日銀の黒田東彦総裁は、6日の講演で「家計の値上げ許容度も高まってきている」という見解を示しました。そこで使われた「値上げ許容度」という謎の言葉が話題となり、市場や日本国民の間にさまざまな憶測を呼んでいます。
東京大学の渡辺努教授によるアンケート結果が根拠のようです。
黒田総裁は、このアンケート調査の項目の「なじみの店でなじみの商品の値段が10%上がったときにどうするか」との質問に「他店に移る」との回答が、「昨年8月は半数以上を占めたが、今年4月では大きく減った点」に注目しているようです。
また、渡辺教授によると、「新型コロナウイルスやウクライナ侵攻といった外部要因による物価上昇が、日本のインフレ予想と消費者の値上げ耐性の改善につながっている」ことが判明したそうです。
また、コロナ禍での消費の抑制で積み上がった「強制貯蓄」が家計の「値上げ許容度」の改善につながっている「可能性」もあるそうです。
日銀はこの「可能性」に賭け、金融緩和を「揺るぎなく」継続していくつもりのようです。
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いきなりの「値上げ許容度」という新語に、専門家からは戸惑いの声が。
「値上げ許容度」って、需要の価格弾力性のことかな…(企業による値上げが相次いでいることを受け「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と指摘)→日銀総裁「家計は値上げ受け入れ」 緩和継続も主張: 日本経済新聞 https://t.co/5WHOC1Waoc
— 小黒一正 (@DeficitGamble) June 6, 2022
この発言のために円安がさらに進んでしまったのではという指摘ものあります。
「値上げ許容度」がきいたね。意図的だったのかな。 https://t.co/ZaixeJXMzT
— 池田信夫 (@ikedanob) June 6, 2022
円安依存になると輸出業者には追い風ですが、中長期的に見れば望ましくありません。
円安依存が望ましくないのは、企業が技術開発をしたり産業構造を改革したりしなくとも利益が増えるため、変革が実現しないで済んでしまうからである。
— 野口悠紀雄 (@yukionoguchi10) June 3, 2022
物価上昇に伴ってこれから賃金も上がってくという黒田総裁の見立てに対しては、疑問の声が。
ウクライナ戦争と円安が理由で物価が上がっている。賃上げ・消費拡大で2%のインフレ目標に到達したのではない。物価上昇で生活が苦しい人は消費を控える。黒田日銀総裁は「家計の値上げ許容度が高まった」と言うが、本当だろうか。2%のインフレ目標を達成するには、まずは賃金を上げる必要がある。
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) June 6, 2022
新しい経済理論と家庭の生活実感、どちらが正しい政策に結びつくでしょうか。
この前、物価高の実感を問われて「スーパーに行って物を買ったこともありますけれども、基本的には家内がやっておりますので」と答えていた人が、「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と。 https://t.co/hIRwNFr52c
— 武田砂鉄 (@takedasatetsu) June 6, 2022
日銀は、日本国民の財産で米国市場を救済しているという厳しい指摘もあります。
つまり、日銀は世界市場の救い手に名乗り出ました。その犠牲は日本国民です。日銀は日本国民の財産で米国市場を救済しています。完全に意図的で悪質な円安誘導。救ってもらっているから米国からも一切文句出ない。
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) June 6, 2022
こうして日銀は世界最大の流動性の供給源になりました。望むと望まざるとにかかわらず、これからは日本人の自助の割合は高まっていくのかもしれません。