愛知県出身の米田さんに、思い出の地である名古屋市の大須を紹介してもらった。名古屋あたりというと観光地のイメージがあるが、今回は米田さんの視点から独自のスポットを紹介してもらったので、その一部をお届けしたい。
大須の道端で集合
今回米田さんに紹介してもらうのは愛知県は名古屋市、大須。米田さんは今までにも愛知県を舞台にした記事を書いていたため(これとかこれとか)、お互いの地元を紹介しあうという企画を聞いた時から愛知県に向かう予感がしていた。
いいじゃないか、愛知。行こう行こう。
会うなり「ここの道路は幅がすごく広くて、片側五車線あるんです」と言う。
大須といえば大きな商店街があり、観光地としても有名らしい。そんな大須で最初に紹介されるのが道幅。最初に道!いきなり米田さん独自の視点が炸裂していてわくわくする。最高のすべり出しだ。
米田さん曰く「今回は専門学校時代やその後働いていた時によく行っていた場所を紹介します」とのこと。なるほど、よろしくお願いします。
米田さんと行く大須商店街
紹介するスポットの多くは大須商店街の周辺にあるようだ。大須観音駅を出てすぐ、大須観音を横目に見つつ大須商店街に向かう。
大須商店街に行くこと自体初めてだったのだが、かなり色々な種類のお店がある。巣鴨や蒲田のような服屋があるかと思えば、台湾の屋台飯が並んでいたりもする。複数の街並みが混ざっているような街だった。気になるお店を一つ一つ見ているだけでも一日終わってしまいそうだ。
しかし今日は単なる観光ではない。米田さんのおすすめスポットを紹介してもらうのだ。
気になるお店は置いておきつつ(少しだけ見せてもらいつつ)、米田さんについていく。
「ここのケバブ屋は『お姉さんかわいいね〜』みたいな、ナンパのような声のかけ方をしてくるんです。買ったことはないです」と米田さん。
その声かけは逆に人が捕まりづらいのではないか、と思うとともに何年近くに住んでいても行ったことのないお店ってあるよなと思う。妙なリアルである。
最初のスポットではないのだが、立ち並ぶお店の中で、米田さんが気に入っていると話していたのがこちら。
米田さんが「陳列の仕方が独特なんです。陳列だけ見ていってください」と言う。
陳列が独特……?
商品の段ボールを切り抜いて、そのまま商品棚として活用している。陳列の手間がないし、言われてみればすごい合理的だ。
大須商店街、少しずつ他と違う面白さがあるぞ。
「名古屋の」お好み焼きを食べる
さて、ようやく最初のおすすめスポットに到着。
実はこのお店、以前にも米田さんが「名古屋のお好み焼きは二つ折りにして紙で包む」という記事の中で紹介している。米田さんは一時期大須で働いており、このお店はその頃からよく利用していたということだったのだ。
二つ折りのお好み焼き、食べてみるぞ!
クレープのようなやわらかな生地に、たっぷりとソースや具材が入っている。ふつうのお好み焼きよりもしょっぱさが少し強く、ジャンクな食べ歩きグルメだ。
米田さんは職場から帰る途中によく買って食べていたらしい。すごく分かる。汗を流したり働いて疲れきった体に染み渡るような味なのだ。もしこのお店が高校の近くにあったら部活帰りの高校生でごった返してしまうだろう。
元職場を訪れる
次は米田さんの元職場に案内してくれるという。
えっ、元職場。入ってもいいのだろうか。名刺とか持ってきた方がよかったかな。
「こちらです」と米田さん。ウワーッ、緊張してきた!
なんと米田さんが働いていたビルは数年前に取り壊され、今はマンションが建ちつつあるということだったのだ。月日の流れを感じさせる話である。
元々ここに建っていたビルにコンセプトカフェがあり、米田さんは一時期そこで働いていたという。コンセプトカフェについてはあまり詳しくないのだが、ここではアニメや漫画が好きなコスプレイヤーが、好きな衣装を着て働いていたらしい。まだまだ知らない文化がたくさんあるな。
そう言って慣れた手つきで配るまねをする米田さん。私は学生時代のアルバイトも含めて一度も外で働いたことがないのだが、特にチラシ配りなどは大変だろうなあと思う。受け取ってもらうためのコツとかあったのかな。
そんなことを考えていると米田さんが「チラシ配りはできる場所が限られてて、ここともう一箇所でだけやっていました」と言う。おやっ、それはあまり深く聞かない方がいいタイプの生々しい話だな。
ユニクロだって「名古屋の」ユニクロだ
お次は移動して、名古屋駅のおすすめスポットに向かう。少しだけ歩いてから電車に乗ることに。
「この道路は道幅が100mあるので100m道路と呼ばれているんですよ。日本にわずかしかないんです」と米田さん。へーっ、そうなんだ。
日本にわずかしかない、と言っておきながら数分と経たず再び現れた100m道路。ひょっとして地元でそう言われてるだけとか、そういう曖昧なやつだな?と思ってしまったのだが、調べてみると本当に日本で3本の内の2本を今目撃したらしい。
わけのわからぬまま大変な体験をしている。すごいぞ大須。
その後電車に乗り、名古屋駅の駅ビルにてお目当ての場所に到着。
到着したのはユニクロ名古屋店。入口からお手製のしゃちほこがお出迎えしており、愛知への愛がすごい。
この店舗ではなんと愛知中の企業とコラボしており、特製のTシャツを販売しているのだ。
「結構知らない企業もありますね!」と正直に伝えたら「もっと愛知を勉強してください」と言われてしまった。そうします。
行きつけのバーという名の幸せ空間
最後は行きつけのバーを紹介してくれるという。
行きつけのバーを紹介。死ぬまでにやってみたい行為の一つだと思う。
ここはダイニングバー「BIG BEN」。専門学校の頃から通い続け、今でも帰省するたびに顔を出しているという。
THE・バーという感じの店内だ。カウンターでまずは一杯。
席に着くなり店員さんと仲良くしゃべる米田さん。
「こういうところで人と結構仲良くなれるタイプなんですね」と聞いたところ「いや、中々声をかけたくてもかけられず、話せるようになるまで1年くらい通っていました」とのこと。
1年。長期計画である。
もともとは好きな漫画のオフ会会場を探していたところ、たまたまこのお店をみつけたらしい。以来お店の雰囲気や店員さんの気さくさが好きになり通うようになったとのことだ。
地元を紹介してもらいつつ、なんだか米田さんの人生の一ページを垣間見る会となった。
人の数だけ人生があるなあなどと当たり前のことを考えつつ、その中でも大須の生活はにぎやかで楽しそうだなと思った。
大須、また来ます。
地元を知るとその人のことがよく分かる
本文中には書かなかったが、商店街の中を爆音のスピーカーを担ぎながらスケボーで疾走する人を見たとき、えらい街に来てしまったなと思った。
米田さんについても前々から独自の感性を持った方だなと少なからず思っていたので、そうか、この街で育ったのかと不思議と納得してしまったところは否めない。
思いのほか地元はその人の性格やスタンスを形作っているのかもしれない。そう思うと他の人の地元もとても気になってきたので、隙あらば紹介してもらいに行きたいな。