2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。盛んにニュースになっているので、子どもがいる方は気になっているのではないでしょうか。成年年齢に達すると、一人で親の同意を得ずにさまざまな契約ができるようになります。ここで注意したいのが情報商材詐欺です。
情報商材とはネットで販売されているハウツーやマニュアルといった情報を商材としているものです。個人で制作・販売されている場合、販売金額のほとんどを制作者が手にできます。また、価格も自由に付けられるので、数万円、数十万円といった価格の情報商材もあります。
本当に役に立つノウハウを販売している情報商材もあるのですが、この仕組みを使った詐欺も横行しています。「1年で1億円稼げる」とか「在宅副業で高額報酬」といったキャッチコピーで人の興味を引き、高額な情報商材を売りつけるのです。書籍などと違って先に中身を確認することはできません。販売ページのうたい文句に興味を引かれ、1億円稼げるなら10万円くらいはいいか、と購入する人がいます。
しかし、中身は「あなたが10万円で買ったこの情報商材をこのまま販売し、1000人に売れば1億円です。がんばってください!」などと、内容がない場合もあります。また、「○○の商品を激安で買う方法!」という情報商材では「中古品を買って下さい」と意味のない情報が書いてあるというケースもあります。
本連載の過去記事「1000万円儲かると断言する情報商材に100万円払ってしまった」でも詳細な事例を紹介しましたが、100万円も支払ってしまった被害者もいます。
情報商材の金額そのものは安くても、購入後に連絡が来て、「本当に儲けたいならサポートプランの契約が必要」と高額な契約を求めてくることもあります。
怪しい商品には手を出さない、おいしい話は転がっていない、といった一般常識があれば問題ないのですが、社会人経験の乏しい18歳だと舞い上がって飛びついてしまう可能性が高くなるのです。
情報商材に関する消費者生活相談の件数は全体で見ると減少傾向になっているのですが、若年層が増えています。2020年は20歳未満と20歳代が約半数を占めています。これは情報商材との接点がSNSになってきていることが原因です。
詐欺師は、SNSでビジネスで成功したり、充実した生活を送っているかのように見せることで、自分に興味を持った若者からのメッセージを待つのです。そして、コンタクトがあったら、情報商材を売りつけるのです。
こうした手口に関しては本連載の過去記事「Instagramに写真を撮るだけ、1日5分の作業で月収100万円という投稿を見かけた」でも詳しく紹介しているのでチェックして下さい。
20歳前後の若い方と接点があるなら、ぜひ、このような詐欺があることを教えてあげて下さい。今、コロナ禍をはじめ社会情勢が不安定で、若者は将来が見通せずに不安を感じていることでしょう。そこに、手軽にお金が稼げる、実際に自分は成功している、という詐欺師が現れると、簡単にだまされてしまいます。事例を知っていれば、回避できる可能性が大きく高まります。家族や組織、友人といったつながり全体で、デジタルリテラシーを高めて、ネット詐欺被害に遭わないようにしましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「support@dlis.info」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと