米南西部の干ばつはここ1,200年で今が最悪、その原因の42%は人間とする分析

GIZMODO

だいたい有史以来最悪ってこと。

最近毎年のように、米国カリフォルニア州やネバダ州といった南西部の干ばつが問題になってます。上の画像はアリゾナ州・ユタ州にまたがる貯水湖、パウエル湖で2021年に撮影されたものですが、水位が異様に下がって岸の岩肌が白く見えてます。新たな研究によれば、現在の干ばつ状況は人類の歴史上最悪レベルであり、しかもその原因の多くは人間の活動にあるらしいことがわかりました。

1,200年で最も雨の少ない22年

米南西部の干ばつ状態は現在22年間続いてるのですが、ある研究で過去1,200年分の土壌の湿度を推定したところ、その中で最も雨の少ない22年だったようです。「Nature Climate Change」に掲載された論文によれば、同じ地域で現状に近いレベルの干ばつがあったのは約500年前になるとのこと。特に2021年の乾燥がひどかったために過去22年分の累計が押し上げられ、今までで最大規模だった西暦1500年代後半の記録を超えてしまいました。

この論文で対象としたのは、太平洋とロッキー山脈の間のモンタナ州からメキシコ北部までの地域です。「これは最低過去1,200年の中で、22年間の干ばつ深刻度のランキングでトップ5に入った期間において、最も広範囲の北米南西地域だった」と論文にはあります。

論文の主著者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校の生物気候学者Park Williams氏は、木の年輪を分析することで西暦800年にまでさかのぼって土壌の湿度を推定しました。Williams氏がその間に発見した大規模干ばつは、4回しかありません。その期間のうち、2002年は2番目に乾燥した年でしたが、最も乾燥していたのは1580年でした。2002年の乾燥がそこまでひどかったという発見自体も価値がありますが、Williams氏はAP通信に対し、2021年の干ばつ度も2002年と「統計上互角」であったことに衝撃を受けたと言っています。

人間の影響が42%

さらにWilliams氏ら研究チームは、29のモデルを使って干ばつへの人間の影響を消去することで、温暖化がない仮想の世界を作り上げました。その結果彼らは、現在の干ばつの42%は人間による温暖化に直接的な原因があると結論付けています。

Williams氏は以前、2018年までの長期データを分析していました。その研究が発表された2020年時点では、この干ばつ期は2019年に収束していたのかもと考えられていましたが、結局乾燥した気候はその後2年続いていて、厳しさを増しています。Williams氏らは最近のデータも加味した分析の結果、この干ばつはまだまだ続くと考えています。

「2020年の夏から2021年末まで、西部全体が異例なほどに乾燥していました」Williams氏はNPRで言っています。「これは、干ばつが終わりからはほど遠いことを示しています」

2021年には、米国では1番目と2番目に大きい貯水湖のミード湖・パウエル湖がいずれも最低水位を記録しました。この地域に住む数百万もの人たちは今、産業革命よりはるか昔と同レベルの大干ばつに直面しています。