あなたはファミリーレストラン『とんでん』をご存じだろうか? とんでんは北海道発祥の和食ファミレスチェーン店で、北海道と関東を中心に100店舗弱を展開している。おそらく関東より西にお住まいの方は「聞いたことが無い」という人が多いハズだ。
今回は『とんでん』そのものの優秀さについては置いておく。メインテーマはズバリ『とんでん』の発音である。さて、この記事をご覧のみなさんにお伺いしたい。あなたは『とんでん』をどんな発音で読んだだろうか?
・何故かとんでんで盛り上がる
その日、ロケットニュース24編集部は『とんでん』の話で盛り上がっていた。理由は当サイトのYoshioが密かに「とんでん推し」であることが判明したためで、ファミレス連載を執筆中の私、P.K.サンジュンに『とんでん』の魅力をアツく語ってきたのだ。
「ねえねえ、とんでん行かないの? 絶対に和食ファミレスならとんでんがNo.1だから! とにかくとんでんはイワシが美味しくてさぁ~。俺はとんでんのイワシフェアがいつ始まるのか、こそこそチェックしてるんだ。マジでとんでん行くべきだよ!!」
ファミレスのイワシフェアを心待ちにするとか……年金暮らしのご老人かよ。私自身は生まれ育った千葉県の地元に とんでんがあったため存在だけは知っていたが、全国的な知名度を考慮してとんでんに行く予定はしていなかった。
・北の刺客、乱入
それでも調べてみると『とんでん』は100店舗弱を展開しているし、仮にもYoshioが “和食ファミレスNo.1” だというなら訪れる価値があるのかもしれない。私とYoshioがとんでん談議で盛り上がっていたところ、割って入ってきたのが北海道出身のあひるねこである。
「ちょっといいですか。さっきから “とんでん” の発音に違和感ありまくりなんですよ。なんで “と” にアクセントを付けるんですか? とんでんは屯田兵が由来なんだから、抑揚をつけずの “とんでん→” が正解でしょ。北海道出身の僕が言ってるんだから間違いない」
あひるねこが発音する『とんでん』は「怨念」と同じイントネーション。対して私とYoshioの発音は「論点」と同じだ。……いやいやいや、なんだよ「とんでん→」って(笑)。どう考えても「と! んでん」の方が正しいだろ。ここから『とんでん』の発音について、激論が始まっていく──。
「というか、とんでんって北海道発祥ですよ? 北海道出身の僕が言ってるんだから素直に聞くべきでしょ。こっちは小学校の頃から教科書に “屯田兵” がメチャメチャ出てきますからね。どう考えても “とんでん(怨念)” です」
「黙れミルクランド北海道ボーイ。その乳臭い口を塞ぐがイイ。北海道出身とか関係ねえ。実際に今は関東地方の店舗の方が圧倒的に多いことをご存じかな? むしろ “とんでん(怨念)” の方が違和感あるわ。日本で……いや、世界レベルで考えても “とんでん(論点)” が正解だ」
「マザー牧場の人がよく言いますね(笑)。だいたい牧場にマザーってどういう了見だよ。しかも千葉県レベルでマザーを名乗るとは恐れ多いとは思わないのか。そりゃ間違った発音で育っても気付かないハズだわ」
「おい、小僧。お前、マザー・テレサにも同じことが言えんのか? とにかく『とんでん』は “とんでん(論点)” だ。 “とんでん(怨念)” なんて、カッコつけてる中学生だろ。耳が真っ赤になるわ」
・本社に聞いてみた
お互いに「とんでん(論点)」と「とんでん(怨念)」を譲らない2人。現場は一触即発の気配でピり付いていた。今にも『とんでん』の発音を理由に殴り合いが始まろうとしていたその時! 割って入ってきたのがYoshioである。
「お前らやめろ! くだらねえことでケンカすんじゃねえ!! 俺も “とんでん(論点)” だとは思うが、本社に電話して聞いてやる! スピーカーで聞かせてやるから2人とも黙ってそこで正座しろ!!」
あひるねこと私が1ミリたりとも譲歩しない以上、結論は『とんでん』の人に委ねるしかあるまい。Yoshioは静かに受話器を取った──。
「はい、とんでん(怨念)でございます」
──もしもし。大変お恥ずかしいんですが、いま『とんでん』の発音で揉めていまして……。でも今、とんでん(怨念)と仰いましたね。
「はい、本社の方では “とんでん(怨念)” と発音しております。ただ発音についてはよく聞かれるんですが、北海道では “とんでん(怨念)” で、それ以外だと “とんでん(論点)” と発音することが多いようです」
──御社としては、どちらで発音して欲しいなどの見解はあるんですか?
「いえ、ございません。例えばテレビなどでご紹介いただく場合はほどんどの場合が “とんでん(論点)” ですし、それを訂正するようなこともしておりません。お客様のお好きなように発音していただければと思います」
──では、結論としてはどちらでもいいと?
「はい、左様でございます」
殴り合いは回避された──。
・どっちでも良かった
結論として『とんでん』は “とんでん(論点)” でも “とんでん(怨念)” でもOK! 元々の発音はとんでん(怨念)で、本社では今もその発音が残っているようだが、北海道以外の店舗ではとんでん(論点)が一般的だとのことである。
そうと分かればノーサイド。『とんでん』の発音をめぐり激論を繰り広げていた2人は、笑顔でアツい抱擁を交わした。というか、突然の電話 & くだらない内容にも丁寧に対応してくれた『とんでん』最高! これは絶対に行くしかねえ!!
というわけで、とんでんの発音はどちらでもOK! なんならそれ以外の発音でも『とんでん』なら受け入れてくれることだろう。とんでん……聖なる北の大地が生んだ、最高の和食ファミレスである。まだ行ったこと無いけど近々行くよ!