ビジネスブースと”睡眠”カフェが大宮駅でコラボ–JR東日本とネスレが協業

CNET Japan

 ネスレ日本とJR東日本は6月30日、ワークブース「STATION BOOTH supported by ネスカフェ 睡眠カフェ」を、大宮駅構内の「Eki Tabi MARKET(えきたびマーケット)」内に設置し、営業を開始した。

STATION BOOTH supported by ネスカフェ 睡眠カフェ
STATION BOOTH supported by ネスカフェ 睡眠カフェ

 「STATION BOOTH」は、JR東日本が展開する個室型のワークブース。2019年にサービスを開始し、2022年6月現在、全国で約500箇所設置しているという。そのSTATION BOOTHが今回タッグを組んだのが、ネスレ日本が提案する「ネスカフェ 睡眠カフェ」だ。

 「ネスカフェ 睡眠カフェ」は、コーヒーの飲み分けを通じて、新しい睡眠スタイルを提案する体験型カフェ。これまでに大井町などで店舗を開設しており、2022年6月現在は原宿で1店舗が営業中だ。日本人の睡眠不足に注目するネスレ日本が、良質な睡眠のために必要な情報を総合的に学び、体験できる情報拠点として運営しているという。

 その両者がタッグを組んだのが、今回営業を開始したワークブースだ。「睡眠カフェ」の名称は付いているが、あくまでビジネス用ブースとしての活用を想定しており、仮眠スペースとしての提供ではない。ではなぜ、ワークブースと「睡眠」カフェとのコラボが実現したのか。ネスレ日本 メディアリレーション室 アシスタントマネージャーの小川直子氏は、「ワークタイムの中でコーヒーを取り入れる場所として使ってもらえれば」と話す。

 ネスレ日本では、仮眠前にコーヒーを飲む「コーヒーナップ」を提案している。長い仮眠を取ると目覚めた後も眠気が残り、仮眠後の活動に影響する。そこで仮眠を15分程度とし、さらに仮眠前にカフェイン入りのコーヒーを飲む。すると、仮眠中に体内にカフェインが吸収されることで、短時間の睡眠後にシャキッとし、リフレッシュして作業を再開できるとしている。

 仮眠用ではない今回のワークブースだが、室内には睡眠カフェのウェブサイトへの誘導ポップを掲出。ワークタイム中のリラックスタイムを提供する空間とともに、睡眠カフェのコンセプトを広める狙いだ。

 また、JR東日本の立場では、ワークブースに新たな付加価値を生み出すことにつながる。同社は個室タイプのSTATION BOOTHのほか、半個室タイプや開放タイプのSTATION DESKなど、さまざまなタイプのワークブースを提供しているが、今回はリラックスする場所として、新しい価値の提供を目指す。

ビジネスブースながらリラックスできる環境を提供
ビジネスブースながらリラックスできる環境を提供

 JR東日本といえば鉄道輸送の印象が強いが、駅ナカ施設に見られるように、同社は鉄道事業以外にも注力している。駅を移動の拠点としてだけでなく、ショッピングやビジネスといったさまざまな場面で利用されることを目指している。

 JR東日本 マーケティング本部の中島悠輝氏によると、STATION BOOTHは2023年度までに約1000箇所の設置を目指しているという。その中で、今回の異色のコラボによって、さまざまな利用者のニーズを取り込んでいく狙いだ。

 また、大宮駅という設置位置もポイントだ。埼玉一のターミナル駅である大宮駅は、この駅周辺に向かう通勤、通学利用者や、都心方面に向かう通勤、通学利用者、さらには観光での利用者など、さまざまな属性の利用者が訪れる。今回の実証実験実施に際して、東京駅や新宿駅のような都心部ではなく、都市と郊外の双方を兼ね備えたスポットとして、大宮駅が設置場所に選ばれたのだという。

設置場所に選ばれた「Eki Tabi MARKET(えきたびマーケット)」。大宮駅のコンコースに位置する
設置場所に選ばれた「Eki Tabi MARKET(えきたびマーケット)」。大宮駅のコンコースに位置する

リクライニングシートでリラックスしつつビジネスを

 この日の営業開始直後、筆者もこのワークブースを使用した。

 利用時は、登録ユーザーに発行されるQRコードや、登録済みの交通系ICカードをかざして入室する。また、予約は会員のみが可能だが、空きがある時間帯には、非会員も予約なしで利用できる。

スマホに表示されるQRコードをかざし入室する
スマホに表示されるQRコードをかざし入室する

 ワークブースは、従来のSTATION BOOTHと同様の個室タイプ。定員は1人だが、2人用のボックスを使用しており、室内は従来のものよりも若干ゆったりとしている。2人用のブースを転用したとあって、通常の1人用ブースよりも若干広々としている。一方、机はキャスター付きのもので、通常のブースよりは少々安定感に劣る印象を受けた。

ワークブースの内部
ワークブースの内部

 座席はリクライニングシートで、背もたれを起こした場合でもゆったりめだ。やはり作業に集中する空間というよりは、コンセプト通りくつろぎながら作業を進める空間と言えるだろう。

 このワークブース最大の特徴は、室内に設置されているコーヒーメーカーだ。カプセル式の「ネスカフェ ドルチェ ゲスト」が設置されており、利用者は自分でコーヒーを入れることができる。種類はブラックのみだが、おかわりに制限はないそうだ。また、アクアクララのウォーターサーバーも設置されている。

カプセル式のコーヒーマシン「ネスカフェ ドルチェ ゲスト」とウォーターサーバーが設置されている
カプセル式のコーヒーマシン「ネスカフェ ドルチェ ゲスト」とウォーターサーバーが設置されている

 利用料金(税込)は15分330円。従来のSTATION BOOTHは1人用が15分275円で提供されており、価格差は65円だ。コーヒーの提供があることをふまえればサービスプライスだが、JR東日本の中島氏は、「まずは多く利用してもらいたいということでこの価格に設定した」と説明する。

 惜しむらくは、今回のワークブースは実証実験だということだ。営業期間は12月31日までで、約5カ月間の営業予定となる。ネスレ日本とJR東日本では、利用者の声をふまえつつ、今後の展開を検討していくという。

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