寒の戻りがあるかもしれないけどラップを巻けば大丈夫! ~月一天気 2022年4月号 その1~

デイリーポータルZ

気象予報士、増田雅昭さんに天気について聞く月イチ連載。
今月も2回に分けてお送りします。

第1回はこちらの内容です
・4月、寒の戻りがあるかもしれないけどラップを巻けば大丈夫
・テレビの天気で使うネタが定番化している
・テレビの天気予報で時間オーバーして切れている人は気づいている?
(構成・林雄司)

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今回もこの4名でお送りします

読み切った3月でした

林:
前回3月は6日から寒の戻りがあって、10日からしばらく暖かく、後半寒くなって…と軽く話されてましたが、かなりその通りになりました。

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前回の月一天気から3月の見込み

増田:
このグラフ見てびっくりしましたね。俺すごいって。いや、俺じゃない。現代の天気予報がすごい。

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気象庁ホームページより

4月の寒の戻りはラップを巻こう

林:
4月は3月の続きみたいな感じですか?

増田:
4月はじめは日中でも10℃に届かない日がありましたけど、ここから一気に気温が上がっていって、4月の前半は気温が高い状態が続き…、そうですね、20℃を超える日も多いと思います。

林:
もう寒の戻りはないですか?10℃切るような日とか

増田:
ないとは言い切れなくて、4月の後半に1℃台になったことが東京でもありますからね。

林:
最近ですか?

増田:
2010年の4月17日ですね。最低気温1.4℃。

西村:
雪が降ってもおかしくないぐらい?

増田:
雪が降ったんですよ。

このままアゲアゲの状態で気温が高いままはないんじゃないかと。季節ってバランスを取るので上がりすぎるとガクッと下がります。2004年は東京で4月に30℃近くまで上がったことがあって、その3日後に最低気温一桁9℃。

西村:
20℃ぐらい違う。

増田:
4月、けっこう気温が高い日が多いですけど。4月下旬のどこかでガクッと。

林:
ダウンはしまっていいですか

増田:
ダウンはさすがにもういいと思いますけど。1日もしくは2日、ガクッと下がった時用にしのげる何かを

林:
1日ぐらいだったら。ジャージで。

増田:
ジャージの下にも何かあるといいですね。

増田:
服が足りなかったら、下にラップ巻けば、ね。

小林:
え!

西村:
増田さんが急に乱暴なことを言い出した。

林:
テレビの天気では絶対に言わないことを。

増田:
なんだったかな。前に何かで見ました。ラップを体に巻く。

小林:
「ラップ 防寒」で検索したら出ますね。でも災害時ですね。

林:
寒い日も広い意味でとれば災害みたいなものですからね。

増田:
着ぶくれがかっこ悪いって思ったらラップ。着ぶくれしなくて良いですから。

西村:
蒸れそうですけどね。

増田:
ふだんはオススメはしないけど非常時にはぜひ。

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服が足りなかったら、下にラップ巻けば、ね。

3月の問題:2022年4月1日0時の気温。正解 9.0℃

林:
クイズの答え合わせです。4月1日0時の気温は……9.0℃でした!
過去のデータだとここ5年で最高15.9℃から最低5.1℃まで、すごい差がありますねなんて話しましたが、9.0℃と普通でした。

増田:
すごい普通に。前回の幸運があまりにもすごかった。

西村:
2匹めのドジョウはいなかった。

林:
全員テンションが上がらない。

増田:
令和4年4月4日4時44分は東京6.9℃。4時44分。どこかの観測地点を探せば4.4℃があると思うんですけど、その気力が湧いてきません。

西村:
地域によればってことか。

増田:
2月22日のときの興奮がすごくて、今回は探そうと身体が動いてくれない。

林:
近かったのはこのおふたりです。

トマトさん
予想 9.5℃
3月中旬までは暖かく、そこから上がらなさそうだと思ったので、中ぐらいにしました。

HASさん
予想 9.4℃
全くわかりません。面白にも振れない(思いつかない)です。例年並み~高め予報なので、4/1の平均最低気温の3割増しくらいで。

増田:
例年並み平年並みから高めの予報なので、4月1日の平均最低気温の3割増。いい読みじゃないですか!すばらしい!おめでとうございます。理詰めの感じのお答えで。

林:
トマトさんも、「上がらなそうなので中くらいにしました」という読みが当たっています。おめでとうございます。

4月の問題:東京の4月の最高気温

林:
4月の問題はなににしましょうか?

西村:
5月5日5℃ってね。ちょっとないですもんね。

増田:
つらそうですね。

林:
4月どこまで暖かくなるか、にしましょう。

増田:
東京の4月で一番今までで暖かくというか、暑くなったのは、29.2℃。

西村:
めちゃめちゃ暑いですね。

増田:
1922年4月22日。大正時代ですよね。

1位:29.2℃ 1922年4月22日
2位:28.9℃ 2004年4月22日
3位:28.4℃ 1892年4月25日

増田:
あれ、明治時代とか大正が強いな。珍しい。ふつうは高温記録の上のほうって平成令和で固められるんですけど、4月はトップ10のうち、1位が大正でしょ、3位に明治が入ってるでしょ。9位も明治時代。27.9℃。1886年。

西村:
むかしの4月って暖かかったのかしら。

増田:
しかも9位の27.9℃は1886年4月11日。月の前半で早いですね。

林:
最近はどうですか?

