2020年に「腸の健康を保つ飲料」としてローンチされたブランド、ポッピー(Poppi)。主にTikTokやインスタグラムなどのソーシャルメディアをマーケティングに利用しており、これらのプラットフォームでは近年、「腸の健康」は人気のトピックとなっている。今月、同ブランドは初めてデジタルから屋外でのマーケティングにギアをシフトさせ、屋外広告(out-of-home:OOH)キャンペーンを行っている。
「ここ数年、誰もがロックダウンで外出規制されていたなか、我々はとにかく外に出て、ポッピーが誰であり、何なのかを人々に見せたいと思っている」と創設者であるアリソン・エルスワース氏は述べた。また、同ブランドのキャンペーンはOOHを活用する一方で、プロダクトを宣伝するためにソーシャルメディアのインフルエンサーを使用すると付け加えた。
ニューヨークでのOOH広告に加え、ポッピーはゲリラ式のサンプル配布により市内で270回のデモ広告を行っている。
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「私たちの名前を街中に展開し、ニューヨーク市をそれで溢れさせることで、とても強力な宣伝になる」と言うエルスワース氏。2020年と2021年はニューヨークがシャットダウン状態にあり、それができなかった、とも語った。夏の暑さのなか、人々が水分補給をしようとするなかで、同社のキャンペーンはミレニアル世代やZ世代をターゲットとした消費者のあいだでブランドの認知度を高める狙いだ。
エルスワース氏によると、ポッピーはこのキャンペーンに100万ドル強(約1億円)を費やしており、OOH、印刷広告、インフルエンサー・マーケティング、Amazon、ティックトックを通じたソーシャルメディア・マーケティングに予算が配分された。キャンペーンは7月から6週間実施される。エルスワース氏は、どのチャンネルがどれだけの金額を受け取ったかについて正確な数字は明らかにしなかった。しかし、同氏は、予算の80%がインフルエンサー・マーケティングに費やされていると推定する。
「顧客と真に価値ある関係を築く」
さらに、YouTubeパーソナリティのラレイ、セレブのメイクアップ・アーティストでビューティインフルエンサーのエンジェル・メリノ、TikTokのスター、ブリジェット・フェロング、ファッションモデルでTikTokのスター、マケラ・ロンドンなどのインフルエンサーを起用し、キャンペーンのプロモーションを支援した。ポッピーは、フォロワー数、ミレニアル世代やZ世代のオーディエンスに対する影響力、彼らのブランドに嘘がなく個性があるかなどの要素を考慮してインフルエンサーを選んだ。
「(キャンペーンにおいて)包括性、有色人種、プラスサイズの人、LGBTQ、ストレートの赤毛、と多様性を持つべきだ。これらのキャンペーンにおいて、嘘がなくリアルになるように、包括的になりたいと思っている」とエルスワース氏はブランドのインフルエンサー戦略について語った。
「クリエイターとのパートナーシップにおいて、仕事をする相手を慎重に選ぶことは、今日のブランドにとって重要だ」と、800社以上のショッピファイ(Shopify)加盟店およびeコマースブランド向けのインフルエンサー・マーケティング用プラットフォームであるアスパイア(Aspire)のシニアディレクターであるマグダ・フーアラ氏は指摘する。
「今日のブランドとクリエーターのパートナーシップは、ソーシャルメディアにおけるちょっとした投稿以上の存在となっている。クリエーターが製品開発に直接影響を与えたり、業界の専門家と一緒にイベントに参加したり、さらにもちろん、ブランドのあらゆるマーケティングチャネルを刺激するコンテンツを作ったりしているのを目にしている」と同氏は述べた。「クリエイターそれぞれが持つ個人的な要素を加えてもらった上でオーディエンスとエンゲージメントを持つ機会を与えれば、共感を呼ぶことができる」。
次世代メディアブランドを構築するクリエイター主導のコンテンツスタジオであるフォールン・メディア(Fallen Media)のCOO兼共同創設者であるソル・ベテシュ氏は、当該キャンペーンにおけるポッピーの戦略についてコメントした。「ブランドは、優れたコンテンツと才能あるクリエイターという2つのトレンドが持つ究極的な価値を認識し始めている。このふたつを組み合わせることで、顧客と真に価値ある関係を築くことができる」。
「オムニチャネルのアプローチは必要条件」
デジタル広告から従来のメディアに手を広げているのはポッピーだけではない。DIGIDAYが以前報じたように、アップロード(Uproad)もこうした広告キャンペーンを行っている。このスタートアップ2社は2020年、パンデミックの最中に設立された。いずれも今、パンデミック初期よりも人々の外出時間が長くなっているという事実を利用しようとしている。
現在の市場状況におけるオムニチャネルのアプローチは、「もはや贅沢なものではなく、必要条件だ」とポッピーの全体的な戦略について、ヴィーガン向けの食事宅配サービスを提供するモザイク・フーズ(Mosaic Foods)のCEOであるマット・デイヴィス氏は述べた。
Julian Cannon(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)