オーストラリアのグレートバリアリーフは、わずか6年のうちに4度目の大規模な白化現象に見舞われており、海水温度の上昇ででかなり損傷を受けています。先日、サンゴ礁を管理するオーストラリアのグレートバリアリーフ海洋公園局は大規模な白化現象を確認し、回復を望んでいるとコメントを出しました。
海洋公園局は、声明の中で「白化したサンゴはストレスを受けていますが、まだ生きています。もし状況が穏やかであれば白化したサンゴは、大規模な白化による死亡率がとても低かった2020年のように、このストレスから回復できます」と書いています。「今後数週間の気象パターンは、海洋公園全域にわたるサンゴ白化の総合的な範囲と重症度を見極めるうえで、引き続き重要です」とのこと。
今年の白化現象は、オーストラリアを含む世界各地に平年よりも低い気温と雨をもたらすはずのラニーニャ現象があったにもかかわらず発生しました。
大規模な白化現象が起きたのは直近だと2020年で、白化現象とは高い水温などのせいでサンゴに共生する藻類が抜け出してサンゴの白い骨格が透けて見える現象のことです。多くのサンゴがこの時の白化を生き延びましたが、すくすくと育っているわけではありません。英国王立協会紀要に掲載された2020年の報告書によれば、この20年間でサンゴの個体数は急減したとのこと。特に影響を受けたのが大型のサンゴで、1990年代以降76%も減少したと書かれていました。気候危機により海水温の上昇は続き、成長に必要な理想的な状態を奪われる危機にある海洋環境は増えています。
今回の白化現象を受けて、国連はサンゴ礁の被害の規模を評価してユネスコ世界遺産のステータスを格下げすべきか否かを判断するために代表団を派遣するとAP通信は報じています。グレートバリアリーフ関連の観光産業は推定6万人以上を雇用しているので、オーストラリアの観光産業の経済と仕事の機会に打撃を与えかねません。
ユネスコにおけるステータスはさておき、グレートバリアリーフは近隣の海岸を激甚な洪水と浸食から守ってくれる、大波、洪水や嵐に対する重要な防波堤です。また、サンゴの多様性と健康は現地の海洋生態系を支えており、数千種類に及ぶ海洋生物や世界に7種いるウミガメのうち6種の生息地でもあります。
気候危機によって、そんな貴重な存在も脅かされているのです。
Source: BBC, Great Barrier Reef Marine Park Authority, New York Times, U.S. EPA, AP News, SELTMP, NOAA’s Ocean Service, Great Barrier Reef Foundation,