直近に行われた買収・採用案件の概要を素早く手短に伝え、業界の最新情報を届けることを目的としているDIGIDAY DealBook。今回のテーマは、カンヌで発表されたウォルマートとオムニコムの提携、ストリーマーを困惑させているTwitchの支払い方法、イコール・エンターテイメントによるプライドメディア買収についてなどだ。
ウォルマート・コネクト（Walmart Connect）、ウォルマートDSP（Walmart’s DSP）、オムニコム（Omnicom）の3社は、2022年6月第3週に行われたカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルにて、業務提携を発表した。この提携により、オムニコムおよびその顧客はウォルマートのオーディエンスへアクセスできるようになり、また小売業界がメディアおよびテクノロジーへ大きな影響力を及ぼしていることを示す現在進行中の実例となった。ウォルマートの今回の発表は、同社とロク（Roku）の提携（ロクへのショッパブル広告の導入）に続くものだ。2週間前に発表されたこの提携により、消費者はコンテンツの一時停止中でもウォルマートの商品を購入できるようになるほか、ストリーミング・プラットフォームの広告から直接購入が可能になる。
Twitch（ツイッチ）はクリエイターへの支払い方法を変更したが、このアップデートにより、報酬獲得の仕組みに関して、ストリーマーを困惑させている。これまでTwitchは、特定のストリーマーのスポンサー投稿の視聴回数に基づいて、そのクリエイターに支払いをしていた。しかし今後は、ストリーマーが月に何時間コンテンツを制作したかに応じて支払われる、パーセンテージベースのモデルに変更される。このモデルでは、ストリーマーは自分のストリーミング上の広告から発生する収益の55％を得ることになる。しかし、6月14日に実施されたこの変更によって、すべてのストリーマーが投稿の収益性が高まったと報告しているわけではない。広告の利用可能性やオーディエンスの規模、場所などのすべての要因が広告の種類に影響するため、これらの要因によって各ストリーマーの報酬も変わってくることになる。
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イコール・エンターテイメント（Equal Entertainment）はプライドメディア（Pride Media）を買収し、イコールプライドとしてリブランドする予定だ。アウト誌、アドボケート誌、Pride.comの親会社であるプライドメディアは、今回の買収により、Equal Pride（イコールプライド）としてブランド名が変更されることになった。またデジタル、メディア、エンターテイメントにまたがる最大のLGBTQ＋を所有する企業となる。さらには、CEOにマーク・ベリヒル氏を起用。同氏は、プライドメディア傘下のもう一つの部門であるセレブリティ・ページTV＆ネットワークでプレジデントを務めていた。
その他のニュースは以下のとおり：
・ Twitterの取締役会は2022年6月22日、イーロン・マスク氏が440億ドル（約5兆7200億円）で同社を買収することを満場一致で承認した。この決議は、マスク氏がTwitterの従業員と全員参加の電話会議を行い、同社に対するビジョンを描いてみせた後に行われた。
・ Facebookは2022年6月21日に、ソーシャルメディアプラットフォームの差別的なアルゴリズムに対する米国司法省からの提訴を解決するために、米国内の住宅広告のアルゴリズムを変更することに同意した。合意内容によれば、Facebookの親会社であるメタ（Meta）は、11万5000ドル（約1500万円）の和解金も支払わなければならないとされている。
・ オバマ前大統領とミシェル・オバマ氏のメディア会社ハイヤーグラウンド（Higher Ground）は、Amazonが所有するオーディオブック・プラットフォームAudibleと複数年契約を締結した。2022年6月21日に、ハイヤーグラウンドとSpotify（スポティファイ）との独占契約が終了したことが正式に発表されたが、この契約終了は2022年の4月に最終決定されていた。
・ 2022年6月21日、メタバース・スタンダード・フォーラム（The Metaverse Standards Forum）は、オープンで安全なメタバースにコミットしているメタバースのリーダーを集めると発表した。このフォーラムでは、プラットフォームを超えた構築と接続を容易にするためのさまざまなイベントが開催される予定だ。メタのほか、マイクロソフト（Microsoft）、家具のイケア（IKEA）などが同フォーラムの設立メンバーとして名を連ねている。
・ WPPは、ウクライナ政府と提携し、同国の経済復興を支援し、その商業的可能性を強調する新しいキャンペーンを実施した。
・ レディット（Reddit）は、エンゲージメントと広告配置のカスタマイズで同社を支援できるリスニングツール、スペル（Spell）を買収した。レディットにとってスペルとの連携は、他のソーシャルメディアプラットフォームの台頭が定着した後、レディットのユーザーのエンゲージメントに必要不可欠なものと言える。
・ イーベイ（eBay）は2022年6月第3週に、ノウンオリジン（KnownOrigin）を買収した。これにより、アーティストは自身のNFTをプラットフォーム上で作成、購入、販売までをできるようになる。また、この提携により両社は新しいオーディエンスにアクセスすることができるようになり、デジタル技術による商取引に進出するイーベイの取り組みがさらに加速することになる。
・ ブロックチェーン企業のロキシー（Roxy）は、ブランク・チェック・カンパニー（白地小切手会社）であるゴールデンストーン・アクイジション（Goldenstone Acquisition）と36億ドル（約4680億円）で合併して、上場すると発表した。またゴールデンストーンは「ロキシー・ホールディング・グループ」に社名変更する旨を発表。合併は2023年第1四半期に完了する予定である。
・ モバイルアプリ体験企業であるエアシップ（Airship）は、アプリストア最適化のイノベーターであるガミキューブ（Gummicube）を買収した。この買収により、顧客向けの包括的なモバイルアプリ体験管理ソリューションがユーザーに提供されることになる。
（翻訳：SI Japan、編集：分島翔平）
