NASAの月ロケットのリハーサル、難航の末いったん中止に

GIZMODO

月への道はコツコツと。

NASAは現地時間の先週金曜から次世代ロケットSLS(スペース・ローンチ・システム)のリハーサルを行なっていましたが、トラブルに見舞われたため中止すると発表しました。日本時間の明日早朝に記者会見を開く予定ですが、今後の展開が気になります。

ロールアウトの成功が記憶に新しいSLSですが、週末にかけて米フロリダ州にあるケネディ宇宙センターで行なわれたウェット・ドレス・リハーサル(WDR)では踏んだり蹴ったりだった模様。 複数の落雷に加え、機材トラブルが重なったのです。

既報のとおり、WDRの様子はYouTubeのKennedy Newsroomチャンネルからライブ配信されるも、セキュリティ上の懸念からオーディオなしとなっていました。

月面を目指すアルテミス計画において不可欠なコンポーネントであるSLSは、これまで予算超過やスケジュールの遅れに苦しめられてきました。そんなSLS初の打ち上げで、無人宇宙船「オリオン」が月まで飛んで戻ってくるアルテミス1ミッションに向けての準備において欠かせないステップがWDRです。現在はフロリダ州ケネディ宇宙センター内の39B発射台に設置されている、高さ322フィート(約98m)のロケットのRS-25エンジン4基の点火10秒前でやめる本格的な打ち上げリハーサルになります。

順調に始まったかのように思えたウェット・ドレス・リハーサルは、まず悪天候の洗礼を受けることに。2日の夕方に発生した雷雨では、発射台の避雷システムに3度落雷し、 4発目が吊架線システムを直撃したのです。少し遅れが生じましたが、NASAはロケットと全システムを確認して、リハーサルを進めても安全だと判断

3日の正午前には、370フィート(約113メートル)のモバイル・ランチャーを換気するファン2機の不具合によって、延期せざるを得なくなりました。NASAのアップデートによると、ファンは「モバイル・ランチャー内の閉鎖区域に陽圧をもたらし、有毒ガスを排除するために必要」で、この機能がないと技術者たちはロケットのコア・ステージと暫定極低温推進ステージに推進剤を遠隔で充填する作業を安全に進められないんだそう。

このトラブルによって、ロケットのコアとアッパー・ステージに極低温の液体水素(LH2)と液体酸素(LOX)を充填できず、現地時間の3日に終わる予定だったWDRは4日にずれ込みます。

その後、東部標準時4日午前10時52分にようやくカウントダウンが再開。ファンのトラブルとその前の気体窒素を供給するシステムのトラブルは解決され、ようやくタンクを満たす作業が開始されたのです。この作業はロケットの2つのステージ合わせて約4時間半で完了すると見られていました。

ところが現地時間の4日午後5時、NASAはバルブのトラブルによるリハーサルの中止を発表します。NASAの探査地上システムは、ツイッターで「液体水素を送り込む直前に、チームはモバイル・ランチャーの高さ160フィート(約49メートル)にある通気バルブを開けることができませんでした」と説明。この通気バルブはタンクに充填する作業の間、コア・ステージから圧力を下げるために使われます。

その前に充填されていた液体酸素は、排出されることになります。チームは現在、次の機会に向けてロケットをどれだけ早く立て直せるかを話し合っており、当局は東部時間の5日午後4時(日本時間6日午前5時)に記者会見を開く予定です。

リハーサルが成功していたら、NASAはそのデータを評価してアルテミス1の正式な打ち上げ日程を発表する予定でした。6月初旬ごろになるのでは予想されていましたが、予定通りにはいかなかったため、さらに後ろ倒しになりそうです。

Source:, NASA(1, 2, 3, ), Twitter(1, 2, 3, 4), YouTube, Lunar and Planetary Institute,