今更だけど知りたい「スマートウォッチ」の便利さと魅力

PC Watch

両腕にスマートウォッチを装着している筆者の日常

 スマホの普及に合わせて世の中に定着し始めたスマートウォッチ。特にApple Watchの登場によりスマートウォッチは一気にブレイク。ガジェット好きだけでなく、男女問わずビジネスパーソンでスマートウォッチをしている人を見かけることが多くなった。

 一方、スマートウォッチを使ったことがない人からすると、スマートウォッチの魅力が伝わりにくいかもしれない。そもそも腕時計を付ける習慣がない人からすると、手首に余計なものを装着することそのものが負担に感じる、という人もいるだろう。

 筆者も以前までは腕時計が苦手で、日常ではほとんど装着することがなかったが、スマートウォッチを使い始めてからというものその魅力にとりつかれ、今では装着するのを忘れることがないほど毎日愛用するようになった。

 今回はそんなスマートウォッチのヘビーユーザーである筆者が、ユーザーでなければ伝わりにくいスマートウォッチの便利さや魅力をお伝えしたい。

多機能な「スマートウォッチ」、安価でバッテリが持つ「スマートバンド」

 本稿ではスマートウォッチのほかに「スマートバンド」と呼ばれる製品も含めて広義のスマートウォッチとして紹介するが、その前に狭義のスマートウォッチとスマートバンドという分類を説明しておきたい。

 狭義のスマートウォッチとは、具体的にはiPhoneと連携するApple Watch、Androidと連携するWear OS搭載製品の2種類のこと。これ以外の製品が「スマートバンド」という分類だ。

 この違いは、スマホと連携した機能にある。Wear OSはGoogle、Apple WatchはAppleというスマホのOSメーカーが開発しているため、AIアシスタントや地図アプリなど、スマホと連携した機能を多数搭載している。一方、スマートバンドはアプリの通知といった機能はあるものの、スマホと連携した機能は控えめだ。

左からスマートウォッチの「Apple Watch Series 7」と「FOSSIL THE CARLYLE HR(Wear OS)」、スマートバンドの「Miスマートバンド6」

 価格とバッテリも大きな違い。スマートウォッチは数万円台と比較的高価で、バッテリも1日から数日程度持てば良い方だが、スマートバンドは安いものなら数千円程度から入手でき、バッテリも数週間近く持つ製品もある。

 スマートウォッチのうち、Apple WatchはiPhoneのみに対応。一方、Wear OS搭載スマートウォッチはAndroidだけでなくiPhoneにも対応するが、すべての機能を利用するにはAndroidが必要になる。

 スマートバンドについては様々なメーカーから発売されている製品のほとんどがiPhoneとAndroidに両対応しており、基本的にはOSに関わらず機能が利用できる。

スマホでもできること、スマートウォッチにしかできないこと

 スマートウォッチを毎日身につける筆者として、スマートウォッチの魅力は大きく2つに分類できると感じている。1つはスマホでできることをより手軽に行なえること、もう1つはスマートウォッチでしかできないことだ。

 前者は、新着通知の確認やナビ、タイマーやアラームといった時間管理、AIアシスタント、非接触決済といった機能だ。これらはスマホでもできるものの、スマホを取り出すことなく完結してしまうところに意味がある。

 後者については心拍や心電図といった身体情報の把握と、これらの情報を活用した運動管理、健康管理といった機能だ。スマートウォッチ全体の機能からすると機能の数自体は少ないが、運動や健康を意識するユーザーにとっては非常に重要な機能と言える。

 本稿では、スマホでもできるがスマートウォッチの方が便利なこと、スマートウォッチにしかできないことをそれぞれシーンごとに紹介しながら、スマートウォッチの魅力を紹介していきたい。また、前述の通り狭義のスマートウォッチとスマートバンドでは機能に違いがあるため、節ごとにどの製品で利用できる機能なのかも補足する。

手首をかざして電車やバス、買い物できる決済機能【対応デバイス】スマートウォッチ/スマートバンド

 まず最初に、スマートウォッチとスマートバンドという2つのカテゴリを超えた機能として注目しておきたいのが、スマートウォッチをかざすだけで買い物ができる決済機能だ。財布はもちろんスマホを取り出す必要なく、手首をかざすだけで食事や買い物ができる。

 決済面で優れているのはApple Watchで、Suica、iD、QUICPay、nanaco、WAONと、国内の非接触決済をほぼ網羅。対応していないのは楽天Edyのみという状況だ。一方、wear OSは現在のところ非接触決済には対応していない。

