公共充電スタンドを使った電気自動車の充電コストがたった4カ月で42%も増加、ロシアのウクライナ侵攻が原因で

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ガソリンの代わりに電気を使用して走行する電気自動車は、温室効果ガスの排出量がガソリン車より少なく環境に優しいことに加え、走行距離あたりの燃料費(電気料金)がガソリンと比較して安いことも利点の1つです。ところが、イギリス・王立自動車クラブ(RAC)の傘下組織であるRAC Charge Watchによると、イギリスの公共充電スタンドを用いた電気自動車の充電コストが2022年5月~9月の間に42%も跳ね上がり、ガソリンとの価格差が縮まっているとのことです。

Electric car public charging costs | RAC Charge Watch | RAC Drive
https://www.rac.co.uk/drive/electric-cars/charging/electric-car-public-charging-costs-rac-charge-watch/

Cost of using electric car charging point in UK up 42% since May | Electric, hybrid and low-emission cars | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2022/sep/26/cost-electric-car-charging-point-uk-public-charger-by-42-percent-invasion-ukraine

EV drivers in Britain see jump in public charging cost
https://www.cnbc.com/2022/09/27/ev-drivers-in-britain-see-jump-in-public-charging-cost-.html

Cost of public EV charging rises by more than 42% in four months | Autocar
https://www.autocar.co.uk/car-news/consumer/cost-public-ev-charging-rises-more-42-four-months

RAC Charge Watchが公開した、「イギリスにある公共充電スタンドを用いた1kWhあたりの充電コストの推移」が以下の通り。左は一般的な急速充電スタンドの価格推移で、2021年9月は36.74ペンス(約57.7円)、2022年5月は44.55ペンス(約68.7円)、2022年9月は63.29ペンス(約97.6円)と次第に上昇しているのがわかります。特に2022年5月から9月にかけての上昇幅は42%に達しており、急速に充電価格が上昇していることがうかがえます。右にある超急速充電スタンドの価格推移を示したグラフからも、同様の価格上昇傾向が見て取れます。


また、RAC Charge Watchは平均的なファミリーサイズの電気自動車に多い容量64kWhのバッテリーを、0%から80%まで充電した際のコストもグラフにしています。1回の充電にかかるコストは5月の時点だと22.81ポンド(約3520円)でしたが、9月には32.41ポンド(約5000円)と日本円で1500円近くも高くなっているのがわかります。


RACによると、これらの充電コスト増加はロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が上昇し、電気料金が高騰したことによるものだとのこと。これにより、公共充電スタンドを使う際のコストとガソリン車の燃料コストの差が縮まっています。走行距離1マイル(約1.6km)あたりの平均コストは、公共充電スタンド使用時の電気自動車が18ペンス(約27.7円)、ガソリン車が19ペンス(約29.3円)、ディーゼル車が21ペンス(約32.4円)とのことです。


公共充電スタンドではなく家庭で充電する際は、イギリスの消耗品やサービスにかかる付加価値税(VAT)が低くなるため、0%~80%まで充電した際のコストは14.79ポンド(約2280円)ほどに抑えられるとのこと。また、2022年10月以降にイギリス政府が導入するエネルギー価格保証政策により、2年間にわたり80%までの充電コストは最高でも17.78ポンド(約2742円)に抑えられます。

RACの電気自動車担当スポークスパーソンのサイモン・ウィリアムズ氏は、自宅以外の充電スタンドを使った場合のコストがガソリン車やディーゼル車に迫っていると指摘。「これらの数字は、公共の急速充電スタンドとおよび超急速充電スタンドを最も多く使用しているドライバーが、最も大きな打撃を受けていることを非常に明確に示しています」と主張しました。

イギリス政府は2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止し、電気自動車へ全面的に切り替える方針を打ち出しています。しかし、充電コストの増加は消費者の買い替え意欲を損ない、電気自動車の普及を阻害する可能性があると懸念されています。公共充電スタンド業界の各社は、充電スタンド使用時にかかるVATを従来の20%から、家庭の電気代と同等の5%に下げるように政府へ働きかけているとのことです。


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2022年09月28日 17時00分00秒 in 乗り物, Posted by log1h_ik

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