果物中心の食事は脂肪肝に悪影響を及ぼす可能性が明らかに

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非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、食生活や運動不足といった生活習慣の乱れや内臓肥満、ストレスなどが原因で肝臓に脂肪がたまってしまう状態で、肝硬変や肝細胞がんのリスクを高めてしまいます。一見健康そうに思える「果物中心の食事」がこのNAFLDにかえって悪影響を及ぼす可能性があると、イランのウルミア医科大学の研究チームが発表しました。

The effect of a fruit-rich diet on liver biomarkers, insulin resistance, and lipid profile in patients with non-alcoholic fatty liver disease: a randomized clinical trial – PubMed
https://doi.org/10.1080/00365521.2022.2071109

NAFLDは、アルコール摂取量が多くないにもかかわらず、肝臓の5%以上の細胞の中に脂肪がたまっている状態をさします。NAFLDは肝炎や肝線維症、肝硬変などの病気の原因になる可能性があります。近年このNAFLDによる死亡率が上昇しており、2019年に発表された研究によると、世界で多い死因トップ10にもランクインしたことがあるそうです。

NAFLDを治療するには日々の食事を見直す食事療法が有効とされています。具体的には食事から飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、炭水化物、甘味飲料、フルクトースなどを減らし、タンパク質やカロチン、アントシアニンの摂取量を増やすなどがあり、肉や炭水化物よりも果物や野菜を中心とした食事に切り替えることが重要とされています。

果物や野菜にはビタミンやミネラルが豊富であり、野菜に含まれる一部のビタミンや活性化合物は抗酸化作用や抗炎症作用を発揮するので、NAFLDにプラスの効果をもたらすことが示されているとのこと。しかし、2017年に発表された研究では、「野菜の消費はNAFLDの有病率と逆相関していることはわかったが、果物の消費は逆にNAFLDの有病率と正の相関があった」と論じています。つまり、果物はNAFLDを悪化させている可能性が示されたというわけです。


そこで、ウルミア医科大学の研究チームはイランの大学病院でNAFLDと診断された18歳以上の患者66人を2グループに分け、一方のグループ(FRD群)には1日当たり少なくとも4食分以上の果物を摂取させ、もう一方のグループ(対照群)は1日当たり2食分以下の果物しか与えられませんでした。実験は2020年10月から2021年3月まで行われ、実験の前後に行われた血液検査でチェックを行いました。

その結果、BMI・ウェスト周囲(WC)・ALTALPASTγGTPLDLコレステロールインスリン抵抗性・血糖値において、FRD群は対照群と比べて有意に高い数値を示したとのこと。このことから、研究チームは果物中心の食事はNAFLD患者の脂肪肝と血糖コントロールを悪化させることが示されたと述べています。

研究チームは、おそらくフルクトース、すなわち果糖の脂質生成効果によって、幹細胞の脂肪含有量が増加するのではないかと推測していますが、「果物がNAFLDに対して悪影響を及ぼす根本的なメカニズムを特定するにはさらなる研究が必要です」と述べています。

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2022年07月24日 15時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1i_yk

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