NFT ×ファッションで成功率高いのは、コレクター心をくすぐるもの:ジョイファ代表取締役 平手宏志朗氏【Glossy + TALKS レポート Vol.5】

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いくらでもコピーできてしまうデジタルデータを、〈この世でたったひとつのもの〉として証明し、希少性をもたせることに成功した「NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)」。デジタルアイテムがリアルなモノと同様に扱えるようになったことで、投資対象としても注目が集まり、莫大な資産価値をも生み出している。

“NFT元年”と呼ばれる2021年には、グッチやバーバリーをはじめとしたラグジュアリーブランドが続々と参入し、同年10月に刊行された『NFTの教科書』(朝日新聞出版)は現在、Amazon〈ビジネスとIT〉部門の売れ筋ランキング1位。

NFTビジネスの全体像から法律・会計まで、さまざまな角度から各ジャンルで活躍する28人が解説する同書の【NFT×ファッション】パートを執筆したのが、デジタルファッションの制作や販売を手がける株式会社ジョイファ(Joyfa)代表取締役 平手宏志朗氏である。

平手氏は2017年よりブロックチェーン事業に携わり、NFT×エンターテイメントのエコシステムを開発するEnjinでデジタルファッションの可能性に強く惹かれ、2021年5月にジョイファを創業した。
NFTに精通し、自らも次々と新たな取り組みに挑戦している平手氏に、NFTの基本から今後の展望まで。【NFT×ファッション】のいまと未来像を、Glossy+Talksにて語ってもらった。

以下は会話からの追加のハイライトである。

◆ ◆ ◆

ーー 話題のNFTは、具体的にどのような利点があるのか。

NFTとは、ブロックチェーンというちょっと変わったデータベースで発行されたデジタルアイテムのこと。一般的に、運営会社と管理されるデータベースは1対1の関係だが、ブロックチェーンの技術を使うことでN対1になり、複数の会社や個人がデータベースを共同で管理できるようになった。ブロックチェーンで発行するデジタルアイテム=NFTのメリットは大きく分けて3つある。

  1. 永続性:通常のデジタルアイテムは運営会社が倒産すると、その時点でデータがすべて消えてしまう。NFTとして発行したデジタルアイテムなら、仮にデータを管理する会社が倒産しても、購入アイテムはブロックチェーン上に残り続ける。

  2. 連携性:LINEやポケモンGOで購入したスタンプやアイテムは、各社でデータを管理しているので他のサービスに移行できない。ブロックチェーン上で管理するNFTは、メルカリのNFT版「オープンシー」で転売するなど、各種サービス間の連携も可能。

  3. 透明性:NFTに紐づいた画像や動画は、デジタルデータである以上、コピーされることはまぬがれない運命にある。しかしブロックチェーンには、NFTの発行者や所有者の移転情報が、履歴データとして記録される。したがって、どのNFTが本物でどれが偽物かの証明に活用できる。

つまり、NFTとして生み出されたアイテムはデジタルデータでありながら、物理的なモノと同じように扱えるようになったということ。

ーー NFTとファッションのユースケースについて

実際にどのような使われ方をしているか、ユースケースを4つ紹介する。

  1. アート&コレクション
    NFT自体に特別な機能はないが、作品として所持すること・集めることを目的とするケース。グッチはブランドの世界観を活かして制作した動画を、NFTアートとしてクリスティーズで販売した。

  2. メタバース
    ゲームなどのメタバース空間で、購入したNFTを使って遊べるケース。バーバリーはサメのアバターをNFTとして販売し、NFTゲーム(ブランコス)と連携させて、メタバース空間で使えるようにした。

  3. 着せ替え
    自分の写真や動画と合成し、実際にデジタルファッションを着ているかのような楽しみ方をするケースで、より現実世界にリンクさせたもの。ザ・ファブリカントの取り組みは早く、NFTのデジタルドレスは2019年に発売された。

