「コンニャク」で砂漠の空気から大量の水を生み出す新素材が開発される

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コンニャクの主成分のグルコマンナンを使い、1kg当たりたった2ドル(約250円)と安価でありながら1日に13リットルもの水を生成することが可能な新素材が発表されました。

Scalable super hygroscopic polymer films for sustainable moisture harvesting in arid environments | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-022-30505-2

Low-Cost Gel Film Can Pluck Drinking Water From Desert Air – UT News
https://news.utexas.edu/2022/05/23/low-cost-gel-film-can-pluck-drinking-water-from-desert-air/

日本のように水資源が豊富な地域は少なく、世界人口の3分の2が程度の差はあれど水不足の影響を受けていると言われています。浄水技術があれば海水や汚染された水から飲み水が得られますが、砂漠地帯のようにそもそも既存の水源がない地域には適していません。

そこで、テキサス大学オースティン校で材料工学を研究しているYouhong Guo氏らの研究チームは、大気中に含まれる水分を捕集すべく、代表的な食物繊維であるセルロースと、コンニャクの主成分であるグルコマンナンからできたフィルムを開発しました。


研究チームが開発した「高吸湿性ポリマーフィルム」は、グルコマンナンでできた「コンニャクガム」の開孔構造で水分を捕捉し、熱に反応して疎水性、つまり水をはじく性質を発揮するセルロースを使うことで、集めた水を簡単かつ低エネルギーで取り出すという仕組みです。このフィルムが1kgあれば、相対湿度15%未満と乾燥した地域でも1日6リットル、30%ある地域では13リットルもの水を生成することができるとのこと。

フィルムは安価な素材から製造可能で、作り方も「材料を混ぜて型に流し込んでから乾燥させるだけ」と簡単です。


左はフィルムから集水する装置の概略図で、右がその試作品の写真です。新素材を60度の温度で10分加熱するだけで、吸収した水分の70%を取り出すことができるとのこと。Guo氏は「これを使うには、学位は要りません。材料さえあれば家庭でも作れるほど簡単です」と話しました。


アメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)の資金提供により行われたこの研究は、乾燥した気候の中で活動する兵士に水を供給することを主眼としたものですが、単純な技術なのでホームセンターで普通に市販されるようになると研究チームは考えています。


論文の共著者であるGuihua Yu氏は、「この研究は、地球上で最も暑く乾燥した場所で人々が水を得られるような実用的なソリューションに関するものです。これにより、飲料水を安定して得られない多くの人々が、簡単な操作で水を生成する装置を自宅に置けるようになるかもしれません」と話しました。

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