元徴用工による訴訟や慰安婦問題で日韓関係の膠着状態が続く中、韓国の朴振(パク・チン)外相が2022年7月18日、林芳正外相と会談した。正式な日韓外相会談は2年半ぶりで、5月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足から初めて。日本側の発表によると、朴氏は「(差し押さえられた日本企業資産の)現金化が行われる前に、望ましい解決策が出るよう努力する」と述べ、両外相は「この問題の早期解決で一致」した。
この問題をめぐっては、日本側は一貫して「ボールは韓国側にある」との立場だが、韓国側からは「誠意あるリアクション」を求める声も出た。7月19日には岸田文雄首相との会談も行われたが、松野博一官房長官によると「懸案事項について、具体的なやり取りは行われなかった」。両者の議論がかみ合う日は来るのか。
前途多難の「官民協議会」
元徴用工による訴訟では、18年に大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じる判決を出したため、原告が差し押さえた日本企業の資産を売却し、現金化するプロセスが進みつつある。実際に現金化されれば、日韓関係がさらに厳しい状態になるのは必至だ。
現金化を防ぐため、いったん賠償金を韓国政府が立て替えたり、日韓の企業や個人による寄付で基金を立ち上げて賠償にあてたりする案が浮上している。韓国外務省は、この問題の解決策を模索する「官民協議会」を立ち上げ、7月4日に初会合を開いた。韓国政府や専門家、元徴用工の弁護士、支援団体の関係者らを集めて議論を進めたい考えだ。ただ、支援団体側は日本企業側の謝罪が必須だと主張し、別の支援団体は不参加を表明。原告が納得する解決策が得られるかは不透明だ。
朴氏は19日午前、超党派の日韓議員連盟会長を務める自民党の額賀福志郎元財務相と面会。額賀氏が記者団に明らかにしたところによると、朴氏は、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」するとした15年の慰安婦合意を「尊重するつもり」だと述べた。元徴用工問題については、日本側の資産が現金化される前に「望ましい解決策」を求めて「韓国内で努力をしている」と説明した。