【喝】日清の新商品「ドロラ王」が狂おしいほど美味しく、狂おしいほど惜しかった

ロケットニュース24

生きていると、無性にドロドロしたラーメンを食べたくなることがある。そういう時はもう何をしていてもドロドロしたラーメンのことしか考えられなくなるのだが、しかし身の周りに都合良くドロドロしたラーメンが転がっていることの方が少ない。

そんなわけで、このたび日清から発売される新商品のニュースを見た時は心が躍った。その名も「ドロラ王」。「ラ王」史上最高にドロドロしているとの宣伝文句に、ドロドロしたラーメンがこの世に溢れてほしいと切望している身としては期待感しかなかった。

……が、実際に食べてみたところ、僭越ながら少々喝を食らわせたい仕上がりだったのである。


改めて説明すると、件(くだん)の新商品の正式名は「日清ドロラ王 ドロ、コッテリ、鶏白湯」。2022年4月25日が発売日だが、公式オンラインショップにおいて1食397円で先行入手することができた。

醤油味や豚骨味に負けじと人気な鶏白湯ラーメンに着目した日清は、鶏白湯の特長であるドロっとした質感にとことんこだわり、「ドロラ王」を作り上げたという。その試みは涙が出るほど嬉しい一方で、前述した通り物申したいことがあるのも事実だ。

人生で初めて何かに喝を食らわせるので不手際があったら申し訳ないが、まず前提として味そのものは極めて美味しかったことを書いておかねばなるまい。

鶏と野菜の成分がたっぷり溶け込んだ白湯スープは深いコクに満ちており、思わず唸った。ここまで上質な鶏白湯ラーメンをインスタントに楽しめるようになったのかと、一口目から驚嘆させてくれた。淡白な物足りなさとは無縁で、飽きない濃厚さも備わっていた。

しかし、しかしである。一介の「喝」初心者があえて口を開きたくなるほどに惜しい点があった。それはすなわち、ドロドロ具合である。

確かに普通のラーメンに比べれば粘度は高い。とろみのあるスープは、モチモチとしていながらも歯切れの良い細麺に絶妙に絡み、それらをまとめてすすった時の幸福感といったらない。凝縮された旨味の流れが口の中を通り過ぎていくかのようだ。

だがやはり、その流れが持つ粘り気は「トロトロ」止まりで、「ドロドロ」と表すまでの域には至ってないと思うのだ。舌にスープのエキスがまとわりついて残るような感じや、ざらつくような喉越しがあるわけではない。

無論、この商品はあくまで鶏白湯ラーメンであるし、それにふさわしいスープの質があるというのも理解はしている。有名チェーン「天下一品」のラーメンのようなドロドロ具合を期待していたなんてこともない。それではただの節度のないドロドロフーリガンである。

とはいえ、「ドロラ王」と銘打つからには、もう少し、もう数歩ほどドロドロ寄りのスープを味わいたかったという気持ちだ。日清ならそういう尖った商品も出すだろうと期待していただけに、落差は否めない。

繰り返しになるが、味は非常に美味しかった。パッケージには「ハマると抜け出せない底なしの旨さ」と書かれていて、それだけのポテンシャルを秘めていることに異論はないし、なんだかんだ言いながらあっという間に容器を空にしたことも否定はしない。

だからこそ、それほど現状で美味しいからこそ、あと少しドロドロしていたら新次元のカップラーメンが生まれていただろうにと夢想せずにいられないのである。この狂おしさたるや、尋常ではない。

生きていると、だんだん我がままになってしまうようだ。胸中に溜めかねたので吐き出してしまったものの、恥ずかしい限りである。読者の皆さんが、この「喝」をサラサラと読み流してくれることを願おう。

参考リンク:日清 公式HP
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

Source