ウォーターボトル が爆発的に売れている:人気の背景に使い捨てプラ禁止と新生活習慣

DIGIDAY

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消費者が出費をますます絞っている状況でも、売上が伸び続けている商品カテゴリーがある。ウォーターボトルだ。

ハイドロフラスク(Hydro Flask)、ダブリュー・アンド・ピー(W&P)、ビルト(Built)、スウェル(S’well)などのブランドはすべて、水補給用アクセサリのトレンドが続いていることから売上の増加を報告している。ダブリュー・アンド・ピーは今年、昨年の同時期よりも3倍のウォーターボトルを販売した。同社によると、ウォーターボトルが、今年のダイレクト販売の合計売上額の20%を占め、断熱ウォーターボトルは11%を占めている。ライフタイム・ブランズ・インコーポレーテッド(Lifetime Brands, Inc.)のスウェルとビルトのプレジデントを務めるジョン・ロスコー・シュワルツ氏は、今年の月ごとの売上額は前年比で20%増加したと語る。

売上を後押ししたトレンド

これらの商品は耐久消費財だが、最近のウォーターボトルの売れ行きに拍車をかけているいくつかのトレンドがある。人々が通勤・通学に戻るにつれ、職場や学校に持ち込むためのボトルを買い求めるようになった。保温・保冷効果に優れた保温ボトルや、よりスタイリッシュなデザインのボトルへのニーズも高まっている。さらに買い物客のあいだには、使い捨てのプラスチックを減らすためにリユース可能な商品を使用する傾向が広がってきた。使い捨てプラスチックの使用を禁止する都市や施設が増えていることで、この動向はさらに強まっている。

「消費者はこの分野で、はるかに多くのものを求めている」と、ダブリュー・アンド・ピーのプレジデントを務めるケイト・ルーベンスキー氏は述べている。同社は最近、セラミックの断熱ウォーターボトルの新商品ラインを発売し、同社のトップセラー商品となった。「このような行動はより広く受け入れられるようになってきたと思う」。

同氏は、買い物客がタンブラーに飲み物を好みの温度に保ってくれることを期待しており、セラミックやステンレススチールなどの高級素材を使った断熱商品の売上の増加につながっていると語る。また、消費者は美観に優れたデザインも望んでいる。そして最終的には、使い捨てのプラスチックのカップのような廃棄物を増やさないよう、このような商品を買い求めていると、同氏は述べている。

同氏は次のように述べている。「コーヒーショップに行かなくても、美味しいアイスラテが飲める。自宅で作ってから高品質の容器に入れ、持ち運ぶことができる。こうすることで、より多くを得ることができる。そして、これは当社のコミュニティが受け入れている『買うよりも持ち歩こう』という精神に沿ったものだ」。

「爆発的に売れた」

スウェルのシュワルツ氏は、ウォーターボトルの売上は毎年夏に増加するが、ソーシャルメディアがこのトレンドを後押ししていると語る。たとえば、TikTokでハッシュタグ「#waterbottle」のついた動画の再生回数は13億回を超え、無数のユーザーが自分の好みのボトルを紹介している。昨年、超大型のウォータージャグが、セレブリティの新しい「イット」アクセサリーとなった。

同氏はメールで次のように語った。「人々は、水分補給が健康やウェルネス全体の重要な部分であることを、従来よりもはるかに広い意味で理解するようになってきた。特に、現在のように猛烈に暑い夏の時期には最重要事項となっている。これらのすべての要素と、リユース可能でサステナブルなライフスタイル商品に対する需要の増大が相まって、断熱商品の検索と購入の増加につながっている」。

ヘレンオブトロイ(Helen of Troy)のCEOを務めるジュリアン・ミンネバーグ氏は、同社の第2四半期の決算発表で、ハイドロフラスクが前年に比べて「爆発的に売れ」、市場でのシェアを獲得していると述べた。同氏は、生徒が学校に戻りウォーターボトルを持参していることと、アウトドアでの活動の増加が原因としている。

「アウトドア市場は大きく、体験も大きい。その結果、バックパック商品のオスプレイ(Osprey)も同様に売れ行きを伸ばしている。そして、このカテゴリー自体が伸びている」と、決算発表でミンネバーグ氏は述べた。「このため、このカテゴリーが伸び、当社もさらに売上を伸ばせば、シェアが増大し、回復力はすばらしいものとなる」。

一部のデータは、ペットボトル入りの水が減少していることを示唆している。NPDのナショナルイーティングトレンド(National Eating Trends)レポートでは、家庭で使用するペットボトル入りの水は、昨年より10%減少したことが示されている。

しかし、このトレンドは必ずしもペットボトル入りの水の売上に対して広く影響を与えているわけではない。ネスレ(Nestle)は2022年4月の決算発表で、同社のウォーターカテゴリーが21%成長し、アルカリ性ウォーターブランドのエッセンシア(Essentia)だけで40%成長したと報告している。

公共政策の圧力

断熱ウォーターボトルのトレンドは、使い捨てプラスチックに関する厄介な統計により支えられている。すなわち、オーシャンコンサーバンシー(Ocean Conservancy)によると、ペットボトルは海岸清掃のとき、タバコに次いで2番目に多く回収される品物だ。

バーモントを拠点とする、プラスチック汚染の撲滅を目指すプロジェクトであるビヨンドプラスチック(Beyond Plastics)は、毎分100万本のペットボトルが販売されており、リサイクルされているのはその3分の1未満だと語る。ビヨンドプラスチックの編成ディレクターを務めるアレクシ・ゴールドスミス氏は、リユース可能なボトルへの移行は、そのトレンドだけでもペットボトル入りの水の消費を減らす可能性があるし、またそうあるべきだと語る。

「各個人がリユース可能なボトルを持ち歩くことの利点は、使い捨てをよしとする考え方から、別の方法があるという考えに、人々の心を動かせることだ」と、同氏は述べている。

しかし、真の変化は公共政策によって起きると、ゴールドスミス氏は語る。全国の大学キャンパス、空港、地方自治体で使い捨てプラスチックアイテムの禁止が相次いでいる。今年6月には内務省(Department of Interior)が、2032年までに内務省所有地でのバッグやボトルも含めた使い捨てプラスチックの使用を禁止にすると発表した。

同氏は、ビヨンドプラスチックが、ペットボトル入りの水の消費を減らすため、公園や食料品店などの公共の場所に詰め替え可能な給水所を設置するよう強く働きかけているとも語る。

「廃棄物ゼロへの努力と個人の選択はパズルの一部だが、そもそも市場に存在するプラスチックを実際に減らすために、まずは政策が必要だ」と、同氏は述べている。

[原文:‘The resiliency is terrific’: Why water bottle sales are on fire]

Melissa Daniels(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:黒田千聖)
Image Via W&P

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