1. OSのバージョンアップとアップルシリコンM2――「WWDC 2022」まとめ
アップルは6月7日(日本時間)に年次イベントであるデベロッパーカンファレンスの「WWDC 2022」を開催した(ケータイWatch)。
発表内容の骨子はオペレーティングシステムの新版となる「iOS 16」「watchOS 9」「macOS Ventura」「iPadOS 16」、そして新たなアップルシリコン「M2」とそれを搭載した「MacBook Air」「MacBook Pro」の発表である。残念ながら、市場で事前に予測されていたAR/VR用のグラスやゴーグル、M2を搭載したMac miniのようなデスクトップ機の発表はなかった。
OSの新機能として着目すべきは「パスキー」だろう(ケータイWatch)。数が増え、管理が困難になり、セキュリティリスクとなりがちなパスワードを用いずに、生体認証を基点としたログインができるようになるもので、先ごろ表明された、グーグル、マイクロソフトらともに、FIDOのサポートを拡大する動きに沿ったものである。
さらに、スマートホームの規格であるMatterにも対応をする(ケータイWatch)。Matterはアマゾンやアップル、グーグルなどの大手企業も参加していて、広まることでスマートホームで利用される機器やサービスでの「シームレスな統合」が期待される。
また、ユーザーインターフェースとしては、iOSでのロック画面の機能強化などにも注目が集まっている(ケータイWatch)。
ニュースソース
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- アップル、Apple Silicon第2世代の「M2」チップを発表[ケータイWatch]
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2. 政府が「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定
政府が「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定したことが報じられている(Impress Watch)。詳細はデジタル庁のウェブページを参照するとよい(デジタル庁)。
この「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の理念は「デジタルの活用で一人ひとりの幸せを実現する」ことで、「デジタル化による成長戦略」「医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化」「デジタル化による地域の活性化」「誰一人取り残されないデジタル社会」「デジタル人材の育成・確保」「DFFTの推進を始めとする国際戦略」の6つの柱からなっている。
より具体的な戦略としては「健康保険証の原則廃止を想定し、2023年4月から全ての医療機関や薬局でマイナンバーカード保険証を使えるようにするほか、新たにWeb 3.0の推進やNFT利用の環境整備」などが盛り込まれている。
ニュースソース
- マイナ保険証導入義務化やWeb3.0推進。デジタル重点計画改定[Impress Watch]
- Web3.0を推進 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」について議論[自由民主党]
3. 携帯電話サービスなどを基点とする「経済圏」における消費活動状況調査結果
携帯電話契約や決済サービスなどを基点とし、各社ごとのポイントや割引などで優遇をうたい、提携する特定のサービスに消費者を誘導する、いわゆる「経済圏」は通信事業者らの戦略の柱となっている。もちろん、逆に生活圏と関連する「経済圏」から通信事業者を選択することもある。
MMD研究所は「経済圏の意識に関する調査」の結果を発表した。調査対象としたのは「ドコモ経済圏」「au経済圏」「ソフトバンク経済圏」「楽天経済圏」「イオン経済圏」「PayPay経済圏」を主に利用する2988人である(ITmedia)。
それによると、それぞれの「経済圏」への依存度は「ドコモ経済圏」が最も高く、次に「PayPay経済圏」「au経済圏」という順になった。また、全体の76.3%が「1年後も継続利用したい」という意向を持ち、経済圏別では「PayPay経済圏」が80.2%、「ドコモ経済圏」が79.8%、「楽天経済圏」が77.8%だったとしている。この結果を見ると、想像以上に「ロイヤルティ(忠誠心)」が高い結果ではないだろうか。
また、経済圏の規模とも関係のある2022年3月末時点における各社の累計契約数は「NTTドコモが8475.2万(前四半期比90.7万増)、KDDIが6211.0万(同68.2万増)、ソフトバンク(PHS除く)が4917.2万(同88.5万増)、楽天モバイルが491万(同41万増)となった。4社あわせて約290万契約の増加」であると発表されている(ケータイWatch)。
そして、NTTドコモの井伊基之社長は産経新聞の取材で、国内の携帯電話利用者シェアについて「1位になることに命をかけているわけではない」と語ったことが報じられている(ITmedia)。「契約者の獲得にコストをかけるよりも収益と利益水準の維持を優先する方針」だということだ。ahamoなどの「安価な料金プラン」が広まり、価格競争的にはレッドラインが近いのではないだろうか。各社とも同じような状況とも思われ、今後、より「経済圏」の強化が戦略の核となりそうだ。
4. EU、スマホなどの充電を「USB-C」統一
EUでは共通の充電器の導入について「暫定的な政治合意」に至ったことが報じられている(ケータイWatch)。これによって「共通規格として、あらゆる電子機器にUSB-C(USB Type-C)充電ポートの搭載が義務づけられる」ことになる。また、「新規則は移行期間が設けられており、24カ月後の2024年に、ほとんどの機器に対して実施されなければならない」とされている。ただし「ノートパソコンについては、さらに移行期間が長く、2026年から対象になる」ということだ。
こうした施策によって、「ユーザーの利便性向上」「電子機器の廃棄物を年間1000トン減らす」などの効果が期待でき、さらに「製品の購入と、充電器の購入を切り分ける」ことも意図している。結果として、「不要な充電器の購入が年間2億5000万ユーロ、節約する」と試算されている。すでにスマートフォンでは多くのメーカーがUSB-Cを採用しているが、問題は、単体で大きなシェアを持つアップルがLightningをどうするのかということになるだろう。
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5. 日本の音楽配信の売り上げが250億円を超える
一般社団法人日本レコード協会が「2022年第1四半期(1月~3月)の音楽配信売上実績」を発表している(ITmedia)。それによると、第1四半期の音楽配信の売り上げは、前年同期比118%の251億900万円となり、四半期ベースでの250億円超えを達成したという。「これは音楽配信の統計を集計して以来初となる数字だ」としている。
音楽配信のうち、ストリーミングが全体の8割強を占め、そのうち「『サブスクリプション/音楽』が前年同期比124%の181億8500万円、『サブスクリプション/音楽ビデオ』が同164%の9億7100万円、『広告収入/音楽』が同168%の10億3300万円、『広告収入/音楽ビデオ』が同127%の15億6600万円」としている。
今後、CDやDVDといったパッケージメディアがどう影響するかが注目点か。パッケージメディアには「特典」を付けることでこれからも一定の市場規模が維持されるとみられるが、NFTやVR/ARなどとのパッケージングはデジタルでも可能であり、これまでと違う「特典」の開発で市場が大きく変わる可能性もあり得るだろう。
ニュースソース
- 音楽配信の売り上げ、四半期ベースで初の250億円超え[ITmedia]