Apple WatchはSuicaを始め数多くの非接触決済に対応

 スマートバンドは製品によって、GARMINやFitbitの一部機種がSuicaに対応しているほか、ソニーの「wena 3」はSuicaや楽天Edy、iD、QUICPayに対応。ただしwena 3のSuica以外の設定はiPhoneが必要なほか、iDとQUICPayに設定できるクレジットカードが限られるなどの条件がある。

Suicaに対応したソニーのスマートバンド「wena 3」

 このように利用できる決済方法や端末は条件があるものの、手首をかざすだけで電車やバスに乗ったり買い物ができるのはとても便利だ。

 また、Apple WatchのLTEモデルなら単独での決済も可能なため、自宅にスマホを置いたまま出かけて買い物もできる。ジョギングやランニングの際、スマホが邪魔になることもあるが、スマートウォッチなら腕の負担だけで済む。

手首を見るだけでメールやアプリの新着を確認【対応デバイス】スマートウォッチ/スマートバンド

 スマートウォッチの機能で最も分かりやすいのがアプリの通知機能。メールやSNSなど様々なアプリの通知をスマホを取り出すことなく確認できる。スマホをポケットやカバンから取り出すのに比べて、手首の部分を見るだけでいいというのは圧倒的に手軽だ。

Apple Watchの通知

 この通知機能は、いつでもスマホを見られるわけではない状況で真価を発揮する。荷物を運ぶ、料理をするといった仕事中や、イベントや発表会の対応中など、すぐにスマホを取り出せない時でも、ちらっと手首を見るだけでメールやメッセージを確認して状況を把握できるのがありがたい。

 最近はWebサービスのログイン時にパスコードをSMSで送る二要素認証も増えているが、このパスコードを見るのにもスマートウォッチは便利。以前はサービスにログインするたびに必要な二要素認証を手間に感じていたが、スマートウォッチを身につけてからほとんど苦には感じなくなった。

二要素認証のSMSを手首で確認

 なお、スマホの通知がすべて表示されるとさすがに多すぎて大変になる。ただ、大半のスマートウォッチやスマートバンドは通知をアプリごとに指定する機能が搭載されているため、LINEやMessenger、Slackなど緊急性の高いアプリのみ通知するように設定してしまうのがおすすめだ。

通知するアプリのオン/オフを設定できる

 また、Apple Watchの通知は、「iPhoneの画面がオフの時」「iPhoneでの通知がバナーになっているとき」という2つの条件を満たす必要がある。そのため、Apple Watchを使う場合、通知は知りたいがバナー表示はしたくないというユーザーでも、通知を受け取りたいときはバナー表示を有効にする必要がある。

タイマーやアラームなどちょっとした時間管理を手首で完結【対応デバイス】スマートウォッチ/スマートバンド

 時間に関係する機能もスマートウォッチで地味に便利な機能の1つ。具体的にはタイマー、アラーム、ストップウォッチなどの機能だ。

スマートウォッチでタイマーを設定できる

 カップラーメンにお湯を注いだとき、風呂掃除で洗剤をかけてしばらく待つときなど、日常ではほんの少し待ってあとで確認したい、という機会が少なくない。

 自分の記憶だけに頼るとついつい忘れてしまいがちだが、スマホを取り出したり、離れたところにあるスマホを取りに行くのは結構面倒なもの。そんなとき、スマートウォッチやスマートバンドで手軽にアラームを設定できるのは地味ながら便利なものだ。

 アラームについては腕に装着しているため、音を出すことなく腕のバイブレーションで気がつくことができるのもスマホとは違ったメリット。新幹線で仮眠を取るときに降りる駅の前で連絡しておく、忘れてはいけないWeb会議の前に設定する、家族と一緒に寝ている寝室で音を出さずに自分だけ起床する、といったシーンでも役に立つ機能だ。

スマホの音楽を手首で操作【対応デバイス】スマートウォッチ/スマートバンド

 スマホで音楽を聞く場合、再生や一時停止、音量や早送り/早戻しといった操作もスマートウォッチで可能だ。曲名の確認や、製品によってはアーティスト名、ジャケット画像まで確認できる。