  4. リアル
    リアルなアイテムの商品券・交換券のように扱うケース。ナイキが買収したアーティファクトでは、NFTアートとしてデジタルスニーカーを発売し、実際に履きたい人が申し込めば、本物のスニーカーが申請者に送られる。

  5. NFTを用いた事例は上記以外にも多数ある。ルイ・ヴィトンの「LOUIS THE GAME」は、ゲームなので上記2.のユースケースに相当するし、NFTコレクションを発表したドルチェ&ガッバーナは、1.と4.の複合的な取り組み。グッチとアメリカのアートトイメーカー〈スーパープラスティック〉とのコラボプロジェクト「スーパーグッチ」も限定NFTとセラミックフィギュアをリリースするなど、ファッションブランドのNFT参入は活況を呈している。

    ーー NFTと相性の良いアイテムは?

    スニーカーはコレクション文化が発達しているので、NFTに適しているといえる。なかにはデジタルファッション=NFTだと勘違いしている人もいるが、そうではない。デジタルファッションをNFT化するかどうかのひとつの判断基準は、コレクション要素が高いかどうか。たとえば、ウエディングドレスのように自分が着用している写真を楽しむだけの場合はNFTである必要はなく、後々までコレクションしておきたくなるようなものがNFTに適している。

    ーー NFTにも環境負荷問題があるようだが。

    いまブロックチェーンの中でいちばん使われているのがイーサリアムというシステム。データを保存したり発行したりするとき、世界中に散らばっているコンピュータを稼働させるので、ものすごい計算量が発生してしまう。だいたい1個のNFTを発行するのに、一家庭の1日か2日分の電力を消費するといわれている。
    ただ、今年の中頃か後半にはイーサリアムが大幅にアップグレードされるので、これまで問題視されてきた膨大な電力消費は軽減されていくだろうし、NFTの環境負荷問題はここ1〜2年で収まると思う。

    ーー “NFTバブル”という声もあるが、今度どうなる?

    1年経ったいまも勢いはやまず、むしろ取引額は伸びている。ただ、これから伸びていくNFTと伸びないNFTはあると思うし、ユースケースに挙げたような、何かしらのユーティリティ要素が少ないものは淘汰されていくだろう。

    ジョイファでは、ファッションモデルである広瀬未花さんとのコラボドレスをNFTとして販売し、購入者が実際に着ているように写真上で表現した。また、2月末に発売したファッションデザイナー・トモコイズミさんとのコラボドレスも同様である。(*販売1分以内に完売)

    そして、スニーカーに関しては、2月8日に〈ダイヤモンドウォーク〉を発売(*2月14日に完売)。今後は独自ブランドとしてデジタルスニーカーを発表しながら、外部のブランドやクリエイターとのコラボも進めていこうと考えており、スマートフォンアプリでAR着用ができる仕組みも開発中で、5月頃にはローンチ予定だ。ゆくゆくはメタバース上で展示できるスニーカーラックも構想にあり、最終的にはデジタルスニーカーの経済圏、世界中のクリエイターが大集結するようなマーケットプレイスを構築していきたいと考えている。

    (公開インタビューイベントは2022年2月14日に実施)

    ■平手 宏志朗(ひらて・こうじろう)
    株式会社ジョイファ代表取締役。米国の大学を卒業後、様々なベンチャー企業にて新規事業の立ち上げに従事。2017年よりブロックチェーン事業に携わり、日本およびシンガポールの企業において、データ管理・証券取引・エネルギー取引といった分野における、ブロックチェーンプロジェクトをリード。2020年4月にNFT ×エンターテイメントのエコシステムを開発しているEnjinにジョインし、同社が発行する仮想通貨の上場や、国内外の企業との事業提携を推進。2021年5月に株式会社ジョイファを創業。

    Written by 山本千尋

    Glossy+Talksの全貌は動画コンテンツにてご覧いただけます。

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