【Stray】凝りすぎ、作り込みすぎの猫に騒然! 廃墟×SF×迷子猫の異色アドベンチャーゲーム(ネタバレなし)

ロケットニュース24

2022年7月19日から20日にかけて、ゲーム業界のみならず猫好きコミュニティまでが異例の盛り上がりを見せていた。ゲーム『Stray』のリリースだ。

なんでも登場する猫ちゃんが超カワイイのだとか。SNSでは「猫を愛でるゲーム」「一生やってられる」などの声が多数。Twitterでもトレンド入りしていた。

なるほど、誰しも一度は「猫の井戸端会議に参加してみたい」などと思ったことがあるはず。猫の世界を疑似体験できる、ほのぼのゲーム……

って全然違うじゃないかい!!


・『Stray』(PS4&PS5版3520円/PC版3500円)

道に迷う、はぐれるなどの意味をもつ言葉『Stray』。フランスの小規模ゲームスタジオが開発したアドベンチャーゲームだ。

ゲームを起動すると、実に幻想的でアーティスティックな風景が広がる。廃墟に見えるが、この世のどこでもない空想世界のよう。

茶トラの猫ちゃんだ、きゃわゆいぃぃぃぃぃ!


猫こそが本作の主人公であり、プレイヤーキャラクター(操作できるキャラクター)。

コントローラーをちょっと触っただけで、動きが非常にリアルなのがわかる。変に擬人化せず、野生動物らしい しなやかな動きを見せてくれる。「やあ、みんな!」などと安易に人間の言葉をしゃべったりしないのも好感触。

ええっ、雨に濡れた足跡が肉球……! なんて凝っているんだ!!


……と感動したのも束の間、こんなことは制作陣のこだわりの「ほんの一端」であったことをすぐに理解する。

プレイヤーはコントローラーを操作して、ほかの猫にちょっかいを出したり、水を飲んだり、爪とぎしたりできる。これらの動作はストーリー進行には関係のない、単なるお楽しみの部分らしい。なんて素敵な世界観。もうずっとここにいたい……

などと思っていたら急展開。暗くて臭くてジメジメした廃棄物処理場のようなところに放り出された。独りぼっちになったうえに、なんだか足も痛い……


ちょっとあなた「HELP」って……いったい誰を? 何から? イヤな予感がする。


前言撤回。この世界は、ほのぼの動物ワールドではなかった。いまにも崩れそうな、古くて汚いビルが建ち並ぶ路地裏。

看板には見たことのない文字が並ぶが、ときに意味のわかる英語の掲示物もあり、それでいてアジア風のデザインも。

街路は狭苦しく、空は暗い。その後も「死体ー!!」と叫びたくなる場面があったり、気持ち悪い敵性生物に襲われるなど、物語はめまぐるしく展開する。

ゲーム内容はアクションパズルと呼べそう。ヒントをもとにギミックを動かしたり、アイテムを見つけたりしてルートを探す。

ゲームオーバーもあるが、難易度はそれほど高くない。ゲームが苦手な人でも何度かやり直せば先に進めると思う。

基本的には決まったルートを進む一本道なのだが、先を急ぐのはもったいない。散策や景色を楽しむ「ウォーキングシミュレーター」というジャンルがあるが、本作も足を止めてすみずみまで見回したくなる。

陰気で奇妙で退廃的、それなのにどこか美しさのあるビジュアルだ。いつしか居心地のよささえ感じられるようになる。なにより猫の作り込みが尋常じゃない。


びっくりして後ろに飛び跳ねたり

ハーネスで挙動不審になったり

中に入りたいドアをガリガリしたり

パソコンのキーボードで謎の文字列を生み出したり

動作の瞬間に「うにゃっ」と声がもれたり


猫飼いなら「それー!」と指さしたくなるような小ネタが満載。我が家の猫では見られなかったが、飼い猫がテレビのゲーム画面に反応した! という報告も多数。


しかもどのアクションも、実行するとHPが回復するとか、ギミックが作動するとかいった実利はない。ある種「意味のない」行動なのだが、それが楽しい。しばらく操作しないでいると可愛らしい自発動作も見られるぞ。

おまけに特定の条件を満たすと認定される「実績」まで、「猫も木から落ちる」「もう一匹じゃない」(Steam版)など、くすりと笑えるネーミングばかり。


すでにクリアしたプレイヤーによると、プレイ時間は6時間から7時間ほどのよう。隠しアイテムを探すなど、寄り道をすればもう少し長くなるだろう。決して超大作ではないが、充実したプレイ感を残す予感。


話は最初に戻るが、なぜこのゲームがそんなに話題になったのか。


人は愛をもって作られた作品が好きなのだ。「この程度でいっか~」という妥協がなく、制作陣のこだわりが詰まっている。もちろん彼らは猫好き。「クリエイターよりも猫の数が多いチーム」と呼ばれ、実在の猫たちの写真が公開されている。

根底にあるのは、きっと「こんなゲームがしたい」という作り手の情熱だ。人から見たら「なぜそこまで!?」と思えることにも全力を注ぐ。インディーゲームの魅力がいかんなく発揮されている良品!


・「PlayStation Plus」エクストラ・プレミアムの対象

海外では実在の迷い猫団体とコラボするなど、発売前から話題となっていた同作。PS版、PC版ともにすでにリリース済みだ。

サブスクリプションサービス「PlayStation Plus」エクストラおよびプレミアムの対象ゲームにもなっているので、会員ならチェック。

世界の謎を解き明かすのもいいが、好きなだけボールを転がしたり、置物を蹴散らしたりして遊ぼう。ゲームを終える頃には、じゅうたんを見た瞬間「お、爪とぎできるな」と反応する身体になっているはず。


参考リンク:PlayStationSteam
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Stray(Steam)

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