NTTがブロックチェーンを用いたWi-Fiアクセス共用の実証実験に成功、世界初 災害時のネットワークの安定提供や、設備利用の効率化、設備提供者に収益などの可能性

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 日本電信電話株式会社(NTT)は4月26日、無線アクセス装置を誰でも都度契約し利用可能とする、ブロックチェーンを用いた個人間の無線アクセス共用技術の実証実験に成功したと発表した。同社によると、こうした実証実験の成功は世界初。

 この実証実験は、将来のトラフィックの増加に対応するため、個々のアクセスの高度化、ネットワークリソースの確保を目指したもの。2030年には2020年の80倍にも無線トラフィックが増加すると予測されており、対応するには基地局施設の増設などの方法もあるが、コストの高騰が課題となる。そこで、個人や企業が保有するWi-Fiやローカル5Gの施設を、共用可能にするのが本実験の狙いだ。

 従来、無線通信を利用するユーザーは、認証された施設にしか接続できないが、ブロックチェーンを組み合わせて都度通信契約を行うことで基地局をセキュアに共用できるようにするとともに、施設提供者へのインセンティブと、自律分散的なシステムの構築を実現する。ポイントは以下の4点。

  • 通信契約を通した、無線アクセス提供者への契約収入によるインセンティブの確保
  • ブロックチェーンの有するセキュリティ機能によるセキュアな共用の実現
  • 自律分散的なブロックチェーンにより集中制御局を不要とすることでの、共用システム構築コストの低減
  • ブロックチェーン台帳の情報を活用して、各無線基地局が自律分散的に端末接続数を平滑化し、通信品質を向上(無線リソース利用向上技術)

 実証実験における、通信契約締結の流れは、次のようになる。

  1. 無線端末(UE:User Equipment)は無線信号を観測した周囲の無線基地局(BS:Base Station)のリストと自身のデジタル署名を付与し、通信契約のトランザクションを発行する
  2. ブロックチェーンネットワーク(NW)上でデジタル署名を検証し、なりすましや要求内容の改ざんなどがないことを確認。UEが送付したBSのリストから各BSの混雑度などを考慮し、適切な接続先となるBSを決定してBS、UEへ通知する。この手続きはブロックチェーン上のスマートコントラクトにより実行する
  3. 2の結果に基づいてUEとBSとの間で通信契約を実行。UEは対価を支払い、BSは通信を提供する

通信契約締結の流れの概要

混雑している基地局ほど通信契約料を高くし、リソースの利用を効率化

 実証実験を行った環境は、次のようなものだ。

 全て管理者が異なるUE10台、BS3台を用いて、さまざまな管理者の無線アクセスが混在している場合でも、各UEが都度契約により通信を利用できることを確認する。あわせて、NTT独自の無線リソース利用効率向上技術の効果も確認した。

 単に都度契約によりBS-UE接続を行う場合、下図の左下のように、受信電力の高い特定のBSに接続が集中してしまう。同社独自の無線リソース利用向上技術では、ブロックチェーン上の通信契約履歴から各BSのUE接続数を参照することで、各BSの混雑状況を把握。混雑しているBSほど通信契約料を高く、混雑していなければ通信契約料を安くするよう制御する。

 これによって、UEは通信契約料の安いBSを選択するだけで、結果的に混雑が解消され、全体の無線リソース利用効率が向上するという。下図の右下のように自律分散的にBS接続数を平滑化でき、無線リソースを有効利用できるとしている。

実証実験環境の図

無線利用リソース利用向上技術の有無による全UEのスループットの比較グラフ。同技術によりUE全体のスループットが向上していることが分かるとしている

 実証実験の成功を踏まえ、NTTでは、同技術により、無線設備利用者の快適性向上、無線設備提供者の収入増、社会全体での無線設備投資・消費電力・電波干渉の低減などにつながることが期待できるとコメント。具体的なメリットとしては、エネルギー問題解決への貢献のほか、災害時などにも途切れないネットワークを提供することも挙げている。

 実用化に向けては法規制との整合などの課題もあるが、Web3で期待される、従来の経済原理では実現が難しかった課題解決や経済圏の一形態としての無線アクセス共用の実現を目指して、2024年度の技術確立に向けて検討を推進するとしている。

 同技術は、5月17日〜18日に茨城県のNTTつくば研究開発センタで開催予定のイベント「つくばフォーラム2023」で紹介の予定だという。

今後の展望のイメージ

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