待たずにいきたい
通勤とか通学路で、まいにち同じ信号にひっかかったりしませんか。急いでるのに。
信号につかまるかどうかは基本的には運しだいだ。行ってみて初めて、赤か青か分かる。
でももし信号に時刻表があって、何時何分にどの信号が青になる、とかいうことがあらかじめ分かっていたらどうだろう。
うまくタイミングを選ぶと、途中で出会う信号ぜんぶ青とかいうこともできたりするんじゃないだろうか。
※2006年3月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
新宿通りの信号の時刻表をつくろう
ぼくが自転車での通勤路として使っている東京の新宿通りのばあい、外苑東通りとかの大きな通りとの交差点でいつもひっかかるという印象がある(下の地図参照)。
ストレスのない通勤の実現のために、今回は、職場のある半蔵門から四谷四丁目の交差点まで、新宿通りにあるその間のすべての信号の周期をしらべて、時刻表をつくることにしよう。
そして、ぜんぶの信号を青で通ることを目ざすのだ。
半蔵門の交差点から
そうと決まればさっそく上の地図の1番にあたる半蔵門の交差点から調べていこう。
調べ方はこんな感じ。
・対象とする信号が青~赤~青のように少なくとも一周するまでのようすを録画する。
・録画データを持ち帰って、青になる時刻、赤になる時刻、ふたたび青になる時刻をパソコンに記録していく。
これを18個の信号ひとつずつの信号についてひたすら続けるわけです。超じみちな作業。
ひどく単純化して考えます
前のページのような調べ方では、本当はものすごく不十分だ。なにしろ、ある時刻での一周期のようすについてしか調べていない。
でも、今回の目的を考えると、調べる時間の範囲はせいぜい10分とか20分で十分だ。それくらいのあいだなら、信号はずっと同じ周期をくり返すと仮定してもいいんじゃないか、ということで今回のような調べ方をしています。
空中に向かってピッピッポーンとつぶやく
録画中、画面のはじっこに現在の時刻でも表示されればよかったのだけど、今回使ったデジカメには残念ながらそういう機能はなかった。
仕方がないので、もう一方の手にもった携帯電話で時報をききながら、
「午前4時20分ちょうどをお知らせします。ピ、ピ、ピ、ポーン!」
とデジカメのマイクに向かってつぶやきながら撮影をつづけた。
そしておまわりさんが
背後で物音がすると思って振り返ると、いつの間にかおまわりさんが立っていた。
1つの信号を調べるのには最低5分くらいはかかる。その間みじろぎもせずに信号にカメラを向けているのは、たしかに不審者だ。とはいえ、どう言い訳しよう。
信号が大好きで自宅にもいくつか持ってるくらいなんです、とか言おうか。おまわりさんは赤が好きですか、それとも青ですか。
と思ったら、目的は自転車の防犯登録の照会だった。なーんだ。セーフ。
ようやくゴール
半蔵門を出発して最後の四谷四丁目交差点の調査が終わったときには、もう真夜中を過ぎていた。
雨がふって寒いし手は冷たいしでへとへとだったけど、時刻表づくりはまだまだここからが長いのだ。
まず撮った映像を見直して、18個の信号すべてについて、
・赤の長さ、青の長さ
・それぞれの色に変わった時刻
を表にする。ここまででも一応時刻表といえないこともない。
けれども、今回の目的のためには、この表をさらに鉄道のダイヤのように視覚化してやらなきゃいけない。何を言っているかというと、まず次のページの図をご覧下さい。
新宿通りの信号のダイヤ
というわけでできたのが上の図。
横軸に時間、縦軸にそれぞれの信号を表しているので、鉄道で言うとダイヤみたいなイメージだ。青の部分が青信号、赤いところは赤信号。
これを見ると、たとえば、ある信号が青の場合はすぐとなりの信号も青になっている、といった状況がよくわかる。
本題はどうか
さて、そもそもやりたかったのは次のようなことだ:
・1番から18番までの信号を赤につかまらずに進みたい
このダイヤ上では、1番の交差点から進む自転車とかの軌跡は、右下がりの直線かそれに近い曲線で表される。だからぜんぶの信号で青だけを通れるかどうかをみるためには、次のようなことを確かめればいい。
・右下がりの直線で、青い部分だけを通って1番から18番までを貫くようなものが書けるか?
そこであらためてダイヤを眺めると、残念ながらじつはそれが無理だということが分かる。下の図のように、どこかで必ず一度は赤信号に出会ってしまうのだ。
うーむ残念。
でもそれはたぶん、必ず赤信号に出会うように設計されている、ということなんだろう。たとえば、もしも青だけでずっと進めたばあい、事故が増えたりするのかもしれない。
フタをする大通り
ダイヤを眺めていると、各所に設計者の意図っぽいものを感じることができる。
たとえば下の図。
「じゃま」と書いた太い線は、それぞれ10番の四ッ谷駅前と16番の四谷3丁目。大通りと交差する付近の信号だ。それまで右下がりに青い部分を下った軌跡に下からふたをするように、赤信号がたちふさがっている。
とくに16番はあからさまに、15番からやってきた交通を止めようとしているように見える。四谷3丁目(16番)でいつも赤にひっかかるのは、偶然じゃなくてそういう設計なのかも、と思った。
他にも、10番から15番まではスムーズに流そうとする意図が見えること(同様に9番から1番まで上る向きにも)、とかが分かって、けっこう面白い。
というわけで、1番から18番までの間を、少しでも長く青信号だけで行くことはできないか、と思ってやってみました。
タクシーでトライ
いろいろ考えて、やはりタクシーに乗って助手席から撮影させてもらうのがいいんじゃないかと思った。
昼間だと渋滞で話にならなそうなので、まだ道が空いている明け方の5時に半蔵門へ。拾ったタクシーの運転手さんに事情を説明すると、意外にもこころよく引き受けてくださった。
ただし、「信号につかまらないようにというのはかなり難しいですよ」とも。ええ、そうですよね。
印刷しておいた時刻表をみていただいたところ、四谷駅(10番)から四谷4丁目(18番)の信号までくらいなら、うまいタイミングで青信号だけで行けるかもしれませんね、という話になった。
意外に話に乗って下さっている。怒られるかと思っていたので、なんだか嬉しい。
というわけで、新宿通りを1番の半蔵門から出発。
途中でいきなり3番と5番の信号にひっかかってしまったのだけど、そこから先は新宿通りをうまいこと通りぬけることができた。
鬼門の四谷駅前、四谷3丁目もぎりぎり青で通りぬけ、連続で10個以上の信号を青のままくぐるのはなかなか壮観だ。
麹町4丁目から四谷4丁目まで(約3分を15秒に圧縮)
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本来は約3分くらいの映像を早回しで15秒に圧縮しているので、むだにスピード感があふれる感じになった。
以下は映像からピックアップした場面をいくつか。
11番の四谷見附のぎりぎりな抜けっぷりからすると、今回とおったルートはダイヤ上ではこんな感じかなーなどと想像。
もちろんこのダイヤが正しい保証はどこにもないんですけどね。
時刻表いろいろ作れそう
信号のダイヤは眺めているとそれなりに発見があって面白いけど、いかんせん実用性はほとんどない。今回のようにあそびに使うくらいだ。
ただ、信号に限らず、時刻表を用意しておいた方があきらかに便利なものもありそうな気はする。たとえば踏み切りとか。
電車は毎日同じタイミングで踏み切りを通るはずだから、毎日何時何分にどの踏み切りが閉まっているかについての時刻表もつくれるはず。とくに朝の忙しい時間なんかは重宝しそうです。