視されています。高速な通信を実現することが期待されているテラヘルツ帯の周波数ですが、このような周波数の電波をマウスの神経細胞(ニューロン)に照射した実験において、ニューロンが通常の約150%という異常な速度で成長したことが明らかになりました。

Eyes on 6G safety as Chinese scientists find terahertz radiation boosts brain cell growth in mice | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/china/science/article/3188633/eyes-6g-safety-chinese-scientists-find-terahertz-radiation

北京師範大学のLi Xiaoli氏らが、ペトリ皿に置いたマウスのニューロンに0.3テラヘルツから3テラヘルツまでの広い周波数の電波を3分間照射したところ、ニューロンは通常よりも約150%速く成長しました。対照群と比べて超高速で成長したにもかかわらず、分子生物学の観点から、照射されたニューロンは健康なままであることが示唆されたとのことです。

また、ニューロンをつなぐ軸索も3日間で2倍の長さにまで成長したとのこと。ただし、このような成長は永遠に成長するわけではなく、最初の照射から2日後には成長速度が著しく遅くなる傾向にあったといいます。

Li氏らは「この発見は新しい通信技術の安全性を評価するのに役立つほか、脳の病気の治療法の開発にもつながる可能性がある」としています。


Li氏らによると、神経細胞の成長につながるタンパク質にはたくさんの水素結合があり、絶えず振動しているとのこと。この振動の周波数が偶然にもテラヘルツ帯とかぶり、特定のタンパク質の生成と活性を高めることができると述べられています。これによりタンパク質の形状に影響を与え、ひいてはニューロンの構造や機能に影響を与える可能性があるとのこと。

しかし、タンパク質の内部構造は個体によって大きく異なる可能性があり、さらに比較的弱いテラヘルツ波には特定のタンパク質しか反応しないといいます。Li氏らは「異なる被ばく強度によって引き起こされるタンパク質の変化を理解するために、さらなる調査が必要である」と述べました。

西安交通大学が行った別の研究では、90mWのテラヘルツ波を1日20分、3週間にわたって照射したところ、若いマウスの新しい脳細胞の数が大幅に増加したことが報告されています。一方で年老いたマウスには変化がなかったそうで、その理由は明らかになっていないとのこと。西安交通大学の研究チームは「細胞が変化したことで、マウスが生命の危機にさらされたときに、より迅速に逃げ道を見つけるのに役立つ可能性がある」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
アメリカと中国はすでに6Gの覇権をかけて争っている – GIGAZINE

Appleが6G(第6世代移動通信システム)技術開発のための人材募集を開始 – GIGAZINE

次世代Wi-Fi規格「Wi-Fi 7」の詳細まとめ、Wi-Fi 6よりも具体的にどの程度高速化できるのか? – GIGAZINE

・関連コンテンツ

2022年08月15日 21時00分00秒 in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.

Source

タイトルとURLをコピーしました