Apple Watchのミュージック機能

 最近は完全ワイヤレスイヤフォンが人気だが、完全ワイヤレスイヤフォンは構造上できる操作が限られることが多く、早送り/早戻しができなかったり、ほかの機能と排他になってしまう製品もある。

wear OSはジャケット画像も表示

 スマートウォッチやスマートバンドを併用することで、イヤフォンでは一時停止やノイズキャンセリング、腕では音量や早送り/早戻し、と操作を割り振るのも便利だ。

 今はSpotifyやYouTube Musicといったサブスクの音楽配信サービスも流行しており、配信されている楽曲を自由に聴取できるため、自分が知らない曲を聴く機会も多い。スマートウォッチなら人気ランキングの音楽を聴いていて「この曲は誰が歌っているのだろう」と気になったとき、わざわざスマホを取り出さずとも曲名やアーティスト名を確認でき、新たな音楽との出会いも増えている。

スマートバンドでも音楽の操作が可能

新着メールやメッセージにスマホを使わず返信【対応デバイス】スマートウォッチ

 ここからはスマートウォッチ、具体的にはApple WatchとWear OSの特徴を紹介したい。

 前述した通り、スマートウォッチの魅力はスマホのOSと連携しているところにある。スマートウォッチならスマホに届く通知をすべて腕で確認できるだけでなく、メールやメッセージに関しては返信も可能だ。

wear OSでGmailに返信

 とは言え、返信については画面も小さいので文字入力は難しい。定型文や絵文字なども用意されているが、好きな文章を入力するには基本的には音声入力でテキストを入力することになる。そのためスマホやPCで打つような長文は難しいが「分かりました」「後で連絡します」程度のワンフレーズであれば音声でも十分に対応可能だ。

Apple Watchの音声入力で返信

知らない土地でもスマートウォッチが道案内【対応デバイス】スマートウォッチ

 地図機能もスマートウォッチならではの便利機能だ。Appleは「マップ」、wear OSは「Google マップ」の経路検索をスマートウォッチのディスプレイに表示し、スマホを取り出さずにルートを確認できる。

 旅行の際にスーツケースで手が埋まっていたり、スマホを見ながらの移動が難しい時も、手首を見るだけで進むべき方向が把握可能。イヤフォンをスマホに接続していれば、ナビを音声で聞くこともできる。

wear OSのナビ機能

wear OSのナビ利用イメージ

 スマホに比べるとディスプレイが小さいため、把握できる領域はごく一部で、位置精度が悪く正しい位置が把握できていない場合はまごつくこともあるが、正しい位置さえ認識されればとても便利。旅行時など、ナビを使って移動する時にはぜひ試してみてほしい機能だ。

Apple Watchのナビ機能

Apple Watchのナビ利用イメージ

仕事や日常のタスクをリマインダーで忘れずにチェック【対応デバイス】スマートウォッチ

 筆者が日常的に愛用している機能が、AIアシスタントとの連携だ。Apple WatchはAlexa、wear OSはGoogleアシスタントに対応しており、スマートウォッチから音声で様々な情報を確認したり、家電をコントロールしたりといった操作が可能だ。

wear OSのGoogleアシスタント機能

 この中で筆者が特におすすめしたいのがリマインダー機能だ。後でやらなければいけない作業だがわざわざスマホやPCでメモするのは面倒、というときに、声だけでスマホにリマインダーを登録し、指定した時間に通知することができる。

 フレーズは「【〇〇分/〇〇時間】後に【△△】をリマインド」というように、「時間」「リマインドしたい内容」「リマインド」という順番で伝えるだけ。スマートウォッチに通知が残れば十分なので時間は適当でよく、後で見返したいなら「1時間後」、次の日確認したいなら「明日の午前中」などと大まかに登録しておけばいい。

「明日の午前中に郵便局をリマインド」でリマインダーを設定

 リモートワークによるWeb会議の増加、在宅ワークに伴う家事や買い物など、日常で覚えておきたい事柄は以前よりも増えている。最初は慣れるのが大変かもしれないが、リマインダーを身につけると仕事はもちろんプライベートにも活用できるはずだ。

身体の情報を把握して健康状態を管理【対応デバイス】スマートウォッチ/スマートバンド

 ここまではスマホでもできる機能を紹介してきたが、ここからはスマートウォッチでしかできない運動管理・健康管理の機能を紹介したい。

 スマートウォッチは腕に装着するという特性上、歩数や心拍数、心電図、血中酸素、睡眠などの情報を取得でき、これらの情報に基づいた消費カロリーや運動量なども計測してくれる。運動時に装着することで、その運動に最適な運動量を確認することも可能だ。

wear OSの運動管理機能

歩数や時速をカウント

 心拍数や心電の情報を取得できるのは、腕に装着するスマートウォッチならではの機能。歩数についてはスマホでも取得できるが、スマホを机に置いたまま移動した時も、腕に装着しているスマートウォッチなら歩数を測定できる。

