ファソドファソシソラレファソド~♪
急にどうしたと思われるかもしれないが、筆者にはLINEの着信音がこんなふうに聞こえる。
何を隠そう、筆者は絶対音感を持っている。物心ついた頃にはこんな感じに聞こえるようになっていたので深く考えたことはなかったが、ふと「あれ、これネタになるんじゃ?」と思って筆を執らせていただいた次第だ。
本記事では、皆さんに絶対音感の世界を体験していただこうと思う。聴覚という感覚的なものを文字で表現するのは大変だったけれど、できるだけ分かりやすい表現を心がけたつもりなので何卒お付き合いいただけると幸いだ。
・絶対音感とは
絶対音感は選ばれし者だけが得られる特別な能力……というわけではなく、幼少期にトレーニングを受ければ高確率で誰もがゲットできるものらしい。
筆者も例に違わず4歳から12歳頃までピアノを習っていたのだが、確かに先生がピアノを弾く手を隠して音だけを頼りに音階を当てるレッスンがあった。
絶対音感を持っていると、楽器の音がまるで楽器がその音階を喋っているように聞こえてくる。会話中に相手から「こんにちは」と言われたら、当然その声は「こんにちは」と聞こえるだろう。それと同じ感覚だ。
しかし、キーボードを打つ音や拍手、鳥の声のような生活音は音階に当てはまらない音も多いので、基本的には音階で聞こえることはない。
調べてみると中には「ラより少し高い音」のように当てはめることができる人もいるようだけど、筆者は音階を聞き分けるのが限界だ。一口に絶対音感と言っても精度には結構個人差があるもよう。
・メリット
そんな絶対音感とつきあっていると、当然メリットもデメリットも体験する。まずはメリットからご紹介していこう。
1つ目は耳コピが簡単にできること。
好きなゲームやアニメの曲を自分で演奏できるのはやっぱり楽しい。何なら記事冒頭のLINEの着信音のように日常生活で流れる音楽も音階で聞こえているので、やろうと思えばそれらも再現することができる。
ただ、筆者の場合歌詞がついているとそちらが優先的に聞こえてくるため、歌詞付きの曲を耳コピするのは難しい。
同じ曲を楽器で演奏してもらったものなら分かるのだが、仮に耳コピ動画を上げることになったとしても最速でアップするのは不可能である。聖徳太子みたいな聴力が欲しい人生だった。
2つ目は、音を他の人とは違う観点で楽しめること。
ある夜、近所をエンジン音の大きなバイクがブンブン走り回っていたことがあった。「こんな夜にうるさいなぁ……」と思っていたのだが、ふとあることに気づく。
──ん? このエンジン音、「ラ」じゃね?
先述したように普段はエンジン音などの生活音が音階で聞こえることはないのだが、そのバイクのエンジン音は調律でもしてきたのか? と思うほど綺っ麗~~~な「ラ」の音。
その瞬間、あれだけうるさかったバイクの音が「ラララ~♪」と超ご機嫌な感じにしか聞こえなくなってしまった。エンジン音をリズミカルにふかすタイプのバイクだったこともあり、爆笑したことを覚えている。
これが「ド」とか「シ」の音だったらここまで爆笑はしなかったかもしれないけれど、絶対音感を持っていたからこそ体験した珍事件だった。
・デメリット
続いてデメリットもご紹介しよう。
まず1つ目、作業用BGMによってはむしろ気が散ること。
集中したい時にはクラシックなど、楽器だけで構成された曲を聴く方もいるだろう。しかし絶対音感があると音階も歌詞のように聞こえるので、耳から入ってくる情報量は歌詞付きの曲と変わらない。
むしろうまく聞き取れなかった箇所があると「今の音何だったんだろう……」と気になってしまい、逆に集中できなくなることもある。
そのため、筆者は集中したい時はあえて歌詞付きの曲をBGMにすることが多い。現にこの記事も歌詞付きの曲を聴きながら執筆した。
2つ目は、生歌に違和感を覚えてしまうこと。
オタクとしてはこれが1番痛い……!! と言っても、推しの歌が下手とかいうわけではまっっったくない。
筆者の推しはむしろ歌がうまい故にライブではアレンジを加えてきたりすることもあるのだが、耳に馴染んだCD音源と少しでも違う箇所があると推しの歌であっても「ん?」と違和感を覚えてしまうのだ。
生歌ならではの要素にすぐ気づけるという点ではメリットといえばメリットなのかもしれないけど、せっかくの推しの生歌で一瞬とはいえ戸惑うのやめたい……切実に……!!
ちなみにずっとこの状態というわけではなく、ブルーレイなどで繰り返し聴き耳に馴染んでしまえば「ウオオオアレンジかっけぇ~!!」と全力で楽しめるようになる。
・これからも楽しんでいきたい
いかがだっただろうか? 長々といろんなことを書いてしまったけれど、「絶対音感の人ってこんな風に聞こえてるんだ~」と皆さんに少しでもイメージしていただけていれば幸いである。
絶対音感があるからといって特に生活に役立つわけではないし、耳で聴いて再現する方法を覚えてしまったせいで未だに楽譜もしっかり読めないけれど、日本語とは別にもう1つの言葉が聞こえてくるようでなんだか面白い。
せっかく身についた絶対音感。これからも音の世界を楽しんでいきたい所存である。
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.