Googleのアカウントは、GmailやYouTubeだけでなく、様々なサービスと連携して利用することが可能です。これは、アカウントが使えなくなったときに影響の及ぶ範囲もそれだけ大きいともいえます。マーケティングなどを行う企業・Red Violet Worksの創業者でCEOのデジレア・カルヴィロ氏が、Googleアカウントから完全に締め出しを食らい、なんとか復帰するまでの経緯を、後の人のために明らかにしてくれています。
When You Get Locked Out of Your Google Account, What Do You Do?
https://www.linkedin.com/pulse/when-you-get-locked-out-your-google-account-what-do-desirea-calvillo
カルヴィロ氏は2004年、まだ招待制だったころにGmailのアカウントを取得。自宅では複数台のGoogle Home Mini Speakerに加えて、1台のGoogle Home Display Hubと3台のNestの監視カメラを運用しているほか、数世代前からのGoogle Castを複数使用し、Chromebookも複数台保有。さらにスマートフォンはPixel 4からPixel 5へ買い換えたという、大のGoogleファン。電話番号も長らくGoogle Voiceのものをメインとして使っているとのこと。
しかしある日、Googleアカウントにログインできなくなり、他のすべてのデバイスがGoogleアカウントからログアウトした状態になったそうです。当初は、アカウントに紐付けている電話番号やメールアドレスを再設定すれば大丈夫だろうと考えたカルヴィロ氏ですが、いざその手順を行おうと「パスワードをお忘れの場合」のリンクをクリックすると、選べるのは「Google Voiceの番号を介してテキストメッセージで認証コードを送る」か「当該メールアドレスにメールで認証コードを送る」かの2択でした。当然ながらアカウントにログインできないカルヴィロ氏はメールで送られる認証コードを確認することはできず、一方で、Google Voiceからもログアウトした状態なのでテキストメッセージを確認することもできないので、「詰み」の状態に陥りました。
カルヴィロ氏はまず友人に連絡。この友人はGoogleのスペシャリストによるサポートのサービスがあるGoogle Oneにカルヴィロ氏が加入していることを確認したのち、サポートからカルヴィロ氏に連絡が入るよう手配してくれました。
連絡してきたサポート担当者にカルヴィロ氏が状況を説明すると、案内されたのは、すでにカルヴィロ氏が試した「アカウントの復元」でした。サポート担当者は、セキュリティポリシー上、サポート担当者がユーザーアカウントに手を加えることはできず、ユーザー自身で「アカウントの復元」をしてもらうしかないと説明した上で「ごめんなさい、お役に立てません」と謝ったそうで、カルヴィロ氏はそのときの心境を「@!#[email protected]!$#%#!!!」と言葉にならない叫びとして表現しています。
コミュニティのヘルプやソーシャルニュースサイトのReddit、Quoraなど、数時間かけて解決法を探ったカルヴィロ氏は答えを見つけられず、翌日、Facebook・Instagram・LinkedInで助けを求めました。
また、無料で使っているGoogle Voiceだからダメなのかもしれないと、有料のGoogle Fiへの電話番号移動も検討したものの、番号移動の完了にはGoogleアカウントにログインして行う作業が必要だったことから断念しています。
試みがすべて失敗したカルヴィロ氏は再びGoogle Oneのサポートに連絡を取りました。新しい担当者は「Googleのアカウントのロックを6ヶ月にわたり解除してもらえないユーザー」の対応も担当しているという人物で、リカバリーチームからアカウントの復旧に必要なフォームがいつ提供されるかがわからないという情報を引き出せたとのこと。
カルヴィロ氏は、必要なフォームを1ヶ月を費やして入手。2000字かけて状況を説明して送信しましたが、翌日返ってきたのは「調査したところアカウントは有効でしたので、正常にログインできるはずです。お手数ですが、再度ログインを試してください。パスワードを忘れた場合は『パスワードを忘れた』のリンクを選択してください」という、いかにも自動返信の定型文だったそうです。
このやりとりを2ヶ月間で3回行い疲れ果てたカルヴィロ氏は「Google OneとYouTube Musicを有料で契約しているのに、アカウントがロックされていては支払いを止めることもできません。キャンセルする手段がないのは訴訟ものでは?」ときつい内容のメールを送りましたが、それでも定型文が戻ってくるだけだったとのこと。
いよいよカルヴィロ氏は「この問題はGoogleに頼らずに解決する必要がある」と考えて、他の手段を探り始めました。そこで解決への糸口となったのは「電話番号」でした。
カルヴィロ氏はGoogle Voiceの電話番号を使っていましたが、元をたどると「Googleに電話番号を提供している会社」が存在しています。カルヴィロ氏は、自分がGoogle Voiceで利用している電話番号の提供元がBandwidth.comという企業であることを突き止めました。そしてBandwidth.comのサイトを隅から隅までチェックして、連邦通信委員会(FCC)に関する記載を発見しました。
What is the Federal Communications Commission (FCC)? – Bandwidth
https://www.bandwidth.com/glossary/federal-communications-commission-fcc/
カルヴィロ氏が注目したのは、FCCが規則で「適切な通知なく突然中止されることはない」と定めているという点です。この内容は、サービス終了の通知を受けたユーザーが、他の事業者に乗り換える時間を確保するためのものだと考えられますが、カルヴィロ氏はここが突破点だと考え、FCCに対して苦情の申し立てを行いました。
すると翌日、Googleに通知を送信したという知らせがあり、最終的に、カルヴィロ氏のアカウントは復活して使えるようになったそうです。カルヴィロ氏によると、Googleアカウントが使えなかった期間は2021年8月27日から10月29日の丸2ヶ月に及んだとのこと。
カルヴィロ氏の告白に対して「まさにその問題に直面しています。どんな申し立てをすればいいですか?」と具体的な情報を求めるコメントが複数あるほか、「自分も同じようにFCCに苦情を申し立てて解除してもらった」というユーザーも登場しています。
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