マクドナルドの看板には2種類ある

デイリーポータルZ

「マクドナルド」を思い浮かべてみて欲しい。
どんなマックが頭に浮かんだだろう。

赤い看板に「マクドナルド」と書いてあって、店頭にはハッピーセットのおもちゃがディスプレイされていて、客を待ち構えるようにカウンターが広がっているーー
こんなところだろうか。

さて、そのときに聞いてみたい。

その看板の「マクドナルド」の文字、英語ですか?カタカナですか?

 

1997年生まれ。大学院で教育学を勉強しつつ、チェーン店やテーマパーク、街の噂について書いてます。教育関係の記事についても書きたいと思っているが今まで書いてきた記事との接点が見つからなくて途方に暮れている。

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マクドナルドの看板に注目したことがあるだろうか

全国で2900店を超えるマクドナルド。銀座に1号店が登場して以来、私たちの生活にすっかり溶け込んでいる。

新海誠の『天気の子』では、主人公とヒロインが出会う場所がマックだったし、King Gnuは「マクドナルドロマンス」で、マックを舞台とする恋愛模様を暗喩的に歌った。

みなさんも、見かけることが多いと思う。

問題は、その看板である。

「マクドナルド」の文字は英語かカタカナか?

今は、英語で表記されている

現在の看板の多くは、英語である。

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マクドナルド浅草ロックス店

都市部でもロードサイド沿いでも変わらない。黒い背景に白抜きの文字で「MacDonald’s」と書いてある。

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郊外店・マクドナルド浦安富士見店

あらためて見ると、こんなにスタイリッシュだったのか、と思う。なんの引っかかりもなく、この看板をマクドナルドの看板として受け入れていた自分に気づく。

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もっとも新しいデザインのマクドナルド六本木ヒルズ店。スタイリッシュすぎるが、看板はやはり英語表記である

カタカナ表記のマクドナルド

しかし、こんな看板もある。

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カタカナで「マクドナルド ハンバーガー」と書いてある

これは、東京都板橋区上板橋のマックだ。イトーヨーカドーの中にある。

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赤い背景に書かれるなんともいえない書体の「マクドナルドハンバーガー」は、現在の英字の看板と大違いだ
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今の看板と並べてみると、その違いは一目瞭然

しかし、不思議なことに、この看板にも違和感は感じない。

実際、頭に思い浮かぶイメージとしてこれが出てくる人も多いのではないだろうか。

見た瞬間、幼い時に行ったマックの記憶がふっと蘇ってきた。 

それもそのはず、こうしたマックは古いタイプで、ちまたでは「オールドマック」とも呼ばれているらしい。

「オールドマック」の特徴の一つが、このカタカナ看板なのである。

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こちらもカタカナだ。マクドナルド東大島店。これ以外にも、久里浜ダイクマ店や駒場東大前店がカタカナ看板だという

こういうマックを「カタカナマクドナルド」と命名したい。

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カタカナマクドナルドの中

ちなみに「カタカナマクドナルド」上板橋店の中はどうなっているだろう。

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カウンター。上部の商品紹介パネルは、デジタルではない。アナログな印刷物が掲示されている

マクドナルドのメニュー表のほとんどは、すでにデジタルパネルになっていて、アナログは珍しい。

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よく見るマクドナルドのカウンター。わかりづらいが、メニューは液晶パネルに表示されている

内装も今のマックとはどこか違う。壁が無地なのである。

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シンプルな内装

現在のマックは、壁の全面にデザインが施されていることが多い。しかし、カタカナマックにかざられているのは、額縁に納められた絵である。

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白い壁に絵が飾られる

私たちは一口に「マクドナルド」と言って、同じ外観や内装を思い浮かべてしまう。しかし、看板や内装をじっと見つめると、そこには決して「同じ」とはいえない空間が広がっているのだ。

絶滅危惧種のカタカナマック

カタカナマックは、都内近郊ではほんとうに少なくなっている。

マップでカタカナの看板を見つけて、「お」と思っても、現在では変わっていたりする。

たとえば、埼玉県の蕨店をGoogleのストリートビューで見てみよう。

▲あ、カタカナマクドナルドだ、と思っても

数年後には英語に変わっていた

看板のところが、そっくりそのまま英語に変わっている。それに伴って、看板の色も赤から黒になっている。

カタカナマクドナルドが残っている方が奇跡的なのである。ある意味で、カタカナマクドナルドには、まだ再開発の波が押し寄せていないということができるかもしれない。

こうしてカタカナママクドナルドは変わっていく。

ここ数年で、新しいデザインのマクドナルドが多く登場しているから、カタカナマクドナルドはあと数年で無くなってしまうかもしれない。

全然違うのに、同じ「マクドナルド」

マクドナルドの看板には、英語表記とカタカナ表記の2種類があることがわかった。
そして、カタカナマクドナルドは少なくなり始めている。

マクドナルドのそうした変化は時代の流れと共に必然的に起こるものだ。だから、それにいろいろ言うつもりはない。

調べていて興味深いと思ったのは、看板が英語だろうが、カタカナだろうが、私たちはなんの違和感もなく、それを「マクドナルド」として認識していることだった。見た目は全然ちがうにもかかわらず、何の違和感もなく同じものとして見つめているのだ。

それってなんだか不思議なことではないだろうか。考え始めたらきりがないが、そんなことをマクドナルドの看板から考えていたのだった。

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