ストーンヘンジの建設者は「寄生虫がいた加熱不足の肉」を食べていたことがうんちの化石から判明

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イギリス南部のソールズベリー近郊に位置するストーンヘンジは、紀元前2500~2000年に建てられた先史時代の遺跡であり、円形に直立した巨石が並ぶ様子は多くの人々を引きつけてきました。そんなストーンヘンジの建設者や飼い犬が残した「うんちの化石」から、建設者らが「寄生虫に汚染された肉」を食べていたことが判明しました。

Intestinal parasites in the Neolithic population who built Stonehenge (Durrington Walls, 2500 BCE) | Parasitology | Cambridge Core
https://doi.org/10.1017/S0031182022000476

Prehistoric faeces reveal parasites from feasting at Stonehenge « Archaeology « Cambridge Core Blog
https://www.cambridge.org/core/blog/2022/05/20/prehistoric-faeces-reveal-parasites-from-feasting-at-stonehenge/

Stonehenge builders ate parasite-infested meat during ancient feasts, according to their poop | Live Science
https://www.livescience.com/stonehenge-fossilized-feces-with-parasitic-worms

Prehistoric faeces reveal parasites from feasting near Stonehenge | The Northern Echo
https://www.thenorthernecho.co.uk/news/20152663.prehistoric-faeces-reveal-parasites-feasting-near-stonehenge/

イギリスのケンブリッジ大学が率いる研究チームは、ストーンヘンジから2.8km離れた新石器時代の集落であるダーリントン・ウォールズの遺跡から、うんちが化石となった「コプロライト(糞石)」を発見しました。紀元前2500年頃の集落遺跡であるダーリントン・ウォールズには、ストーンヘンジを建てた労働者が住んでいたとみられています。

研究チームが発見した19個の糞石を分析したところ、イヌ由来の4個と人間由来の1個に寄生虫の卵が含まれていることが判明しました。以下が実際に分析された糞石です。

by Evilena Anastasiou

このうち人間の糞石を含む4個には、げっ歯類やサル、ウシ、ヒツジなどの内蔵で増殖する毛細虫(毛頭虫)の一種とみられる未知の寄生虫の卵が発見されました。また、イヌ由来の1個には広節裂頭条虫とみられる寄生虫の卵が見つかりました。

毛頭虫は少なくとも2種類の動物を経由する特殊な生態を持っています。まず最初に、ラットなどの小型動物が誤って卵を口にすると肝臓・肺・腸などの内蔵に付着し、そこで卵がふ化すると、器官を食べて成長して無性生殖を行います。その後、宿主がより大きな動物に捕食されると、捕食者の消化管を通過して卵が環境中に排せつされるとのこと。現代ではCapillaria hepaticaCapillaria philippinensisの2種が人間に寄生することが知られており、これらの寄生虫が人間の臓器を食べ始めると「毛頭虫症」となり、最悪の場合は死に至ります。

通常、人間に毛頭虫が寄生すると卵は肝臓に付着しますが、今回発見された毛頭虫の卵は糞石の中から発見されています。そのため、大便を排せつした人物は毛頭虫が寄生した動物の肺や肝臓を十分に火を通さないまま食べた可能性があるとのこと。ケンブリッジ大学の考古学者であるピアーズ・ミッチェル博士は、「毛頭虫はウシやそのほかの反芻動物に寄生する可能性があるため、ウシが最も可能性の高い寄生虫卵の供給源だった可能性があります」と述べました。

糞石から回収された毛頭虫の卵がこれ。研究チームは、冬の間だけストーンヘンジ建設のためにダーリントン・ウォールズへやってきた人々が、祝宴のごちそうとして調理不足の肉を食べ、その残りを犬に分け与えたため大便に寄生虫卵が混ざったと推測しています。

by Evilena Anastasiou

また、イヌの糞石から見つかった広節裂頭条虫の卵は、一般的に淡水魚に寄生しているものだとのこと。ダーリントン・ウォールズの祝宴で魚が食べられていた証拠は見つかっていないため、研究チームはイヌが別の場所で魚を食べた後でダーリントン・ウォールズにやってきた可能性が高いと考えています。

ミッチェル氏は、「新石器時代のイギリスの遺跡から腸内寄生虫が発見されたのは今回が初であり、それがストーンヘンジの環境からだったのは本当にすばらしいことです」「今回発見された寄生虫の種類は、ストーンヘンジを建設する冬に動物を食べていたという過去の証拠と合致しています」と述べました。

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