Roku 、第2四半期は広告事業が減速し先行きは不透明に:ストリーミングサービス業績低下を読み解く

DIGIDAY

2022年の第2四半期に業績の低迷をみたストリーミング企業はNetflix(ネットフリックス)だけではない。Roku(ロク)もまた、同社の広告事業全体を含むプラットフォームビジネスの減速に見舞われている。

7月28日付のRokuの「株主への手紙」の冒頭には、「第2四半期には、マクロ経済環境の影響によってテレビ広告支出が大幅に減少し、それが当社のプラットフォーム収益の伸びを圧迫した」と書かれている。

鍵となる重要な数字

  • 総収益は7億6400万ドル(約993億2000万円)で、前年同期比18%増
  • プラットフォーム収益は6億7300万ドル(約874億9000万円)で、前年同期比26%増
  • プレーヤー収益は9120万ドル(約118億5600万円)で、前年同月比19%減
  • アクティブアカウント数は6310万で、前年同月比14%増
  • Rokuでの動画ストリーミング視聴時間数は207億時間相当で、前年同月比19%増
  • ユーザーひとり当たりの平均収益は44.10ドル(約5800円)で、前年同月比21%増

広告事業の減速

Rokuは広告事業の減退について数字を示すことはしなかったが、広告収入はごく緩やかなペースながらいくらか伸びていると強調した。これは、広告主がバラ売り市場(scatter market)、すなわちアップフロントで売れ残った広告枠向けの資金を引き揚げたことが原因だとしている。

同社は株主への手紙のなかで、「第2四半期の後半には多くのマーケターがそれまでばらまき広告市場に費やしていた広告費を突然縮小したり休止したりしたため」に、プラットフォーム収益の伸びが「予想を下回った」と述べている。

7月28日の午後、記者団とのカンファレンスコールの中で、RokuのCFOであるスティーブ・ルーデン氏は、バラ売り市場の後退は一般的に「ある種の不況の状態において」発生すると述べた。Rokuでは、2日間のキャンセルオプションの提供により、アップフロント契約をした広告主がそのコミットメントをキャンセルすることを可能にしており、その規模はほかのテレビネットワーク企業よりも大きい。

だが、同社の広告販売戦略担当バイスプレジデントのアリソン・レビン氏は、同じカンファレンスコールの中で、Rokuのアップフロント広告契約者のうち、第2四半期にコミットメントをキャンセルした広告主の割合は、「それ以前の四半期ごとの数字とほぼ変わらない」レベルであり、広告事業の低迷は「バラ売り市場からの撤退」が原因であるとした。

アップフロントに関する明るい材料

Rokuは、メジャーなエージェンシーホールディングス7社すべてとアップフロント契約を締結し、合計10億ドル(約1300億円)のコミットメントを確保したことを、決算報告と同時に発表した。2022年にRokuとアップフロント契約を結んだ広告主のうち25%は、前年は同社と契約していなかった。

2021年のアップフロント広告主のうち、2022年もRokuと契約を結んだのは何パーセントかという質問に対して、レビン氏は直接的な回答は避けたが、「主要なバーティカルメディアでは」Rokuは2021年のアップフロント広告主を100%維持していると述べた。ただし、これらのバーティカルメディアが何なのかは明らかにしなかった。

ハードウェア部門の苦境

Rokuのハードウェアビジネスは低落しており、広告事業減速への対策としては役に立っていない。同社では、自社のCTVプラットフォームを利用するためのCTVデバイスやスマートTVの販売に影響を及ぼすサプライチェーンの問題に取り組んできた。

株主への手紙によれば、2022年第2四半期のRokuの米国におけるハードウェアの売上は、「前年同期を下回って」いる。この売上の減少は、同社が2022年第2四半期に180万ものアクティブアカウントを追加で獲得したにも関わらず、プラットフォーム利用者はこれまでほど増えていないことの表れかもしれない。

ハードウェア販売の苦戦もあって、Rokuとしては広告収入を含めたプラットフォーム収入を増やすべく、既存のユーザーが同社のプラットフォームで映画・テレビ番組・動画のストリーミングを視聴する時間数を伸ばす必要性に迫られているようだ。だが、第2四半期にユーザーがRokuのプラットフォームで番組をストリーミング視聴した時間は、第1四半期から1%減の207億時間であった。この視聴時間の減少は、同四半期の米国におけるTV視聴時間全体に占めるストリーミング視聴の割合が増加し、6月には過去最高の34%を記録した(ニールセン[Nielsen]調べ)のとは対照的である。

不透明な今後の見通し

Rokuは、停滞するマクロ経済状況をふまえ、2022年の通年の収益成長基準を取り下げた。すなわち、「通年の見通しを示すにはマクロの不確実性が高すぎる」のだと、RokuのCEO、アンソニー・ウッド氏は7月28日のアナリストとのテレビ会議による決算発表の場で述べた。

このような不確実性のなか、Rokuは採用のペースを「かなり」落とし、「ヘッドカウント(人員)以外のコスト」の増加を抑えようとしたと、ルーデン氏は記者とのカンファレンスコールの中で話している。ここでいうコストがどのようなものかについては触れなかったが、同氏は後に、広告付き無料ストリーミングTVサービス「The Roku Channel」に関連するコストで、同サービス用の番組ライセンスやオリジナル番組・映画の制作にかかる費用が含まれる、と述べている。

Rokuは第3四半期への期待値についても明らかにしたが、さほど大きな伸びというわけではなく、総収入として前年同期比で3%増の7億ドル(約910億円)を見込んでいるという。

Rokuとしては、「広告費、特にばらまき広告市場への支出は引き続きマイナスの影響を受けるだろう」と予測している。また、株主への手紙の中で「消費者が自由に使える裁量支出は今後も抑えられると想定され、Roku TVやRokuプレーヤーの売上を圧迫するだろうと考えている」と述べている。

[原文:The Rundown: Roku reports advertising slowdown in the second quarter

Tim Peterson(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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