ヨガは認知能力や肉体的な健康によい影響をもたらすことが知られているほか、消化を助けて過敏性腸症候群(IBS)の症状を改善するという研究結果も報告されています。ヨガが消化を助ける理由について、科学系メディアのLive Scienceが解説しています。
Yoga for digestion: How it works | Live Science
https://www.livescience.com/yoga-for-digestion
アメリカでは6000万人~7000万人が何らかの消化器系の不調や疾患を抱えているとのことで、その原因は食生活や睡眠習慣など多岐にわたります。アメリカの登録栄養療法士であるイブ・カリニク氏は、消化器系の問題においてはストレスも原因になっていると指摘し、「コルチゾールのようなストレスホルモンが腸の炎症を増加させることがわかっています」「ストレスは腸の保護機能と『善玉菌』『悪玉菌』のバランスを損なう可能性があり、バランスの崩壊によって全身でより多くの炎症を経験するようになるのです」と述べています。また、ストレスホルモンは腸の運動にも悪影響を及ぼすため、膨満感や排便にも影響するとのこと。
複数の研究が「ヨガを実践したIBS患者は症状が有意に軽減される」という結果を支持しており、ヨガはIBSの効果的な治療または選択肢になり得ることが示唆されています。さらにカリニク氏は、ヨガの基本的な呼吸法である腹式呼吸は横隔膜を上下させるため、副交感神経を刺激することでストレスレベルを低下させて腸の健康をサポートする可能性があると主張しています。
また、Live Scienceは消化を助けるとされている簡単なヨガもいくつか紹介しています。
◆1:腹式呼吸
・快適な場所に背筋を伸ばして座り、両手を腹部に置く。
・目を閉じて呼吸に意識を向ける。
・鼻から深くゆっくりと息を吸い込み、腹部の下の方を膨らませる。
・息を吐き出しながら、腹部が背中の方に向かって縮まっていくのを感じる。
・これを5~10分間続ける。
腹式呼吸はマインドフルネスでストレスを軽減するだけでなく、横隔膜を使った呼吸で胃腸をマッサージし、消化をサポートする効果もあるとのこと。
◆2:猫と牛のポーズ
・手首を肩幅に開いて四つんばいとなり、背骨を真っすぐに伸ばす。
・息を吐きながら背中を丸め、顎を胸の方に向ける(牛のポーズ)。
・息を吸いながら背筋を伸ばして目線を上に向ける(猫のポーズ)。
・5~10回ほど繰り返す。
猫と牛のポーズは迷走神経を刺激し、副交感神経を活性化させることで胃腸の健康をサポートするとLive Scienceは説明しています。
<スッキリ かんたんヨガ>背中を動かし姿勢改善 猫と牛のポーズ – YouTube
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◆3:ワニのポーズ
・折りたたんだ毛布の上端を肋骨(ろっこつ)に、下端を腰に接するようにしてうつぶせになる。
・足を腰幅に離してつま先を外または内に向け、腕を折りたたんで額をのせる。
・腹部がマッサージされていることを意識しながら、息を吸ったり吐いたりする。
背筋を弛緩(しかん)させて横隔膜を強化し、胃の結合組織や迷走神経を活発化させるとのこと。
◆4:椅子に座ってねじるポーズ
・椅子に背筋を伸ばして座り、足を腰幅に広げてぴったり床に付ける。
・左手を右太ももに乗せ、右手を椅子の背もたれにかけて右回りに上半身をねじる。
・3~5回ほど呼吸したら元の姿勢に戻り、今度は反対側に向けて同じようにねじる。
ねじれのポーズは背中の筋肉や消化器官の周囲を動かし、胃腸を優しくマッサージすると共に血流を刺激します。
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◆5:花輪のポーズ
・足を腰より広く開き、かかとを着けたままゆっくりとしゃがむ。
・肘を膝の内側に押しつけて、手のひらを合わせる。
・そのままゆっくり1~3分ほど呼吸する。
花輪のポーズは腎臓や腸への血流を増やすことで膨満感を軽減し、消化を刺激するとのこと。
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◆6:前屈
・両足をそろえて伸ばし、足裏を壁に押しつけて座る。
・息を吸い込みながら両腕を頭の上に伸ばす。
・息を吐きながら腰を起点にして上半身を前に倒す。
・そのまま5~10回ほど呼吸する。
前屈は肝臓や膵臓(すいぞう)、腸などの器官をマッサージして、血流を改善することで機能回復が見込めるそうです。
◆7:膝を胸に当てるポーズ
・あお向けに寝そべって片膝を曲げる。
・曲げた方のすねに手を当てて胸に押し当てる。
・そのまま5~10回ほど呼吸し、ゆっくり左右にねじる。
・足を元に戻し、別の足で同じことをする。
Live Scienceによると、腹部に穏やかな刺激を加えることで胃が緊張から解放され、消化器系へ送られる酸素と血流を増加させるとのことです。
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