1. ウクライナ情勢――国内企業の対応
ウクライナ情勢に対する国内企業の対応をまとめておく。
ビザ、マスターに続きJCBもロシアの決済ネットワークを停止すると発表した(Impress Watch)。ビザやマスターなどのクレジットカードのサービスについては次項目でまとめた。
通信事業者はドコモなどのNTTグループ(ケータイWatch)、KDDI(ケータイWatch)、ソフトバンク(ケータイWatch)はウクライナへの国際通信料などの無償化を発表した。ただし、ウクライナの通信網が今後も維持されるのかどうかは不透明である。
そして、放送の分野ではNHK国際放送がロシアで放送中止となった。現地の業務委託先によると「配信を停止せざるを得なくなった」という状況のようだ。
2. ウクライナ情勢――国際企業の対応
ウクライナ情勢に対する国際企業の対応をまとめておく。
金融分野ではビザ、マスター、アメリカン・エキスプレス、ペイパルらがロシア内での決済サービスの停止を発表している(CNET Japan、Impress Watch、CNN)。加えて、JCBがロシア内でのサービスを停止している。ただし、中国の銀聯(ぎんれん)などの他の国際ブランドカードについて報じている記事は見当たらない。
仮想通貨では「仮想通貨取引所のCoinbaseが、違法な活動に従事していると考えられるロシアの個人・団体に関連するウォレットアドレス2万5000件以上をブロックした」とも報じられている(Gigazine)。
インターネットサービスでは、マイクロソフト(PC Watch)、アップル(TechCrunch日本版)、グーグル(CNET Japan)、アドビ、TikTok(Impress Watch)、ネットフリックス(CNN)などはロシア向けのサービスの一部、あるいは全部を停止している。
ロシア側は国際的なSNSに対して厳しい姿勢を示している。「ロシアのプーチン大統領は3月4日、ロシアの軍事行動に関する『虚偽情報』を流布した者に最長で禁錮15年を科す法律に署名し、発効させた」(ITmedia)と報じられている。その上で、ロシア国内からのFacebook(CNET Japan)、Twitterへのアクセス制限、英BBC放送、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、ドイツ国際公共放送ドイチェ・ウェレのサイトへのアクセスも遮断された。しかし、TwitterがTor経由でアクセス可能なサイトをオープンするなどの情報基盤における技術的な応酬もある(INTERNET Watch)。BBCもTor経由の他、短波放送でのロシア国民向けの情報提供をしている(INTERNET Watch)。
また、ウクライナからは「ロシアによる侵攻を受けて、ドメイン名の管理などを担う非営利団体ICANNに対し、『.ru』『.su』などロシアのトップレベルドメイン(TLD)と、同国に関連するSSL証明書の取り消しを要請」したと報じられている。つまり、インターネットからロシアを締め出すという意図だ。しかし、ICANNはそれを拒否したということだ。「インターネット関連組織の人々はこれまでに、要請に応じるべきではない」という姿勢を示している(CNET Japan)。
ニュースソース
- Appleマップ、ロシア以外のユーザーにはクリミアをウクライナの一部として表示するように[TechCrunch日本版]
- ICANN、インターネットからのロシア締め出しを求めたウクライナの要請を拒否[CNET Japan]
- Microsoft、ロシアでのサービス提供および新規製品販売をすべて停止[PC Watch]
- PayPal、Mastercard、Visaがロシアでサービス停止–制裁の動き広がる[CNET Japan]
- VisaとMastercard、ロシアで事業停止[Impress Watch]
- アップル、ロシアのApp Storeでの検索広告を「追って通知があるまで」停止[TechCrunch日本版]
- アップルに続きマイクロソフト、SNSなどテック各社がロシアで製品販売やサービス停止[CNET Japan]
- マイクロソフトやアドビ、Tiktokもロシアで事業を停止[Impress Watch]
- ロシア、「虚偽情報」流布に最高で禁錮15年 米欧メディア、相次ぎ露で活動停止[ITmedia]
- ロシア、Facebookへのアクセス遮断[CNET Japan]
- ロシア政府のアクセス制限もお構いなし? TwitterがTor経由でアクセス可能なサイトをオープン[INTERNET Watch]
- ロシア政府のブロックも通用せず? 英BBC、短波放送を用いたロシア国民向けの情報提供を開始[INTERNET Watch]
