好調なインターネット広告費、マスコミ四媒体広告費を上回る――電通発表 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2022/2/17~2/24】

INTERNET Watch

1. 大手8社が「一般社団法人ロボットデリバリー協会」旗揚げ

 川崎重工業、ZMP、TIS、ティアフォー、日本郵便、パナソニック、本田技研工業、楽天グループの8社が「自動配送ロボットを活用した配送サービスの普及による人々の生活の利便性向上」を目的とする業界団体「一般社団法人ロボットデリバリー協会」を発足させた(ドローンジャーナル)。

 「自動配送ロボット」とは、宅配便の配送を行う小型で、公道を自走するロボットのことで、今後の取り扱い荷物の増加に伴う担い手不足を補う方法として期待されている。同協会では、2022年を「ロボットデリバリー元年」と位置付けるとしていて、実証実験を通じて得た成果をもとに、「自動配送ロボットが公道を走行するための業界における、自主的な安全基準の制定や認証の仕組みづくり」に取り組むとしている。

 これまで各社が散発的に発表をしてきた技術だが、この記事には各社のロボットが一堂に会した写真が掲載されていて、すでにさまざまなバリエーションが存在していることにあらためて驚くとともに、その実現に向けた開発が着実に進んでいることを感じることができる。

ニュースソース

  • 日本郵便、Honda、楽天など8社、「一般社団法人ロボットデリバリー協会」発足[ドローンジャーナル

2. 好調なインターネット広告費、マスコミ四媒体広告費を上回る――電通発表

 電通が日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推計した「2021年 日本の広告費」を発表した(電通)。

 それによると、2021年1月~12月における日本の総広告費はインターネット広告費の成長に支えられて、通年で二桁増の6兆7998億円(前年比110.4%)となった。そのうち、インターネット広告費について「1996年からの実績について1997年に推定を開始して以来、継続的に高い成長率を維持し、2021年には2兆7052億円、前年比121.4%となり、マスコミ四媒体広告費(2兆4538億円、前年比108.9%)を初めて上回った」としている。とりわけ、動画広告需要の高まりを要因として挙げている。

ニュースソース

  • 2021年 日本の広告費[電通

3. 活発なNFTをめぐる各社の取り組み

 今週もNFTに関する話題が活発に報じられている。楽天グループのRakuten NFTでは、Jリーグ公認NFTコレクション「J.LEAGUE NFT COLLECTION PLAYERS ANTHEM」を4月以降に発売すると発表した(CNET Japan)。また、同社では「ビームスが展開するアート・ファッションなどのNFTコンテンツ」を発売することでビームスと合意したことも発表している(Impress Watch)。

 メディアドゥが運営するFanTopでは「NFTを日本円で決済できる二次流通マーケット機能」を実装したと発表している(coindesk)。さらに、FanTopでは「新たに入手したNFTを展示・鑑賞できる公式アプリ」もリリースし、アイテムを3Dルーム・AR(拡張現実)機能などで楽しめる機能も提供する。

 金融機関も参入している。三菱UFJ信託銀行では「株主優待やサービスの会員権などをユーティリティトークン(UT)として発行できるProgmat UT(プログマユーティー)の仕組みとウォレットサービス」を開発したと発表した(Impress Watch)。2022年内にベータ版をリリース予定だとしている。これは「株主優待や利用権などの権利を、代替不可能なNFTとしてブロックチェーン上で発行・移転可能なUT化する」というもので、従来と比較して「券面の印刷や紙管理・配送などのコストを大幅に削減」することが期待できるとしている。

ニュースソース

  • Rakuten NFT、Jリーグ公認NFTコレクションを4月以降に発売[CNET Japan
  • Rakuten NFT、ビームスのアート・ファッションをNFTで展開へ[Impress Watch
  • NFTのFanTop、Flow基盤で二次流通マーケット──日本円決済は国内初[coindesk
  • 株主優待をNFT化。三菱UFJ信託がデジタルウォレット[Impress Watch

4. もはや人間の喋り声にしか聴こえない――音声合成ソフト「VOICEPEAK」

 DreamtonicsとAHSの2社が音声合成ソフトVOICEPEAKを共同開発した(DTM STATION)。このソフトウェアは競合となるこれまでの製品と比較しても「もはや人間の喋り声にしか聴こえない」と高く評価されている。「VOICEPEAK 商用可能 6ナレーターセット」という製品は「女性3人+男性3人+女の子1人=7人の声」を切り替えることができる。テキストを入力すればこれらの中から指定した音声で発話させることができる。ダウンロード版は2万3800円となっている。

 実際に試してみると、高い評価もうなずける。さまざまな動画に添えるナレーション、オーディオブックなどの分野での利用も可能ではないだろうか。今後、音声メディアがブレークするきっかけとなる要素技術ともいえそう。

ニュースソース

  • 音声合成業界に激震! もはや人間の喋り声、入力文字読み上げソフトVOICEPEAKはビジネス用途でも自由に利用可能[DTM STATION

5. 自動運転技術を取り巻く業界動向

 自動運転にまつわる業界ニュースをまとめておく。

 インテルの傘下にあるMobileye社が2024年に「米国の公道で、自動運転対応の電気自動車(EV)を使ったシャトルバスサービスを提供する」と発表している(CNET Japan)。これはレベル4で自律走行をするものになるという。

 また、アップルは自社ブランド電気自動車「アップルカー」で使用する自動運転のためのモジュールとパッケージを、韓国企業と開発しているとのうわさが報じられている(Engadget日本版)。ただし、アナリストらの評価として、製品化にはあと数年はかかるとの見方も示されている。

 さらに、フォルクスワーゲンがファーウェイの自動運転部門を数十億ユーロ(数千億円)で買収するための交渉をしているとも報じられている(TechCrunch日本版)。当然、両社ともにノーコメントとのことで、その確からしさのほどは分からない。

 いずれにしても、人間の運転を「アシスト」する以上の「自動運転」の領域における技術の確立や製品化には今しばらくの時間がかかりそうだということと、そのための業界再編なども含めて水面化での駆け引きも活発なようだ。

ニュースソース

  • Intel傘下のMobileye、2024年に自動運転シャトルバス運行へ–SAEレベル4で公道を走行[CNET Japan
  • アップルカー(仮)の自動運転チップ、韓国企業と共同開発中の噂[Engadget日本版
  • フォルクスワーゲンがファーウェイの自動運転部門を買収する方向で交渉中との報道[TechCrunch日本版

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