夏と言えば素麺だ。
素麺好きな我が家は、夏になると恐ろしい勢いで素麺を食べている。「so-men」と英語っぽく発音したりもしている。そういえば昨年はこんな記事も書いた。
ところで、全然知らなかったのだが九州で素麺流しと言えば、“回るのがスタンダード” らしいのだ。
それはつまり、こういうことだ。
※2006年7月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
ソーメン太郎
おいおい、それは「九州の」ではなく「おまえんちの」流し素麺事情だろう! とツッコミを入れられそうだが、まずは落ち着いて話を聞いてほしい。
ある日、ソーメン太郎(家庭用流し素麺マシーン)がうちに届けられた。我が家の素麺好きを知る友人からのプレゼントだった。
やってみると、これがなかなか面白い。
「ほほう、これは良きものかな。」
と目を細めながらネットで調べてみると、ソーメン太郎にハマってる人のブログに行き当たった。6月なのにもう7回目のソーメン太郎とか書いてある。しかしこのブログ、どこかで前に見た覚えがあるな…。
と思ったら、以前メールをもらったことがあるかた(デイリーポータルの読者でもある)のブログだった。改めて熟読してみると、なにやら「九州では流し素麺と言えば回るタイプが主流」というようなことが書いてある。
そういえば、かみさんもずっと前に、お店で流し素麺を食べたらすごく変わっていたと言ってたな…。
一方私はあんな素麺台は作ったくせに、店で流し素麺を食べたことがなかった。
というわけで、さっそく行ってみることにした。
“名水百選”の水で流しソーメン
ということでまず訪れたのは、日本の名水百選にも選ばれている長崎県は轟峡(とどろききょう)というところ。前に一度、お茶を入れるための水を求めに訪れたことがある。
この清らかな自然の湧き水を使って流し素麺をするのだから、さぞうまいに違いない、と期待が膨らむ。
そんな私の行く手のあらわれたのは、こんな光景だった。
これが噂の、“九州ではデフォルト”と言われている回るタイプの流し素麺台である。
なぜかカラフル。そして形状は 「ソーメン太郎」によく似ている。
ロケーションもなかなかすごくて…
宮崎駿監督の映画に出てきそうな感じなのだ。
ハウルの動くソーメン台。
で、さっそく注文。一人前400円。 (安っ!)
楽しい
目の前で素麺がグルグル回ってるだけのに、なんだろう、この楽しい気分は!
現代人は娯楽というものを複雑に考え過ぎていたんじゃなかろうか?そんな問いかけさえ感じさせるシンプルな面白さ。
ソーメンが、回る。
この日は娘、かみさんと3人ででかけた。言うなれば 家族サービスのついで取材だ。
娘は最初、慣れない箸を持って果敢に素麺に挑んでいたが、やがて食欲が理性を上回り、手づかみで食べ始めた。
全体の風景はこんな感じ。
「昭和」という単語がどこからともなく湧いて来る素敵な景色。
嗚呼、流し素麺。
ちなみに、あふれた水はどこへ流れていくかというと…
床に開いた穴から、パイプをつたって垂直に下に流れていく。
けっこうシュールな光景。
ここ何日か暑い日が続いていたせいもあって、帰る頃には待ってるお客さんがいるほどの人気ぶりだった。
今度は海
一箇所だけを見て九州全体を語るのもアレなんで、もう一箇所訪れた。長崎は千々石(ちぢわ)にある展望台。道の駅みたいなところだ。
ここは「ジャガちゃん」というジャガイモを揚げたものが有名で、私も過去何度もジャガちゃんを食べに来たことがある。
「ジャーガ、ジャーガ、ジャーガ、ぼくらのジャガちゃーん♪」
という歌まである。
ここで素麺流しをやっている。前々から気にはなっていたが、入るのは今回が初めてだ。
トロピカル
形態は轟峡のものとほぼ同じ。
が、さきほどのが座敷で渓流を見ながらだったのに対して、こちらは白いテーブルで海を眺めながら。
トロピカルな素麺体験。
回る素麺台がなぜこんなにカラフルなのかが、なんとなくわかった気がした。値段はここも一人前400円。
ハマる
この日は平日に独りで訪れた。
「独りで流し素麺」って相当浮くんじゃないかと思ったが、ここは食券方式になっており、全然違和感無しだった。
というわけで、独りで流し素麺を満喫。
やばい、これはハマるわ。
今回のキッカケとなったブログのだんなさんも、すっかり流し素麺にハマってると書かれていた。うむ、たしかにこれは病み付きになるかも。こんなスペシャルな感じの食事なのに、値段が異様に安いのもありがたい。