- 仮想通貨取引所Coinbaseがロシアと関連するウォレット2万5000件をブロック[Gigazine]
- 米アメックス、ロシアでの業務を停止[CNN]
- 米ネットフリックス、ロシアでの配信を停止[CNN]
- 米通信大手Cogent、ロシアでインターネットサービスを停止[CNET Japan]
- ツイッター、ロシアでのサービス完全復旧を目指す[TechCrunch日本版]
3. 猛威をふるう「Emotet」――大手企業で感染爆発が続く
3月に入り、「Emotet」の感染が急拡大している。悪用の恐れのあるアドレスが過去のピーク時の5倍になったとして、JPCERT/CCが警戒を呼び掛けている(INTERNET Watch、INTERNET Watch)。この1週間だけでも、沖縄県、気象協会、マイナビ、いすゞ、NTT西日本などが感染したことを公表している。それなりの対策をしていると思われている大手企業らが感染している(ITmedia、ITmedia)ことから、他の企業でも十分な対策が必要となるだろう。
また、フィッシングメールも巧妙になっている。とりわけ「えきねっと」を装ったフィッシングメールはかなり巧みといえるのではないか(INTERNET Watch)。しばらくアクセスしていない人に向け、アカウントの維持を促すような文言で不正なサイトでのログインを促してくるので注意が必要だ。
ニュースソース
- 3月に入り「Emotet」感染が急拡大! 悪用のおそれのあるアドレスが過去のピーク時の5倍に JPCERT/CCが警戒を呼び掛け[INTERNET Watch]
- Emotetとは、どんなマルウェア? 対策は? わかりやすく解説する動画をJPCERT/CCが公開[INTERNET Watch]
- Emotet感染爆発で謝罪企業相次ぐ 沖縄県、気象協会、マイナビ、いすゞなど[ITmedia]
- NTT西がEmotet感染 受託業務で使用したPCから従業員・取引先メールアドレス流出[ITmedia]
- ドコモ、「#迷惑メール展」に新たなサンプル追加[ケータイWatch]
- 件名「【千葉銀行】ご利用確認」、千葉銀行をかたるフィッシングメールに注意 偽サイトに誘導して個人情報を詐取[INTERNET Watch]
- 「えきねっと」をかたるフィッシングメールが増加! 件名「【重要】えきねっとアカウントの自動退会処理について」などに注意 自動退会の連絡を装って個人情報やカード情報を詐取[INTERNET Watch]
4. ソニーとホンダ、2025年に向けたEV共同開発で提携を発表
ソニーグループと本田技研工業(ホンダ)がモビリティ事業において戦略的提携を発表した(Impress Watch)。今後、2025年に発売を予定しているEV(電気自動車)の開発向け、産業界としても大きな一歩となる。
両社は新たに合弁会社を設立するとしていて、EVの共同開発、販売、メンテナンスまでに対応する体制を構築するとしている。もちろん、EV向けの情報通信システムやネットワークサービスにも取り組む。そして、車両の生産はホンダが、情報通信システムやネットワークサービスの開発はソニーが主体となるという。さらに、ソニーが持つセンサー、AI、エンターテインメントなどの技術も投入されることになる(ITmedia、ITmedia)。
ソニーがEVのプロトタイプを米国ラスベガスのCESに出品し、大いに話題となっていたことは記憶に新しいが、具体的な製造についての体制が発表されていなかったこともあり、いまひとつ現実感が乏しかったが、これでソニーはもとより、ホンダ側としてもほとんどのピースがそろったといってもよいのではないか。自動車業界、そしてそれを取り巻く情報通信技術の業界には今後も注目が集まるだろう。
ニュースソース
- ソニーとホンダ、EV共同開発。25年にEV初期モデル発売[Impress Watch]
- なぜ、ソニーとホンダが提携するのか スピード合意の裏に“EVの地殻変動”[ITmedia]
- 現状から予測する「ソニー×ホンダのEV」 なぜ両社はタッグを組んだのか[ITmedia]
5. アップル新製品発表のまとめ
日本時間の3月9日、アップルは新製品を発表した。ポイントとなるのは新プロセッサの「M1 Ultra」か(ケータイWatch)。これを搭載したデスクトップ機「Mac Studio」(ケータイWatch)と対応する27インチディスプレイが発表されている。記事では「モンスター級」とも評されている。一方で、Intelのプロセッサを搭載する従来のiMacはラインアップから消える模様だ(ITmedia)。
その他、新色のiPhone 13/13 Pro(ケータイWatch)、5G対応のiPhone SE(ケータイWatch)、M1プロセッサ搭載のiPad Air(ケータイWatch)などが発表になっている。