つい先日、知り合いから世界の国歌を歌う「横濱シスターズ」を熱く紹介された。聞けば、女性3人のボーカルグループが歌うウクライナ国歌『ウクライナは滅びず』がウクライナ国民の間で拡散され、現在(2022年3月16日時点)約56万回も再生されているらしい。
実際にYouTubeチャンネルを確認したところ、これまで30カ国以上の国歌を動画にアップしていて、どの歌にも国をリスペクトする気持ちが感じられた。素晴らしい活動である。そこで今回は「横濱シスターズ」にメッセージを送って、色々と話を聞いてみることにした。
・ウクライナ国歌が大反響
ウクライナのオデッサ市と横浜市が「姉妹都市提携55周年」を迎えた2020年にアップする予定だったウクライナ国歌は、発音チェックの予定が立たず収録できていなかったという。しかし「今届けなくては」という使命感に駆られて2月15日に収録・投稿したそうだ。
公開直後からウクライナ国内のメディアで取り上げられ、約1カ月で56万回再生。さらに「彼女たちが歌うウクライナ国歌は誠実で美しく聞こえる」「心のそこからありがたい」などなど……7000件以上の感謝のコメントが寄せられていた。歌は希望なのだ。
・国歌を歌い始めたキッカケ
グループはマホさん、ミワさん、アイさんの3人組で、2015年に結成。
そもそも彼女たちが国歌を歌うようになったキッカケは、2019年に開催されたラグビーワールドカップ。ホストシティとなった横浜に来る選手やファンに向けて「国歌を歌って歓迎したい」という気持ちから活動をスタート(参加国20カ国)したらしい。
反応はどうだったかというと、パブリックビューイングで紹介されて会場が大いに盛り上がり「国歌を歌うことは友情の証になる」と感じたのだとか。んで、そっから夏季オリンピックの歴代開催国(19カ国)を歌い、今度は横浜の姉妹都市がある国へ……という流れだった。
・印象深い国歌
毎回、歌詞の意味や歴史を調べて収録に臨み、可能な限り発音とイントネーションのチェックも行っている。「発音がちゃんとしている」と褒められることも多いそう。そんな彼女たちに、現在注目されているウクライナ国歌以外で「とくに印象深い国歌」を尋ねると……
マホさん「南アフリカ国歌は、1つの国歌に5カ国語(コーサ語・ズールー語・ソト語・アフリカーンス語・英語)の歌詞が混在していてとても面白いです」
ミワさん「サモア国歌は、美しいメロディから、透き通るような海や雄大な自然を彷彿とさせます」
アイさん「優しい曲調で歌詞の内容も祖国の素晴らしい自然を讃えるスウェーデンの国歌が印象に残っています」
──とのことだった。最後に「国歌を歌うというのは、その国へのリスペクトを示す行動の1つ。私たちはこれからもライフワークとして世界の国歌を歌っていきます」と力強く答えてくれた。友情の証となる国歌が世界に届くことを願っている。
参考リンク:YouTube「横濱シスターズ “Yokohama Sisters”」,used with permission.
執筆:砂子間正貫