南極大陸でコウテイペンギンに大接近して生態&分布を調査する無人機「ECHO」の試運転が実施される

GIGAZINE


コウテイペンギンは南極大陸に群れを形成して生息していますが、近年個体数が激減しており絶滅が危惧されています。このコウテイペンギンの生態を観察する上で活躍が期待されている無人探査機「ECHO」の試運転が実施されました。

Penguins – Marine Animal Remote Sensing Lab
https://www2.whoi.edu/site/mars/penguins/

A robot lives in this Antarctic penguin colony. It’s trying to save them – CNN
https://edition.cnn.com/2022/04/29/world/robots-antarctica-penguins-climate-scn/index.html

ECHOはウッズホール海洋研究所(WHOI)が2017年から実施しているコウテイペンギン監視プロジェクト「Monitor the health of the Antarctic marine ecosystems using the emperor penguin as a sentinel(MARE)」の一環として開発された無人探査機です。


南極大陸にはコウテイペンギンを捕食する生物が生息していないため、コウテイペンギンの生態や分布状況を観察することで「気候変動が生態系にもたらす影響」を分析することが可能です。しかし、人間がペンギンに接近して観察するとペンギンにストレスを与えてしまいます。そこで、MAREの初期段階では高精細なカメラを16台配備した観察塔「Single Penguin Observation and Tracking observatory(SPOT)」によって観察が実施されました。今回試運転されたECHOが実際に運用されれば、SPOTのみを用いた場合よりも詳細なデータを2万羽のコウテイペンギンから収集できると期待されています。


WHOIの研究チームは2017年以降に年間300羽におよぶ生後5カ月のペンギンに小型の電子タグを取り付けています。ECHOには電子タグを識別可能なRFIDアンテナが搭載されており、半径86cm以内に存在する電子タグを識別可能。さらにGPSシステムによって個体の分布状況を記録することも可能です。また、ECHOが収集したデータは無線通信でSPOTに送られ、さらに詳細な分析が実施されるとのこと。


研究チームは、ECHOを南極の氷の上で思い通りに動かすためにアルゴリズムの改善に取り組んでいます。また、ECHOを氷のブロックで囲んで地形に溶け込ませ、コウテイペンギンの繁殖行動の詳細を把握することも計画しているとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
コウテイペンギンの個体数が99%減少する可能性があるとして絶滅危惧種に指定へ、気候変動の影響で – GIGAZINE

「ペンギンの自撮りムービー」の撮影に成功、イワシを捕食する瞬間の驚異的な映像が公開される – GIGAZINE

「ペンギンのうんち」を人工衛星の写真から探して未確認だったペンギンのコロニーを発見 – GIGAZINE

南極に「ナンキョクグマ」はなぜいないのか? – GIGAZINE

・関連コンテンツ

2022年05月29日 21時00分00秒 in サイエンス,   生き物, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.

Source