Apple Watchは運動を検知して自動で通知

Apple Watchの測定機能

 リモートワークや在宅ワークの普及に伴い、外出する機会が減ったことで日常の中で運動する機会が減った、という人は多い。楽しいものではなかったかもしれない通勤や退勤も、それ自体が少なからず運動になっていたのに、それがなくなってほとんど体を動かす機会が減ったという人も多いだろう。

スマートバンドも運動関連の機能は充実

 より健康的な生活を送るためにも適度な運動は非常に重要。スマートウォッチを利用することで、1日に必要な運動量を管理してくれる。

 防水機能を備えたモデルでは、水泳中の運動管理ができる機能を搭載した製品もある。具体的には泳ぐ距離や泳ぎ方、ストローク数といった情報だ。防水のスマホもさすがに身につけて泳ぐのは難しく、腕に装着するだけでいいスマートウォッチならではの魅力と言えるだろう。

Apple Watchは水泳にも対応

 また、リモートワークで置きがちな長時間座りっぱなしの状態は、血行が悪くなる、腰に負担がかかるなどの悪影響を及ぼす可能性もある。スマートウォッチは一定時間座り続けているとアラートしてくれるスタンドリマインダーという機能を搭載しており、ついつい集中してPCの前に座り続けてしまう、という人には是非おすすめしたい機能だ。

寝ている間の睡眠情報もスマートウォッチで管理【対応デバイス】スマートウォッチ/スマートバンド

 睡眠管理もスマートウォッチの特徴的な機能だ。寝ている間の心拍情報などを利用して、睡眠時間やレム睡眠・ノンレム睡眠といった睡眠の深さも測ってくれる。寝ている間の情報は当然ながら自分で確認することが難しく、装着して寝るだけで睡眠に関する情報を管理してくれるのはスマートウォッチならではの機能と言えるだろう。

wear OSの睡眠管理機能

 なお、睡眠中にもスマートウォッチを装着すると当然ながらその間は充電できないため、バッテリの持ちが心配かもしれない。そんな人におすすめなのが入浴中の充電だ。入浴時は必然的に外すことになるため、スマートウォッチを充電する絶好のチャンスなのだ。

Apple Watchは就寝時間と起床時間を設定

 冒頭で説明した通り、スマートウォッチではなくスマートバンドの場合は比較的バッテリが持つため、1週間に1度くらいの頻度で充電すれば十分だ。

 一方でバッテリ消費の速いスマートウォッチも、Apple Watchの最新モデル「Apple Watch Series 7」は約45分で80%まで、FOSSILのWear OS最新モデル「ジェネレーション 6 タッチスクリーンスマートウォッチ」は30分で約80%まで充電できるため、入浴のたびに充電すれば、あまりバッテリ切れを心配しなくて済むだろう。

重量やバッテリに対してどんな機能を使いたいかが機種選択の判断基準

 スマートウォッチの様々な機能を紹介してきたが、最後にスマートウォッチの選び方を紹介したい。

 腕時計を付けたときの重さや手首の負担が気になる、という人にはスマートバンドがおすすめだ。スマートウォッチは軽くても数十g程度の重さがあるが、スマートバンドで軽い製品、例えばXiaomiの「Miスマートバンド6」は約12gと大幅に軽い。筆者も普段から愛用しているが、手首に負担をほとんど感じることなく日々装着できている。

 充電が面倒だという人にもスマートバンドが向いている。前述した通りスマートバンドは1回の充電で数週間以上バッテリが持つものもあり、スマホよりも充電の機会が少ない。あまりに充電しなくて済むので逆に充電するのを忘れてしまうほどだ。そのため、スマートウォッチよりも充電の苦労は少なくて済むだろう。

 機能面ではOSと深く連携したスマートウォッチの方が多彩な機能を利用できる。地図ナビや音声アシスタント、メールの返信などの機能を利用したいならスマートウォッチがいい。一方、アプリは通知を受けられれば十分という程度なら、軽くてバッテリが持つスマートバンドの方がいいだろう。

 スマートウォッチを愛用する筆者にとってスマートウォッチの魅力は、スマホの便利さをより高める補佐的な役割だと感じている。スマートウォッチに興味を持っていた読者にとって本稿が役に立てれば幸いだ。

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