オンライン飲み会用のフードボックスなどを手がけるノンピは6月30日、プレミアムフローズンミールの定期配送サービス「nonpi A.R.U.」を本格スタートした。
一ツ星を獲得した現役ミシュランシェフで中国料理「慈華」の田村亮介氏や三ツ星フレンチ「Jean-Georges本店」出身の米澤文雄氏、「日本料理四四A2」の福島良敬氏などトップシェフとコラボレーションしたメニューを特徴とする。
1個当たりの容器の厚みは3.2cmと薄型のため保管しやすい。お皿に盛り付ければレストラン気分を味わえる
価格は税込・送料別で、3食3834円、6食7398円、9食1万746円。配送周期や配送食数はライフスタイルに合わせて選択でき、食卓にもう一品足したい共働き世帯や、リモートワーク中に簡単でおいしいランチをとりたい一人暮らしの人などをターゲットとする。
主菜とおかずが一つのセットになっているので手軽だ
本サービスに先駆けて、3月にクラウドファンディングMakuakeで先行販売した。目標達成率は700%を超え、「冷凍食品とは思えないクオリティ」など好評を得たという。
冷凍食品の利点は長期保存ができるため、無駄がなくフードロス削減につながる。また、近年の冷凍技術の向上から、通常の調理に近い仕上がりにできるとし、新たな食の選択肢の一つとして注目を集めている市場だ。
料理にかける時間を、家族との時間など、新たな選択肢を作りたいという思いから生まれたサービスだ
ノンピ 取締役副社長の上形秀一郎氏は、今回の企画について「フローズンミールが注目を集めていることから、(トップシェフに)無理を承知で冷凍のジャンルに挑戦してみませんかと話した。冷凍食品は、簡易的で手抜きなイメージだったが、彼らが作るのはモノが違う。トップシェフが冷凍というマーケットに入ってくることで、グローバルも目指せる」と意気込みを語った。
田村シェフは、「(製品の仕上がりに)本当にびっくりした。手前味噌やお世辞ではなく、(解凍したときの)再現率が高い」と太鼓判を押す。
冷凍市場は、グローバルで40兆円(2027年予測)といわれる
一方で、おかずと主菜を共に一パックとしているため、主菜が解凍しきれなかったなど苦労した点もあったという。「水分の調整や(素材の)相性など、やっていておもしろい。新たな文化だと感じている。これからいろいろな掛け合わせでどんなことになるか楽しみ」(田村シェフ)と今後に期待を寄せた。
継続利用できるよう、1食あたり500kcal以下、保存料・合成着色料不使用と、健康面にも配慮したメニューにしている。
nonpi A.R.U.の企画を手がけたノンピ テクノロジー推進本部 プロダクトマネージャーのジョン・ギヨン氏は、「急速冷凍と従来の冷凍の違いは、マイナス1度から5度に30分で通過できること。食材のダメージを最小限に抑えられる。冷凍食を作るのではなく、料理を冷凍するという発想。レンジでチンしたときにいちばんおいしく食べられるものを研究している」と説明した。
今後も予約困難と言われる都内ベトナム料理店シェフ、都内中心に複数店舗展開するイタリアンレストランのオーナーシェフ、パリにオープンした店が約1年でミシュランの星を獲得したフレンチシェフなどさまざまなジャンルのシェフとコラボレーションするほか、月ごとにメニューを増やすなど飽きない工夫をしていく方針だ。
左から、ノンピ 総料理長の佐野昌之氏、「日本料理四四A2」の福島良敬氏、中国料理「慈華」の田村亮介氏、米澤文雄氏