YouTubeが中絶に関する誤情報を含む動画を削除すると発表

YouTubeが誤った情報に関するポリシーを更新し、「安全ではない中絶方法」や「中絶の安全性に関する誤った情報」を助長するようなコンテンツをポリシー違反とし、削除していくと発表しました。

YouTube to Remove Videos With Abortion Misinformation – Variety
https://variety.com/2022/digital/news/youtube-abortion-misinformation-video-1235322263/

2022年7月22日、YouTube関連情報をメディア向けに発信するための公式TwitterアカウントであるYouTubeInsiderが、「誤った情報に関するポリシー」を更新し、中絶に関する誤報を含むコンテンツを削除していくと発表しました。

YouTubeInsiderは「健康および医療に関するすべてのポリシーと同様に、我々は保健当局が公表しているガイダンスに依存しています。YouTubeは健康に関するトピックについて、権威ある情報源からのコンテンツを人々に提供することを優先し、現実の出来事の展開に応じてポリシーと製品を継続的に見直していく所存です」とコメント。

加えて、「中絶関連の動画の下部」や「中絶関連の検索結果の上部」に、地域や世界の保健当局の中絶に対する見解や情報を提供するためのパネルを設置しましたとも説明しています。

以下が追加で表示されるようになったという中絶関連の情報パネル。基本的に情報はテキストベースで記されており、詳細を知りたいユーザーのためのリンクも用意されているのがわかります。

YouTubeのポリシーでは、「危険な治療薬、治療法、物質の宣伝」や「特定の安全な医療行為に関する専門家の間で広く合意されている内容との矛盾」が見られるようなコンテンツの投稿が禁止されています。中絶関連コンテンツの削除も、基本的にはこれらのポリシーに沿う形で実行されることとなるようです。

今回のYouTubeによるポリシー更新は、2022年6月にアメリカの最高裁判所が女性の人工妊娠中絶を規制する法律を違憲無効とする「ロー対ウェイド判決」を覆す判決を下したことに起因していると海外メディアのVarietyは指摘。ロー対ウェイド判決が覆されてから、アメリカでは複数の州が中絶を犯罪とする法律を制定しています。

また、2022年7月中旬にジェンダー司法組織のUltraVioletと医師団体のPhysicians for Reproductive Healthが協力して、TikTok・Twitter・Facebook・YouTubeといったソーシャルメディアに向けて、中絶関連の偽情報をオンライン上で拡散することを防止するよう求める声明を発表しました。この声明には70を超える医療提供者と、190を超える組織が署名しています。

Medical Providers Call on Social Media Platforms to “Do No Harm” and Stop the Spread of Abortion-Related Disinformation Online – Physicians for Reproductive Health
https://prh.org/press-releases/medical-providers-call-on-social-media-platforms-to-do-no-harm-and-stop-the-spread-of-abortion-related-disinformation-online/

UltraVioletの常務取締役を務めるShaunna Thomas氏は、YouTubeの中絶に関する誤情報削除という取り組みについて、「妊娠中の人々は常に性・生殖・健康に関する正確な情報を必要としてきました。そして今、ロー対ウェイド判決が覆されてしまったことで、直ちに偽情報のまん延を防止する必要性が出てきました」「中絶に関連する誤った情報の削除と事実情報へのリンクを開始するというYouTubeの決定は、オンライン上で正しい公衆衛生や医療オプションについて検索する人々を保護する上で重要なステップとなるでしょう」と語っています。

なお、YouTubeの親会社であるGoogleも、2022年7月初頭に中絶クリニックなどのプライバシー性の高い場所への訪問情報をロケーション履歴から自動削除すると発表したばかりです。

Googleが中絶クリニックなどプライバシー性の高い場所への訪問情報をロケーション履歴から自動削除すると発表 – GIGAZINE

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