増田:
最近だと

2021年4月22日  26.2℃
2020年4月26日  24.2℃
2019年4月22日  25.6℃
2018年4月22日  28.3℃
2017年4月16日・17日・19日 26.1℃

林:
高いですね。

増田:
けっこうみなさんニアピンいけそうじゃないですか。

西村:
範囲が狭いから

林:
ヒントはありますか

増田:
月の半ばぐらいまでは平年より高め。そこでけっこうな気温が出るかもしれないですね。寒の戻りは1日2日どこかで下旬にあるんでしょうけど、そこからもう一回上げるっていうのが最後の最後に来るかもしれないですね。GWあたりに。

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天気予報に挟む小ネタが定番化している

林:
ゴールデンウイークの初日に夏みたいな日ありますよね。

増田:
ありますよね。

西村:
ゴールデンウイーク暑いですよね

増田:
5月9日がアイスクリームの日で、だいたいそこに合わせるネタで、アイスクリームは気温が25℃以上で売れるように、ちなみに30℃を超えるとアイスクリームにかわって、さっぱりとしたかき氷が売れるようになるというのがあります。

西村:
アイスの日?

増田:
明治時代に横浜の馬車道で売られ始めた日じゃないですか。

林:
25℃を超えるとアイスクリーム、30℃かき氷って、増田さんはまたかって思うでしょうが聞く方は年に1回だから気づかないですね。

増田:
気象予報士の制度ができてまだ5年、10年ぐらいのときってみんないろんなネタを作ってましたよね。リサーチしたり取材したり。小林さんなんかたくさん作られたんじゃないですか。

小林:
作りました。

増田:
ストックができちゃったんですよね。ネタを天気コーナーでやることも少なくなってきたし、ありものである程度できるしというので、今までのストックから出してきてしゃべる人が多い。

林:
前回福島の2.2℃を探した若者を素晴らしいって絶賛していたのは、そういう流れなんですね。

増田:
例えば1円玉天気とかね。あんまり言わなくて珍しいから出してたのに、今は春か秋になって安定した天気になったらいろんなメディアがいっせいに1円玉天気って。
注)1円玉天気:これ以上崩れない天気、という意味の気象予報業界用語

西村:
天気の新しいネタは考えたほうがいいですよね。

増田:
例えば2月22日の22時22分が2.2℃だったらおもしろいな、過去にそんなことあったのかなって調べるとネタになるじゃないですか。

小林:
仮説から。

増田:
天気予報の文化が変わっているんだなって思いますね。

増田:
今は予報をストレートに伝える天気予報が多くなっていますね。ごはん、主食の部分ですよね。だから、昔のようにおかずである天気ネタを豪華にしようという考えにはならず、ちょっと何かネタをしゃべる時にありものの定番ネタが出てくるんでしょうね。

西村:
おかずがなくなったら寂しいですよね。ごはんしか出てこない。

林:
天気ってそんなにしゃべることない日もありますよね。天気をしっかり伝えてくれって言っても。

増田:
予報がそんなに各局違わない日に、その情報をどう印象に残すかっていうのも大事なんですよね。

林:
今朝、コートの色で空の色を表現していましたね。

編集部注)増田さんはいまTBS系列 朝のTHE TIMEで天気予報を担当しています。早起きして見よう(か、夜更かしして)

増田:
よく見てますね。

小林:
嶺さんのような薄い水色の空から。すごいわかりやすかった。

増田:
コーナーが始まる直前に、これ表現としていいなって思って。

時間内におさまらないとき、テレビに出ている人は分かるのか

林:
テレビの天気予報でしゃべる内容は書かずにしゃべるんですか?

増田:
そうですね。僕の場合はほぼその場で考えていますね。

西村:
すごい。

増田:
直前に思っていたのと違うなと思ったら、しゃべりながら変えることもありますし。

林:
あと何秒って言われた時に、そこで終わらせるように調整するんですよね。

増田:
だいたい残り15秒を切ったらラスト1枚の画面に入らなきゃ、5・4・3・2・1に向かってこんな感じの構成で終わらせよう、とか考えます。

林:
ほとんどラジオDJとかのしゃべる人のスキルですね。

増田:
天気コーナーはきっちり時間を決められていることも多いので、その力は身につくかもしれないですね。

西村:
天気って最後だったり、CMの前後だったり前だったり。

林:
しゃべりすぎるとピッと切れちゃう。切れるのってわかるんですか?

増田:
わかります。あーやっちゃった!って。たとえば、僕たちはカメラの横や下で残り秒数の指を出してる人を信じてしゃべるわけですけど、そこが放送の本体のところとずれてたらプツンと切れることはあります。

林:
それはあとでわかる?

増田:
本体のほうから、おーい!切れたよって連絡があります。

西村:
こわっ!

林:
切れると寂しい感じで終わるじゃないですか。

増田:
見極め方は、普通に何事もなくいきなりぷつんと切れたら、それはしゃべってる人は時間がずれてたのを分かってない。最後に慌てて慌ててしゃべってぷつんと切れたら、時間ぎれで切れてしまったのを分かってる。

林:
のど自慢も素人が出てきてしゃべるから、千田アナウンサーが焦ってるときがある。

小林:
まいてほしいのに。

増田:
あれはすごいですよね。

西村:
あれは仕方がない。

林:
ものすごい勢いで収めて終わる時がありますよね。

西村:
これぐらい喋ったら何秒ぐらいというのはだいたいわかってるわけですよね。

増田:
そうですね。短い天気予報の場合は1回軽く時間を測って、こういうことを喋ろうかなというのはディレクターさんと確認をするので。
こういう話をすればだいたいこれぐらい、ちょっと長かったら話をちょっとだけ削ろうかと確認して本番をやるんですけど、話の流れ的に全然違うことしゃってることもあります。

西村:
落語家ですよ。

寒の戻りがあってもラップがあれば大丈夫。増田さんがこんなラフなことを言う天気はデイリーポータルZだけ!
あしたも月1天気は続きます。魔女の宅急便の気象を読み解きます。

今月の問題にもチャレンジしてください。正解者には増田さんが褒め称える名誉が与えられます。 

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