コロナ禍でネット通販の利用が増えていますが、それと同時に東京都消費生活総合センターに寄せられる相談も激増しているようです。具体的には、発注時は代引き配達とは別の決済方法で頼んだものの、通販サイトに出店している販売会社から代引きへの変更を依頼されたうえに、送られてきた商品が偽ブランド商品や全く違う物だった……というネット詐欺についての相談が増えているのです。
東京都消費生活総合センターの「東京くらしWEB」では、こうしたトラブルについて、注意喚起の情報を公開したり、以下のような事例を紹介しています。
大手通販サイトで安く売られていた腕時計をクレジットカード払いで申し込んだケースでは、翌日に販売会社から「カード払いの注文はキャンセルする」と連絡がありました。その直後に「代引きなら注文を受ける」とメールが来ましたが、不審に思って返事を保留にしていたところ、数日後には「腕時計」と書かれた商品が代引きで届きました。仕方なく受け取り、箱を開けてみると、入っていたのは全く異なるブランドの商品でした。そこで、通販サイトの手順に沿って返品手続きを行ったのですが、通販サイトからは「販売会社と連絡がつかないため対応できない」と言われたそうです。
もう1つの事例は、大手通販サイトでブランド品のコートを購入したケースになります。最初は電子ギフトを使って支払ったのですが、電子ギフトが使えないので代引きに変えて欲しいという連絡が来ました。購入者が了承し、電子ギフトが返却されたのを確認した後、代引きで商品を受け取りました。しかし、開けてみると全く異なる商品が入っていたのです。
大手通販サイトでも悪質な販売会社が出店している可能性も
例えば、大手通販サイトであるAmazonや楽天では、多数の販売会社が出店しています。この販売会社に悪質な業者が紛れ込むことがあるので注意が必要です。
悪質な販売会社は、お金さえ入れば連絡や返金にも応じない可能性があります。こうしたトラブルがあった場合、通販サイトの運営会社に連絡することになりますが、通販サイト側も販売会社と連絡が取れず、返金してくれないケースが多いのです。
対策としては、電子ギフトやクレジットカード支払いの手続きをした後になってから、代引きに変えてくれ、などと後から要求してくる業者からは購入しないことです。基本的には商品をきちんと受け取った後に支払うことができるクレジットカード決済を使う方が安全です。代引きもしくは事前振り込みのみ、となっている所は避けましょう。
最初の事例のように、代引きを許可していないのに一方的に送りつけられた場合でも、本人が不在であれば家族が受け取ることもあるでしょう。怪しいと感じたのであれば、受け取りを拒否するしかありません。
国民生活センターでも「家族宛など、受け取るべきかその場で判断できないときは、すぐに支払いをせず配送業者(ドライバー)に事情を話して、荷物を一旦持ち帰ってもらう」ことを対策の1つとして上げています。
もし、代引きで受け取って料金を支払ってしまった場合、宅配業者や郵便局に文句を言っても返金されません。宅配業者はルール通りに配送しているだけなので、クレームを入れるなら販売業者と通販サイトです。
代引きはリスクのある決済方法であるということは認識しておきましょう。販売会社が有名店であればいいのですが、大手通販サイトであっても、そこに出店している販売会社がどういう業者なのか、返品や解約の条件も合わせて確認するようにしましょう。分からない場合は代引きは使わない方が安全です。
また、高級ブランド品を正規販売店の販売価格よりも極端に安くしている通販サイトは、偽ブランド品を取り扱っている可能性が高いので注意しましょう。商品が安いからと欲に目がくらんでリスクを引き受けないようにしましょう。
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