江戸時代の絵を見ていると、「路上でなにかを担いでいる人」がよく出てくる。
あれは結局なんなのか。調べてみると、路上で何かを背負っている人は「振売り(ふりうり)」と呼ばれていたらしい。
いまでいう露天商で、魚や野菜などいろんなものを売っていたという。
そうとわかれば、私もあれを背負いたい。手作りのあれで、現代の振売りに変身しよう!
江戸時代のよくある「あれ」は一瞬で作れる
江戸時代の絵を見ていると、絶対に出てくるものがある。
江戸時代の絵を見ると、老いも若きもこれを背負っている気がする。
果たしてこれは背負いやすいのか。ぶらぶらして不便だったりしないのか。
あふれてくる疑問を確かめるべく、振売りになってみることにした。
これをもう1つ作ると、30分ぐらいで完璧な”あれ”が出来上がった。これで私も振売りだ!
振売りで液体を運ぶのは困難
実際の振売りはものを売っていたという。
が、現代では許可もない私が急にこれでものを売り始めたら不審すぎて誰も近寄ってこないだろう。
しかたないので、近所に住んでいる友達に「振売りでものを押しつけに行かせて欲しい」とお願いすることにした。
押し付けるものは、振売りが実際に売っていたものから、欲しいものを好きに選んでもらうことにした。
いろいろ例がある中、選ばれたのはもっとも運びにくそうな「おしるこ(液体)」だった。
もしうっかり転んだら、路上におしるこを撒き散らすことになってしまう。しかたないので、おしるこをガッツリ密閉しよう。
それではいざ!路上へと繰り出そう!
振売りの格好で町を歩くと指をさされる
友人の家までは、徒歩でだいたい30分。その道のりを、私はこの格好で歩いていく。
せっかくなので、ハッピ・ハチマキ・ゲタも全部準備した。
準備しているときは「完璧すぎる!」と大喜びしていたのだが、玄関を開けたら自分が想像以上に恥ずかしい格好をしていたので衝撃を受けた。
ひとりだけ江戸からタイムスリップしてきたような恐怖があるが、いまさら後にはひくことはできない。このまま振売っていくしかない。
ここまで歩いて気がついたが、振売りをやるにはコツがある。
少々コツはいるものの、基本はリュックと同じで肩に乗せているだけなので、荷物を持ってもあまり疲れなくてすむ。
「トートバッグよりは楽だが、リュックよりは疲れる」ぐらいのレベルだろうか。
あとは、何を運んでいるのか周りにすぐにわかるのもポイントだ。
私にとっては恥の上塗りでしかなかったが、ものを売っている側からすると「いまおしるこを売っているんだな」と周りにすぐ伝えられるのはメリットだろう。
指さされながら歩いているときは「永遠か?」と思うぐらい長く感じたが、実際は予定通りの30分ぐらいで友人の家に着くことができた。
おしるこを渡すと、友人が「お疲れ様です」と冷たいポカリを出してくれた。
江戸時代の振売りも、こうやってお客さんと楽しいひとときを過ごしたのかもしれない。
令和の振売りは想像以上に恥ずかしいが、達成感もひとしおだった。
やってみて痛感したのだが、重いものをたくさん運ぶなら、絶対にリュックやキャリーバッグの方が便利である。
振売りは、布が高級品でカバンがなかなか使われていなかった時代だからこそ、輝けたのではないかと思う。
江戸時代の振売りには、ぜひ「もっと便利にものを運ぶ方法ができたんだよ!」と教えてあげたい。ちなみに帰りは、全部ばらしてリュックに入れて帰りました。