リアルと メタバース で、体験型マーケティングに回帰するペルノ・リカール:「革新的なブランドと見なしてもらえる」

DIGIDAY

世界最大級の音楽祭コーチェラ・フェスティバル(Coachella Valley Music and Arts Festival)が、パンデミックによる2年の中断を経て復活したのを受け、ウォッカブランドのアブソルート(Absolut)が体験型マーケティングへの回帰を果たした。コーチェラは米国時間4月24日まで開催された。

開催期間中、アブソルートは現地で参加者に体験を提供するだけでなく、仮想空間プラットフォームのディセントラランド(Decentraland)でメタバース体験を提供した(その名も「Absolut.Land」だ)。対象は、現地から遠く離れた場所にいる21歳以上の人々だ。

体験型マーケティングのへの回帰

アブソルートを有するペルノ・リカール(Pernod Ricard)にとって、このようなメタバースマーケティングは初めての試みだという。同社はディアジオ(Diageo)に次ぐ世界的な大手酒造メーカーで、アブソルートの宣伝やマーケティング目的で、メタバースに投資する可能性を検討するためにテストを始めたところだと、ペルノ・リカールで北米担当CMOを務めるパム・フォーバス氏は説明した。アブソルートはこのテストを通じて、コーチェラのブースで起きている出来事をメタバース空間である程度再現し、参加者に物理空間と仮想空間でその出来事を体験してもらいたい考えだ。

「アクティベーションとフェスティバルが復活したことは間違いない」と話すフォーバス氏は、コーチェラでの取り組みを、アブソルートにとってパンデミックの発生以来もっとも重要な体験型マーケティングのへの回帰だと話す。対面での体験とメタバースでの体験を同時に提供することで、「現地に行けなかった」人々も「コーチェラでのちょっとした体験を楽しめる」ようになると、同氏は語った。

アブソルートは、現地およびメタバースでのコーチェラへの復帰に、2022年度のマーケティング予算の10%を費やす予定としていた。ただし、具体的な金額は明らかにしていない。カンター(Kantar)によれば、アブソルートが2021年に広告に費やした金額は89万2500ドル(約1億1460万円)で、2020年の320万ドル(約4億1080万円)から減少していた(カンターが追跡していないソーシャルメディアプラットフォームへの支出は、この金額に含まれていない)。

全体的にみると、今年度はメディア支出が倍増したとアブソルートはいう。これは、同ブランドが2年前からeコマースに重点を置いているためで、予算のおよそ80%が、オンライン動画、ディスプレイ、検索、ソーシャルといったデジタルメディアチャネルに投入された。残りの20%は、リニアTV、屋外広告、オーディオに割り当てられている。

革新的なブランドという印象づけ

メタバースマーケティングに参入する方法を見つけ出そうとしたり、対面とメタバースで同時に体験を提供して差別化を図ったりする試みは、アブソルートのようなブランドにとって理にかなったものだと、IMGNメディア(IMGN Media)の最高戦略責任者、ノア・マーリン氏は指摘する。

「アブソルートにとっては、革新的なブランドとみなしてもらえる機会になる」とマーリン氏は述べたうえで、メディアには取り上げられても、実際にメタバース体験を試そうとする人は、ほとんどいないはずだと付け加えた。「お酒を楽しむ体験をバーチャルに移行できるようになるのは、まだ先の話だろう」。

コーチェラでの体験型マーケティングへの回帰は、今のアブソルートにとってテストと分析の機会であり、同ブランドが現時点で計画している唯一の体験型マーケティングイベントだと、フォーバス氏は話す。ペルノ・リカールはもともと、「店舗やバー、イベントに多くの費用を費やしていた」という。だが、フォーバス氏は次のように述べている。

「我々は徐々にイベントを復活させる予定だが、以前ほどの投資はおそらくしないだろう。今後はメディアとマーケティングを強化していくことになる」。

[原文:‘Activations and festivals are definitely back’: Why Absolut is running an in-person and metaverse experience for Coachella

Kristina Monllos(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:黒田千聖)

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