株式会社ソラコムは、ビジネス向けのクラウドカメラサービス「ソラカメ」を2022年5月18日より提供するとともに、アトムテック株式会社のネットワークカメラ「ATOM Cam 2」がソラカメに対応すると発表した。
ソラコムとアトムテックは、ビジネス分野でのカメラ活用を推進するため、ソラコムからの出資を伴う資本業務提携の契約を締結したことも合わせて発表した。
ソラコムの玉川憲氏(代表取締役社長CEO)は、ネットワークに接続し、自律的に動作または遠隔管理することを想定したIoTカメラ分野が、クラウドAIやエッジAIの進化で、利用用途が今後大きく拡大するとの予測を示した。
ただ、企業のDXやIoTの取り組みにおいて、離れた現場の見える化や、オフィスの遠隔モニタリングを実現したくても、既に普及している高機能なネットワークカメラを警備や防犯用途を中心に利用するとなると初期投資が高額となる。さらに、セキュアなデータ保存環境も必要となって設定や操作が煩雑といった問題もあり、実現へのハードルは高かった。
そこで、カメラ1台が2980円、月額990円からの“ちょうどいいIoT時代のクラウドカメラサービス”として、ソラカメを用意したという。
ソラカメでは、ネットワークカメラとしてアトムテックの「ATOM Cam 2」を利用。カメラの仕様は既存のATOM Cam 2そのもので、フルHD(1920×1080ピクセル)での常時録画が行えるとともに、リアルタイムモニタリングやモーション検知録画が可能。
本体はIP67の防水防塵仕様で、暗い場所でもカラーで鮮明に撮影できる「カラーナイトビジョン」、内蔵する4個のIR LEDを利用した暗所でのモノクロ撮影、カメラに内蔵されるマイクとスピーカーを利用した双方向の同時通話なども行える。
ネットワークへはWi-Fiで接続するため、接続環境と、電源を用意するだけで利用できる。常時録画データは全てクラウドに保存され、最大30日間常時録画を行う「クラウド常時録画」や、モーション検知によって動きのあった部分のみをイベントとして保存する「モーション検知録画」に対応する。
クラウドに保存された録画データは、Android/iOS用の専用アプリを利用して参照する。保存期間内であれば過去にさかのぼって自由に録画データを参照できることはもちろん、録画データのダウンロードも行える。
専用アプリでは複数のATOM Cam 2を同時に管理でき、特定のATOM Cam 2を選択して録画データの参照やリアルタイムモニタリングが行えるだけでなく、マルチスクリーン表示で複数のATOM Cam 2の映像を1度に表示することも可能だ。
ソラカメ対応のATOM Cam 2は、2980円で提供。クラウド常時録画はカメラ1台ごとの月額ライセンス制となっており、料金は保存期間が7日間で990円、14日間で1650円、30日間で2160円。
今後、より長期間のライセンスも提供予定。また、ソラカメの提供開始を記念し、5月18日から1週間限定で、14日間または30日間のクラウド常時録画ライセンスを選択した場合に限り、ソラカメ対応ATOM Cam 2を通常の半額となる1490円で提供する。なお、既存のATOM Cam 2はソラカメでは利用できず、ソラカメ対応のファームウェアが導入された専用のATOM Cam 2を利用する必要がある。
ソラカメにATOM Cam 2を選択した理由として玉川氏は、もともとガジェット好きで、個人的にATOM Camを使ったとき、プロダクトとしての素晴らしさに惚れ込むとともに、アトムテック代表取締役の青山純氏と意気投合したことがきっかけだと紹介。
そして青山氏も、ATOM Camはもともと個人用として発売したが、業務用としてもニーズがあることが分かっており、今回の資本業務提携を機に、企業向け事業をソラコムとともに拡大していきたいという。あわせて、カメラ以外の製品開発にも積極的に取り組み、戦略的にIoT製品分野に進出したいと述べた。
ソラカメのユースケースとしては、小売り、飲食店における混雑状況や商品の陳列状況などのリアルタイムチェック、トラブル発生時の録画データチェック、製造業における設備機器の遠隔目視や稼働状況のモニタリング、オフィスの混雑状況や受け付け来訪者のモニタリング、農業でのビニールハウスなどの状況監視といったものを想定。
その上で、「利用者の想像力でさまざまな用途に対応可能」(玉川氏)と述べ、想定ユースケースにとどまらない利用が考えられるとした。
また、事前に実施したプライベートベータプログラムの結果では、非常にポジティブな声が多かったといい、サービスはおおむね好意的に受け入れられているとした。今後は、利用者からのフィードバックをもとに数多くの機能拡張も予定している。
その機能拡張のうち最優先で取り組んでいるのが、AIアルゴリズム適用への対応だ。
ソラコムでは、セルラー内蔵エッジAIカメラ「S+ Camera」を提供しており、そちらで既にAIアルゴリズムを適用できるとともに、AIアルゴリズムを提供する「AIマーケット」を展開している。
その経験を生かし、ソラカメでもAIアルゴリズムの適用や、AIマーケットの提供を予定し、開発を進めているとのこと。このAIアルゴリズムの適用によって、ソラカメの応用範囲は無限大に拡がる可能性があるとした。