「 D2C へのベンチャー資金は減少していく」:フォアランナー・ベンチャーズのボーンスタイン氏が語る、ビジネスが成長し続けるための要素

DIGIDAY

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次の10億ドルブランドは、おそらくD2C新興企業ではないだろう。

これは、フォアランナー・ベンチャーズ(Forerunner Ventures)のプリンシパルを務めるジェイソン・ボーンスタイン氏の見解によるものだ。同氏は、次に投資すべき大きなビジネスを探し求めており、オンライン専業のブランドが最良の選択肢であるかどうかに疑問を抱いている。その代わりに同氏は、より大規模なイノベーションに注目している。

同氏はこのほど、米モダンリテールのポッドキャストに参加し、自身の経歴、投資の原則、そして現在同氏が注目している分野について語った。「我々がここで本当に探し求めているのは、テック面での新しいビジネスモデル、すなわちイノベーションだ。つまり、ビジネスを下支えするテクノロジーがあるかどうかが焦点となる」と同氏は述べている。

同氏は数十年にわたってデジタル小売業界に身を置き、ボノボス(Bonobos)など初期のD2C参入企業の出身である。そして、これらのブランドは投資家の目に留まり、消費者へのダイレクト販売モデルで成長してきたが、同氏は、もうそれが通用しないことを確信している。

「ブランド、特にデジタルブランドとして成功することを考えたときに、重要なのはこれらのビジネスに投入されるベンチャー資金は減少していくということだ」と同氏は述べる。

消費者向けブランドのほとんどにとって、それらのブランドがこれまで市場で見られなかったような本当の差別化の要素を保有していない限り、VCはうまく働かないというのが、同氏の見解だ。そして、以前のブランドが顧客を増やすために使ってきたトリックは、10億ドル規模の評価額を得るために十分ではない。

その代わりに同氏は、従来型のビジネスモデルが成長を続けるための新しい方法を模索している。同氏はその例として、デジタルヘルスケアと、リセールの台頭を挙げている。

しかし、それ以外に、企業が顧客を見いだして維持する方法にも関心を抱いているという。同氏はこれまで、「顧客からの支持と顧客の維持はほとんど注目されてこなかった」としている。しかし現在は、「次世代のブランドは、これらの点に注目することで成功するだろうと、私は考えている」。

これは、ボーンスタイン氏とフォアランナーが新しいデジタル専業の小売ブランドに今後投資しないということではない。しかし「我々が今後投資する企業の数は、これまでよりも少なくなるだろう」としている。

以下に対談内容の要点のいくつかを示す。これらは明瞭さを考慮し、多少の編集を加えたものである。

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ボーンスタイン氏の調査主導型アプローチ

「当社には、特定の垂直分野やトピックに特化した人材はいない。投資はさまざまな分野にわたって行われるものだ。そして、それによって当社は長期的に多種多様な投資を行うことができる。さらに、ある程度までは我々自身の個人的な関心に合わせることもできる。ここでの私のやり方は、私が調査主導の投資家で、点と点を結び付けることに特化しているということだ。このため、私は最初に関心を引かれたトピックを見つけると、頭のなかでノートを開き、ファイルの構築を開始する。これは数カ月から、最長で1年間にわたることがある。そして私は個人としての経験、チームの経験、ポートフォリオについての学習事項、マーケットについての学習事項、新興企業を調べる。そうしてから、目的のために十分な数の点が結び付けられたとき、私はフォアランナーがそれについてどのように考えるかを形成できるよう、調査作業の道筋を視覚化していく。そして、ここで肝となるのは、ナラティブを作り出すことだ。さらに、すぐ利用可能な情報をどのように結び付けるかも重要なところだ」。

ほとんどのD2CブランドにとってVCが適切でない理由

「ブランド、特にデジタルブランドとして成功することを考えたときに、まず重要なのは、ビジネスに使用できるベンチャー資金は減少していくということだ。その理由のひとつは、D2Cにはもう十分なビジネスモデルのイノベーションがないということだ。10年前にはイノベーションがあったし、7年前にもあったかもしれないが、現在はもう存在しない。しかしこれは、デジタルブランドが良いビジネスではないという意味ではない。私は、これらが良いビジネスだと考えている。言いたいのは、これらの企業にとってベンチャーが適切な資金ではないということだ。問題となるのは、適切な資金源をどのように獲得するのか、そして以前なら10億ドル規模のブランドしか使用できなかった多くのテクノロジーに、どのようにアクセスできるようにするかということだ」。

顧客のロイヤルティは新しい顧客の獲得に匹敵する

「この10年間、成長とは顧客の獲得と同じ意味だった。顧客を獲得するために資金がつぎ込まれてきた。顧客のロイヤルティや、顧客の維持にはほとんど注意が払われてこなかった。次世代のブランドは、これらの点に注目することで成功するだろうと、私は考えている。顧客の獲得は今では競争の前提条件だ。これを達成する方法を見つけださなくてはならない。新しいチャネルは常に存在し、それらを最初に利用することで優位点を得ておきたいところだ。しかし、これらは前提条件にすぎない。本当に差別化できるのは、今いる顧客に注目し、これから獲得する顧客に対するのと同じように、その顧客に対応することだ。それによって、自社を競合で優位に立たせることができ、ビジネスの経済も変化していくだろう」。

[原文:‘The appropriate capital for them is not venture’: Forerunner’s Jason Bornstein on the tumultuous landscape for DTC startups]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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